エゴグラムW型はどんな性格?自我状態の特徴とアドバイスを解説

エゴグラムW型はどんな性格?自我状態の特徴とアドバイスを解説

エゴグラムでは、5つの自我状態のバランスを類型化して、自分自身の結果をよりわかりやすく捉えることが可能です。

たとえば、各尺度のうち1つが突出している優位型、1つの尺度が突出して低い低位型が存在します。また、各尺度のバランスに応じて、グラフの形から以下のように分類されます。

  • 台形型
  • U型
  • N型
  • 逆N型
  • M型
  • W型
  • 平坦型 など

本記事ではエゴグラムW型を取り上げ、性格傾向と特徴、アドバイスをまとめました。

自分自身の型を知ることは、職場での円滑なコミュニケーションや働き方を意識する上でも大変役に立ちます。組織力の向上にもつながります。
エゴグラム性格診断を受けてみたけれど、W型の特徴をより詳しく知りたいという人は、ぜひ参考にしてみてください。

W型の性格傾向と特徴

W型の性格傾向と特徴

エゴグラムにおけるW型とは、グラフの形状がアルファベットの「W」の形に似ているタイプを指します。具体的には、5つの自我状態のうちCP(批判的な親)・A(成人・大人)・AC(順応した子ども)が高く、NP(養育的な親)・FC(自由な子ども)が低いという特徴があります。

一言でいえば、「真面目で責任感が強く、冷静な分析が得意な一方で、人間関係では少し不器用さを感じやすいタイプ」といえるでしょう。

W型の人はその特性から、特定の職種で高い能力を発揮する傾向があります。以下の表でW型の全体像を掴んだ後、それぞれの自我状態が性格にどう影響しているのかを詳しく見ていきましょう。

W型の分析結果
自我状態の要素 W型における傾向 性格・行動への影響
CP (批判的親) 高い 責任感が強く、理想を追求する。完璧主義な面も。
A (成人・大人) 高い 冷静沈着で、客観的・論理的な分析が得意。
AC (順応した子ども) 高い 協調性が高く、ルールや規範を忠実に守る。
NP (養育的親) 低い 他者への干渉が少なく、サッパリとした関係を好む。
FC (自由な子ども) 低い 感情表現が控えめで、自発的な行動は少し苦手。
自我状態の要素
CP (批判的親)
W型における傾向
高い
性格・行動への影響
責任感が強く、理想を追求する。完璧主義な面も。
自我状態の要素
A (成人・大人)
W型における傾向
高い
性格・行動への影響
冷静沈着で、客観的・論理的な分析が得意。
自我状態の要素
AC (順応した子ども)
W型における傾向
高い
性格・行動への影響
協調性が高く、ルールや規範を忠実に守る。
自我状態の要素
NP (養育的親)
W型における傾向
低い
性格・行動への影響
他者への干渉が少なく、サッパリとした関係を好む。
自我状態の要素
FC (自由な子ども)
W型における傾向
低い
性格・行動への影響
感情表現が控えめで、自発的な行動は少し苦手。

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関連記事:エゴグラムとは?5つの自我状態から分かる性格特徴について解説

①:自分や周りに対する責任感が強い

W型の人は、自我状態の一つであるCP(Critical Parent:批判的な親)が高い傾向にあります。

CPが高い傾向とは、理想や規範を重んじ「物事はこうあるべきだ」という強い信念となって表れます。CPが高い特性は、目標達成に向けて迷いなく進むための強力なエンジンとなり、特にリーダーシップが求められる場面で大きな強みとなるでしょう。

そのため、CPが高い人は仕事やプライベートで「完璧にやり遂げたい」という強い思いを抱くことがあるかもしれません。

ただし、CPのエネルギーが高すぎると自分の価値観を他人に押し付けてしまったり支配的に見られたりする可能性があるため、意識的なバランスが必要です。

②:状況を冷静に分析する傾向がある

W型の人は、A(Adult:成人・大人)が高いという特徴も持ち合わせています。

Aが高い状態は、感情に流されることなく、物事を客観的かつ論理的に捉える能力を意味します。事実に基づいた冷静な判断力は、問題解決の場面で役立ち、先を見通して計画的に行動することを可能にします。

A型高い場合、収集したデータを分析し改善策を提案するエンジニアや研究職、コンサルタントといった適職で活躍する人が多いと考えられています。

一方で、Aの側面が強く出すぎると、周囲から「理屈っぽい」「クールで人間味に欠ける」といった印象を持たれやすい点には少し注意が必要かもしれません。

③:協調的でルールに忠実である

W型の人は、AC(Adapted Child:順応した子ども)も高い傾向が見られます。

ACは、周囲の期待やルールに合わせて行動する、社会的な適応能力に関わる自我状態です。ACが高いと、組織のルールや暗黙の了解を敏感に察知し、波風を立てずに忠実に行動できます。

