離婚に迷う場合の相談先は?夫婦間の対話はカウンセリングも頼ろう

【この記事でわかること】
- 離婚に関する悩み別の適切な相談先
- 親権・養育費・財産分与など、離婚に伴う具体的な問題の相談窓口
- 離婚を決めた後の法的な手続きの種類と流れ
- 夫婦関係の修復を目指すためのカウンセリングという選択肢
- 離婚のストレスが従業員の心身に与える影響と、企業ができるサポート
「パートナーが浮気をしているかもしれない…」
「自分一人だけがモヤモヤしている…」
パートナーとのすれ違いや、疑念からくる不安で悩んでしまう人は多いのではないでしょうか。疑いの気持ちから衝突が増え、離婚の選択肢も頭をよぎるものの、自分一人だけでは決めきれないと悩んでいるのかもしれません。
そんなときは、一人で抱え込まず、専門機関に相談することで悩みの解決や関係修復ができる可能性があります。また、もし関係修復が難しくても、自分が納得できる形で次のステップに進めるようになるでしょう。
本記事は、離婚に関する悩みについて、どのような専門機関に相談ができるかをまとめています。また、最終的に離婚という選択肢をとる場合も、具体的な悩みの相談先を紹介しています。
離婚という個人的な問題は、働く上での心身の健康にも大きな影響を与えます。そのためこの記事は、いま悩みを抱えているご本人だけでなく、従業員の心身の健康と生産性の維持・向上を考える人事労務担当者の方にも役立つ視点を提供します。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
離婚に迷う場合の相談先は?

パートナーとの間で価値観の不一致があったり、不倫の疑惑があったり、暴言を吐かれていたりして離婚の選択肢が頭をよぎる場合は、いったん心を落ち着けて冷静に状況を整理してみることをおすすめします。
悩みの内容によって、適切な相談先は異なります。
具体的な悩み別に、代表的な相談内容と相談機関を以下に紹介していますので、参考にしてみてください。
価値観の不一致があり話し合いで解決したい
パートナーとの関係が悪化する主な原因としては価値観の不一致が挙げられます。
例えば、以下のように挙げ始めたらきりがないくらい重要なテーマがいくつもあるものです。
- 2人の間に子どもが欲しいか
- セックスの頻度
- 金銭や家事の分担
- それぞれの自由な時間の取り方
- 両親との同居や介護
このような繊細なテーマについて話し合いが必要な場合は、夫婦カウンセリングを受けてみることをおすすめします。詳細については後述します。
パートナーが不倫をしているかもしれない
「パートナーが不倫しているかも」と疑っているが確かではない場合は、自分自身で証拠を集めたり、探偵を雇い浮気調査を依頼したりする必要があります。
事実の確認を行い話し合いを円滑に進めるためです。また、後に法的に慰謝料請求をする場合に「肉体関係があったこと」がわかるような証拠が必要なためです。
不倫関係を証明できるものがあり、慰謝料請求を進めたい場合は弁護士に相談をしましょう。
パートナーからDVやモラハラを受けている
パートナーから暴言を吐かれたり殴られたりするなど、DVやモラハラを受けている場合は、市区町村の配偶者暴力相談センターに相談をしてみましょう。
DV被害に性別は関係なく、配偶者暴力相談支援センターは男性からの相談も受け付けています。また、内閣府が設ける「DV相談+(プラス)」では、男性被害者向けの相談窓口も案内されています。
「これってDV?」と判断がつかない場合に相談ができ、緊急時の安全の確保や一時保護、その後に自立した生活を送るための支援などが得られます。もし、今すぐに誰かの助けが必要という場合は迷わずに110番で警察を呼ぶことを視野に入れてください。
参考:内閣府「DV相談+」
離婚に伴う今後の生活に関する相談先は?

いざ離婚に踏み切ろうと決意したときに頭をよぎるのは、子どもの親権や養育費、今後の生活費の不安なのではないでしょうか。
不安を解消しておくためには、離婚に際してどのような経済的援助が受けられるのかを知っておくことが大切です。離婚の理由によっては慰謝料請求できる場合もあるため、事前に相談先を把握しておきましょう。
親権や養育費の取り決めが不安である
離婚を考えており、パートナーとの間に子どもがいる場合は親権や養育費、親子交流の取り決めを事前に考えておく必要があります。
離婚が成立しても、両親にとって子どもが大切な存在であることに変わりはありません。そして子育ては離婚後も続きます。
養育費相談支援センターでは、離婚前の人でも上記内容の相談を電話やメール、チャットを通じて無料で相談可能です。
参考:公益財団法人 家庭問題情報センター「こども家庭庁 委託事業 養育費等相談支援センター」
慰謝料請求や財産分与について知識を得たい
慰謝料請求とは、パートナーの不倫により離婚を余儀なくされた際に被る精神的苦痛に対する損害賠償をいいます。
財産分与は、離婚をする際にパートナーとの間で共同で築いた財産を分配する制度です。預貯金をはじめとして家具や土地代、住宅ローン、保険金などが財産分与に該当します。離婚を考えており、上記内容について知識を得たい場合は法テラスの利用を検討するといいでしょう。
また、お住まいの市区町村役場や、各都道府県の弁護士会でも無料または比較的安価な法律相談を実施している場合があります。まずはこうした公的な相談窓口を利用して、専門家である弁護士の初期的な見解を得ることも有効です。
参考:日本司法支援センター「よくある相談│慰謝料(法テラス)」
参考:日本司法支援センター「よくある相談│財産分与(法テラス)」
離婚後の生活費について相談したい
ひとり親家庭の生活費の支援は、税負担の軽減や各種手当の給付、住居の援助、教育費の援助などさまざまなものが存在します。
このような生活費についての総合的な相談をしたい場合は、市区町村の福祉相談窓口を利用することをおすすめします。
お住まいの市区町村にある福祉相談窓口を利用することをおすすめします。多くの場合、「民生子ども課」や「子育て支援課」といった部署が窓口となります。
参考:名古屋市子ども青少年局 子ども未来企画課「ひとり親家庭等サポートブック」
離婚を決めたら主な手続きは4種類

