うつ病の社員にはどう接したらいい?休職・復職する際の会社の対応も

うつ病の社員にはどう接したらいい?休職・復職する際の会社の対応も

うつ病は現代社会において深刻な問題となっており、職場でもうつ病の症状が出ている社員と接することがあるかもしれません。

「社員がうつ病になっているサインあるの?」

「うつ病の社員にどう接したらいいかわからない」

「休職・復職のサポートはどうすればいい?」

などと悩んでいる人が多いのではないでしょうか。

職場のメンタルヘルス対策としてうつ病への正しい理解とその社員へ適切な対応をすることは、社員を守るだけでなく、企業の生産性を維持することにもつながります。

本記事では、社員のうつ病の原因やその兆候、社員への接し方、休職・復職のサポートまで企業がとるべき対策を具体的に解説します。

うつ病について

うつ病について

うつ病とは「一日中ずっと気分が落ち込む」「何をしても楽しめない」などの精神症状と、疲れやすさや不眠などの身体症状が表れる病気です。

発症の原因はまだ明らかにされていませんが、感情や意欲を司る脳の働きに不調が起こっていると考えられています。うつ病はつらい体験や悲しい出来事だけでなく、就職や結婚などの環境の変化や人間関係、ほかの病気がきっかけで発症することがあります。

職場ではうつ病になる社員が増えており、企業は適切な対応が求められています。うつ病の社員への適切な対応は、本人の回復を助けるだけでなく、職場全体の生産性の維持にもつながります

うつ病は誰にでも起こり得る病気であり、決して本人の甘えや怠けが原因ではないと理解することが大切です。

参考:うつ病|こころの情報サイト

社員がうつ病になっていないか判断するポイント3つ

社員がうつ病になっていないか判断するポイント3つ

社員がうつ病になっているかどうかを判断するために、変化を見逃さないことが大切です。判断するポイントについて、詳しくみていきましょう。

仕事のミスが増えた

社員の仕事のミスが増えたことは、うつ病の兆候の可能性があります

うつ病になると、集中力や記憶力が低下し、仕事のパフォーマンスに影響が出てしまいます。たとえば、以前は問題なくこなせていた業務で間違いが目立つようになったり、締め切りを守れなくなったりする場合があります。

普段は几帳面で仕事熱心な社員に、突然このような変化が表れたら注意しましょう。ただし、ミスの増加だけでうつ病と判断するのではなく、ほかの症状とあわわせて総合的に考えることが大切です。

もし、業務のミスが増えた社員がいたら、体調は悪くないか、集中力は保てているかなど声がけしてみてください。

参考:6 上司・同僚の方へ:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

よく遅刻や早退をする

遅刻や早退が増えたことも、うつ病の可能性を示す重要なサインです

うつ病になると、睡眠リズムが乱れたり、朝起きるのがつらくなったりします。うつ病の人は、なかなか寝つけない「入眠障害」や夜中に目覚める「中途覚醒」などの不眠の症状が出るケースがあります。これまで時間通りに出社していた社員が、突然遅刻を繰り返すこともあります。

また、仕事中に強い疲労感や無力感を感じ、1日を最後まで乗り切れずに早退することも増えるでしょう。このような勤怠の乱れが続いたら、うつ病の可能性を考慮し、本人の状況確認や産業医・産業保健窓口への相談を検討してみましょう。

参考:6 上司・同僚の方へ:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

表情が暗くて顔色が悪い

社員の表情が暗くて顔色が悪くなったことも、うつ病を疑うべきポイントです。

うつ病になると、気分の落ち込みや意欲の低下により、表情が暗くなるときがあります。笑顔が少なくなり、目つきに生気がなくなったように見えるかもしれません。

また、食欲不振や不眠の影響で、顔色が悪く見えてしまいます。顔色が青白くなったり、くまができたりします。ただし、表情や顔色の変化は個人差があるため、ほかの症状とあわせて慎重に判断しましょう。

参考:6 上司・同僚の方へ:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

うつ病の兆候がみられる社員への接し方

うつ病の兆候がみられる社員への接し方

うつ病の兆候がみられる社員に、どのように接したらいいか悩むかもしれません。声をかけて話を聞く、むやみに励まさないなどを意識して対応することが大切です。接し方について、順番にみていきましょう。