そのため、大企業の従業員や公務員など、組織への協調性が重視される環境で高い適応力を発揮するでしょう。

しかし、その反面で自分の意見を抑え、相手の顔色をうかがいすぎてしまうことがあります。主体性の欠如や自己主張の少なさから、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでしまう傾向があります。

④:相手に必要以上に干渉しない

W型は、NP(Nurturing Parent:養育的な親)が低い傾向にあります。

NPは、他者への共感や思いやり、面倒見の良さといった「育む心」を司る自我状態です。このNPが低いということは、他者の感情的な側面に深入りせず、サッパリとした人間関係を好むことを意味します。

自分のペースを大切にし、他人に必要以上に干渉しないため、自立した個人同士の関係性を築くことができます。

しかし、チームで協力する場面や、部下を育成する立場になった際には、周囲から「冷たい」「関心がない」と誤解されてしまう可能性も否定できません。

⑤:感情をあまり表に出さない

W型の人は、自我状態の一つであるFC(Free Child:自由な子ども)が低いことも特徴です。

FCは、好奇心や創造性、遊び心といった、ありのままの感情表現を司ります。このFCが低いと、感情を内に秘めてあまり表に出さず自己表現が苦手な傾向が強まります。

FCが高い人の場合、嬉しい時や楽しい時でも、どこか冷静に自分を抑えてしまうことがあるかもしれません。

既存のルールや枠組みの中で行動することは得意ですが、新しいアイデアを生み出したり、柔軟な発想を求められたりする場面では、少し窮屈さを感じてしまうかもしれません。

W型が抱えやすい生きづらさの特徴

W型が抱えやすい生きづらさの特徴

W型は、その真面目で責任感の強い性格から、別名「苦悩型」や「自他否定型」と呼ばれることもあります。これは、W型の人が持つ自我状態のバランスが、内面的な葛藤を生み出しやすいためです。

もしかすると、W型の人によっては日々の生活の中で、原因のわからない生きづらさやストレスを感じているかもしれません。

ここでは、W型が抱えやすい生きづらさの具体的な特徴を2つのポイントから解説します。また、他の性格タイプとの相性としては、感情表現が豊かなタイプとは距離を感じやすく、同じく完璧主義なタイプとは衝突しやすい傾向があるとも考えられています。

参考:建設荷役車両安全技術協会「人間関係の心理学」

自他に厳しく心のゆとりが少ない

W型の人が抱える生きづらさの根源の一つは、自分にも他人にも厳しい批判的な目を向けてしまう点にあります。

これは、高いCP(批判的な親)とA(成人・大人)の組み合わせによるものです。CPが「こうあるべきだ」という高い理想を掲げ、Aがその理想に達していない現実を冷静に分析してしまうため、自分や他人の「できていない点」ばかりが目についてしまうためです。

例えば、一日の終わりに「あの時こうすれば良かった」と仕事のミスを延々後悔したり、他人の些細な言動にイライラしたりすることが多くなりがちです。

さらに、NP(養育的な親)とFC(自由な子ども)が低いため、そのネガティブな感情を誰かに相談したり、うまく発散したりすることが苦手で、一人で抱え込んでしまう傾向が強いといえます。

意見を飲み込んで周囲に合わせてしまう

自他への厳しい視点に加え、高いAC(順応した子ども)の特性が、W型の人の生きづらさに拍車をかけます

心の中では「それは違う」「こうしたい」といった意見や不満を抱えていても、周囲との調和を優先し、波風を立てることを恐れて意見を飲み込んでしまいがちです。

その結果、W型の人は人一倍ストレスを内側に溜め込みやすいタイプといえるでしょう。

通常であれば、どこかで「もう考えるのはやめよう」「少し力を抜こう」と割り切れるかもしれません。しかし、高いCP(批判的な親)を持つW型の人は、目的達成への意識が強く、妥協を許せないため、常に心身が緊張状態です。この状態が続くと、集中力の低下や不眠といった不調をきたしやすいとされています。

W型の人へのアドバイス

W型の人へのアドバイス

ここまで読んで、W型の特性に「まさに自分のことだ」と感じた人も多いかもしれません。

しかし、自分自身を責める必要はまったくありません。大切なことは、自分自身の心の癖を理解し、少しだけバランスを整える意識を持つことです。

W型のあなたがより生きやすくなるためのアドバイスは、心の「栄養」となるNP(養育的な親)とFC(自由な子ども)のエネルギーを高め、少し過剰になっているCP(批判的な親)・A(成人・大人)・AC(順応した子ども)の働きを和らげることに集約されます。

以下に詳細をまとめていますので、早速みていきましょう。

参考:厚生労働省「15分でわかる初めての交流分析4 エゴグラム編」

NP(養育的親)FC(自由な子ども)を高める

まず、自分や他人を温かい目で見守るNP(養育的親)を高めることから始めてはいかがでしょうか。

日頃から「できなかったこと」ではなく、「できたこと」「うまくいったこと」に意識的に目を向けるのがおすすめです。完璧な成功でなくても、「以前より少し進歩したな」という小さな変化を見つけるのがポイントです。