離婚を決めたら、まずはパートナーとの間で話し合いを行いましょう。話し合いがスムーズに行えれば協議離婚となるのが通常の流れです。
当事者のみでは解決できなかった場合は家庭裁判所で調停や裁判を行います。そして、話し合いは次の順番で進めることが多いです。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 審判離婚
- 裁判離婚
以下に、それぞれの特徴をまとめるので、早速みていきましょう。
- 協議離婚
協議離婚とは、夫婦間の話し合いで離婚に合意し、離婚届を市区町村の役場に提出することで成立する離婚方法です。厚生労働省の統計によれば、離婚をする人のうち87〜88%は協議離婚をしており、最も一般的な方法といえます。
協議離婚のポイントは、事前に話し合うべき内容を漏れのないようにしておくことです。
また、慰謝料や養育費の未払いがあった場合に備えて、話し合った内容を離婚協議書にまとめ、公正証書にしておくことをおすすめします。
- 調停離婚
夫婦間で話し合いができない場合や、パートナーが話し合いに応じてくれない場合は、調停離婚を行うことになります。
調停離婚は、家庭裁判所の離婚調停を利用して子どもの親権者や養育費、親子の面会交流について取り決めることができる方法です。
調停離婚は離婚をする人のうちの約9%が該当するといわれています。裁判所に支払う費用は3千円程度ですが、弁護士に依頼する場合は弁護士費用が別途かかります。
- 審判離婚
審判離婚とは、家庭裁判所が離婚の審判を下して離婚を成立させる離婚方法です。
離婚調停を行っても離婚合意が成立しない場合に行われます。審判離婚は離婚をする人の中でもまれなケースとされています。
話し合いを長引かせることなくスムーズに解決でき、裁判離婚よりも柔軟に対応できるのが特徴です。一方で、異議申し立てがされると裁判が長引くデメリットも存在します。
- 裁判離婚
裁判離婚とは、家庭裁判所で離婚訴訟を起こして離婚を成立させる方法です。
審判離婚でも解決しない場合に行われます。当事者双方が主張と立証をし尽くした上で、裁判官が判決を下すのが特徴です。
判決の前に、裁判所が必要と認めるときには、尋問前後に和解案が提示され、和解が勧告されることがあります。お互いが和解案に合意すれば、和解調書が作成され離婚が成立し、和解離婚となります。
夫婦関係についてはカウンセリングを頼る方法もある