声をかけて話を聞く

うつ病の兆候がみられる社員には、声をかけて話を聞くことが大切です

社員の変化に気づいたら、プライバシーに配慮しつつ、静かな場所で1対1で話す機会を設けましょう。「最近、体調はどうですか?」「何か困っていることはありませんか?」といった声かけから始めることがおすすめです。

自分自身がうつ病を発症していると気づくのは、難しいかもしれません。もし気づいていても、周囲には言えずに抱え込んでいる人もいるでしょう。

話を聞く際は、相手の言葉をさえぎらず、共感的な態度で耳を傾けることが重要です。うなずきや相づちを打つなど、しっかりと聞いている様子を見せましょう。ただし、無理に話させようとせず、相手のペースを尊重するようにしましょう。

むやみに励まさない

うつ病の兆候がみられる社員に対しては、むやみに励まさないことが重要です。

「頑張れ」「気合いで乗り越えよう」といった励ましの言葉は、逆効果になることがあります。うつ病の人は自分を責めがちで、励ましの言葉によってさらに自分を追い詰めてしまう可能性があるからです。

代わりに「無理しないでください」「ゆっくり休んでください」といった言葉をかけ、本人の気持ちに寄り添うことが大切です。「あなたの体調が一番大事です」と伝え、本人の健康を気づかいましょう。

参考:ご家族にできること|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

うつ症状の原因を追究しない

うつ病の兆候がみられる社員に対して、どうして発症したのか、原因を追究しないようにしましょう。

うつ症状の原因は複雑で、本人も明確に理解していないことがあります。「なぜ調子が悪くなったの?」といった質問は、相手を追い詰めてしまうかもしれません。

原因を探るのではなく、社員の現在の状況や気持ちに焦点を当てて、話を聞くようにしましょう

たとえば「今、どんなことに困っていますか?」「会社として何かサポートできることはありますか?」といった質問をすれば、本人が必要としている支援を把握できます。原因を追究するよりも、今後のサポート方法を一緒に考えることが大切です。

参考:ご家族にできること|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

うつ病の社員が休職・復職する際の会社の対応

うつ病の社員が休職・復職する際の会社の対応

うつ病の社員が休職・復職する際に、会社は適切に対応することが大切です。それぞれの場面について、詳しくみていきましょう。

休職するとき

社員がうつ病で休職するときは、会社側の適切な対応が重要です。休職に必要な手続きを明確に説明し、労働者が病気休業期間中に安心して療養できるよう支援します。

具体的な情報提供としては、傷病手当金などの保障や休業の最長期間、相談窓口・職場復帰支援サービスの紹介などがあります。社員が安心して療養に専念できるよう、精神的・経済的な不安を軽減することが重要です。

さらに、休職中の会社との連絡は、窓口を1つに絞り、必要最低限にするように事前に伝えることで、休養に専念できる環境づくりをしましょう。

参考:第3回 社員がメンタルヘルス不調で休業することになったら:社会保険労務士に聞いてみよう-メンタルヘルスQ&A-|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

復職するとき

うつ病の社員が復職するときも、会社側がしっかり対応をしましょう。

事業者は主治医の診断書をもとに、産業医や人事部門と連携して復職できるかを判断します。復職できると判断された場合は、職場復帰支援プランを作成します。

産業医などによる安全配慮義務に関する助言を参考に、治療上の配慮や就業上の配慮について必要性を十分に検討します。本人と相談しながら必要に応じて、業務内容の見直しや勤務時間の調整を行うなど、就業上の措置を決定します。

復職後は定期的に面談を行い、体調や業務の状況確認を行います。社員が無理なく職場に適応できるよう、病気の再燃・再発が起こらないよう継続的なサポートを心がけましょう。

参考:心の健康問題により 休業した労働者の職場復帰支援の手引き(PDF)

まとめ:うつ病の社員には適切な対応をしよう

まとめ:うつ病の社員には適切な対応をしよう

社員のうつ病の兆候に気づくためには仕事のミスの増加、勤怠の乱れなど普段と違った様子がないか、気にかけることが重要です。

うつ病は、適切な対応によって回復が期待できる病気です。

企業は、社員の心の健康に配慮し、うつ病の兆候に早期に気づき、適切なサポートを提供することで、社員の回復と職場全体の生産性向上に貢献することができるので、ぜひ積極的な支援をご検討ください。

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