夫婦カウンセリングとは、妻と夫、カウンセラーの3人で夫婦間の問題について話し合い、関係改善を目指すために行うカウンセリングといいます。
話し合いで夫婦間の問題を解決したい、関係修復を行いたい意思のある夫婦であれば夫婦カウンセリングが合っているといえるでしょう。
夫婦関係にある人はもちろん、事実婚の夫婦や、離婚しているが子育てを協力して行っている夫婦なども対象となるものです。
セックスレスについて
セックスレスとは、「特殊な事情が認められないのに、1カ月以上セックスレスがなく、その後も長期にわたることが予想される場合」と定義されています。結婚をすると貞操義務が発生するため、セックスレスは夫婦にとって重大な課題であるといえるでしょう。
特に出産前後は女性側の体調が十分でなかったり、育児でそれどころでなかったりして気持ちのすれ違いが生じやすい時期です。
男性側も育児に積極的に参加し負担を軽減するなど歩み寄りが必要な場面は増えてきます。
コミュニケーションに関すること
夫婦だけではお互いの気持ちや意見を話し合うことが難しい場面は多々生じるでしょう。このような場合は、夫婦カウンセリングを受けるという選択肢もあります。
第三者が間に入り、お互いの気持ちや意見を、言い合いにならないように調整しながらやり取りできるよう進めます。
そのため、課題を特定しやすく、解決のための糸口や折衷案も見つけやすくなるでしょう。
家事・育児・金銭・義実家との付き合い方など
家事や育児、家計の分担、義実家との連絡頻度など、夫婦がそれぞれ異なる意見を持ちやすいテーマは数えきれないほど存在します。
意見のすれ違いが深刻になると、家庭内不和となる場合もあるため注意が必要です。
夫婦間で話し合いを行った上で、明確に役割を設定し、お互いが歩み寄った上で柔軟性を持って分担をすることが大切です。家計についてはファイナンシャルプランナーを頼るなど、話し合うことで具体的な相談先が見えてくることもあります。
具体的な解決策が見つからない場合は個別相談もおすすめ
離婚という大きな決断や環境の変化は、多大なストレスを伴います。「関係修復が難しい」「経済的な理由で離婚に踏み切れない」といった悩みが頭から離れず、以下のような不調が生じることもあります。
- 意欲や興味がわかない
- 仕事に集中できない
- 眠れない など
このようなメンタルヘルスの不調時には、一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも大切です。
心身の不調が続く場合は、精神科や心療内科の受診も選択肢の一つです。薬物療法や臨床心理士によるカウンセリングで、つらい気持ちが和らぐ可能性があります。また、お勤めの会社によっては、従業員のメンタルヘルスをサポートする体制が整っています。
例えば、産業医や保健師がいる職場であれば、プライバシーが守られた環境で安心して相談できます。離婚問題が直接仕事に関係なくても、ストレスによる心身の不調は業務パフォーマンスに影響を与えかねません。
特に、ストレスチェックで「高ストレス者」と判定された場合は、産業医との面談を積極的に活用しましょう。これは、自身のストレス状態に気付き、専門的なサポートを受ける良い機会です。
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まとめ:離婚の不安を解消し人生の選択肢を広げよう

本記事では、離婚に迷ったときの悩み別の相談先から、離婚を決めた後の手続き、そして夫婦関係を改善するためのカウンセリングまで幅広く解説しました。
パートナーとの関係に悩み、離婚が頭をよぎるときは、一人で抱え込まずに専門家へ相談することで、解決の糸口が見つかるかもしれません。関係を修復したい場合は夫婦カウンセリング、離婚へ進む場合は法テラスなど、ご自身の状況に合わせて適切な相談先を選びましょう。
離婚というプライベートな問題は、従業員の心身に大きなストレスを与え、仕事の生産性や集中力の低下につながることも少なくありません。
企業としては、従業員が安心して相談できる環境を整えることが、人材定着や生産性維持の観点からも、ひいては健康経営の推進においても重要です。
従業員が個人の悩みを乗り越え、いきいきと働ける職場づくりの一環として、EAP(従業員支援プログラム)の導入や、相談しやすい体制の構築を検討してみてはいかがでしょうか。具体的な取り組みについて関心のある人事労務担当者様はぜひお気軽にSUGARへお問い合わせください。
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離婚に迷っていて、誰に相談すればいいですか?
離婚に関する悩みは、その内容によって相談先が異なります。
夫婦関係の修復や話し合いでの解決を目指す場合:夫婦カウンセリング
パートナーの不倫(浮気)を疑っている場合:探偵、弁護士
DVやモラハラを受けている場合:配偶者暴力相談支援センター、警察(緊急時)
上記のように、ご自身の状況に合わせて専門家を選ぶことが重要です。離婚後の子どもの親権や養育費について、どこに相談できますか?
お子さんの親権や養育費、面会交流に関する取り決めについては、「養育費相談支援センター」が利用できます。こちらは離婚前の方でも電話やメール、チャットで無料相談が可能です。
慰謝料や財産分与について知識を得たい場合はどうすればいいですか?
パートナーの不倫などが原因で離婚する場合の「慰謝料」や、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を分ける「財産分与」については、日本司法支援センター「法テラス」に相談することをおすすめします。経済的な事情がある場合には、無料の法律相談も利用できます。
離婚後の生活費が不安です。どのような支援がありますか?
ひとり親家庭に対する公的な支援には、税負担の軽減、児童扶養手当などの各種手当、住居や教育費の援助など、さまざまな制度があります。お住まいの市区町村の福祉相談窓口(例:民生子ども課)で総合的な相談が可能です。
夫婦関係を修復するために、カウンセリングは有効ですか?
はい、有効な選択肢の一つです。夫婦カウンセリングでは、専門のカウンセラーが第三者として間に入ることで、感情的な対立を避け、冷静な話し合いを促進します。お互いの気持ちや意見を整理し、関係改善の糸口を見つけやすくなるでしょう。
離婚のストレスで仕事に集中できません。職場で相談できる場所はありますか?
はい、お勤めの会社に相談窓口がある場合があります。特に、産業医や保健師がいる職場であれば、プライバシーが守られた環境で安心して相談できます。離婚という個人的な問題であっても、それによるストレスが心身の不調や業務パフォーマンスの低下につながることは少なくありません。専門的な立場からアドバイスをもらえるため、一人で抱え込まずに相談してみましょう。また、ストレスチェックで高ストレスと判定された際の産業医面談も活用することをおすすめします。
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