次に、ありのままの感情を楽しむFC(自由な子ども)を高めるために、以下のような自分の「好き」や「楽しい」を大切にする時間を確保してみてください。

  • 週末に30分だけ、好きな音楽に没頭する
  • 美味しいと感じたものを「美味しい!」と声に出してみる
  • 子供の頃に好きだったことを思い出してみる

こうした小さな行動が、あなたの心に遊びと潤いをもたらしてくれるでしょう。

CP(批判的な親)A(成人・大人)AC(順応した子ども)を下げる

NPとFCを高める取り組みは、結果的にCP・A・ACのエネルギーを和らげることにも繋がります。

例えば、CP(批判的な親)の働きを緩めるには、先ほどの「良いところ探し」に加えて、「〇〇さんのそういうところが素敵ですね」と相手に直接伝えてみることが効果的です。他人を認めることは、自分を認めることにも繋がります。

また、AC(順応した子ども)やA(成人・大人)の働きを和らげるには、FC(自由な子ども)を高めることが役立ちます。「~と思う」という思考的な言葉を、「~と感じる」という感情的な言葉に置き換える癖をつけるのも良い方法です。

そして、「やりたくないな」と感じることに費やす時間を意識的に減らし、自分の心が喜ぶことを優先する勇気も大切です。

TPOに応じて適切な特性を使うことが大切

TPOに応じて適切な特性を使うことが大切

エゴグラムは、性格を固定的に判断するためのツールではありません。むしろ、状況に応じて使い分けることができる「心の道具箱」のようなものと捉えるのが適切です。

人の心はTPO(TPO:Time(時) Place(場所) Occasion(場合))に合わせて変化します。TPOに合わせて全ての特性がバランスよく使えるようになることが理想です。

たとえば部下や後輩育成の際には、NP(養育的親)を意識して使えるようになることが自分自身の人材育成力を高めるためにも役立つでしょう。

以下に、とくにW型の苦手とする人材育成場面において、部下や後輩と摩擦なく接するためのポイントをまとめていますので、参考にしてみてください。

相手の言い分や立場を想像して接してみる

相手への共感力、すなわちNP(養育的親)の働きを高めるためには、まず相手の話を最後まで真摯に聞くことが最も重要です。

相手の言葉に耳を傾けることで、その発言や行動の背景にある事情や想いへの理解が深まります。ただ聞くだけでなく、以下の5Wを意識して質問を投げかけると、相手はより話しやすくなるでしょう。

  • いつ(When):それはいつ起こりましたか?
  • どこで(Where):どの場所での出来事ですか?
  • 誰が(Who):誰が関わっていましたか?
  • 何を(What):具体的に何が起きましたか?
  • どのようなきっかけで(Why):なぜそうなったのでしょうか?

相手への理解が深まれば、自然と共感的な気持ちが生まれ、サポートする姿勢で接しやすくなります。

適切な方法を用いて自分の意見を表明する

W型の人の強みであるCP(批判的な親)の「正しさ」や「理想」を、周囲との摩擦なく伝えるには、アサーティブコミュニケーションの技術が非常に役立ちます。

アサーティブコミュニケーションとは、相手の立場を尊重しつつ、自分の意見や気持ちを誠実に、対等な立場で伝える方法です。ポイントは、客観的な事実と、それに対する自分の気持ち、そして相手が受け入れやすい具体的な提案をセットで伝えることです。

例えば、部下の仕事の遅れを指摘する場面で、次のように伝え方を工夫してみてはいかがでしょうか。

モバイルファースト レスポンシブテーブル

アサーティブな伝え方のNG例と改善案

フレーズ 指摘
NG例 午後に仕上がるはずの書類がまだ出ていないよ。
改善案 (アサーティブな伝え方) (事実)「午後に仕上がる予定の書類の件だけど、」
(気持ち)「状況が分からなくて少し心配しているんだ。」
(提案)「何かトラブルかな? 17時までには確認したいから、もし難しそうなら今、手伝えることがないか教えてくれる?」

このように伝えることで、相手を追い詰めることなく、建設的な解決策を探ることができます。

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関連記事:アサーションを職場に取り入れるには?実践方法やメリットについて解説

参考:一般社団法人 日本アサーション協会「協働のためのアサーション・トレーニング」

まとめ:生きやすくなるためにエゴグラムを活用しよう!

まとめ:生きやすくなるためにエゴグラムを活用しよう!

エゴグラムW型の人は、自他に厳しく、物事を冷静に客観視して分析する力があり、組織のルールにしたがって行動することは得意です。一方で、他人の気持ちを想像して接したり、日頃から雑談などで密なコミュニケーションをとったり、自分の気持ちを思うままに表現したりすることは苦手です。

CP(批判的な親)を下げ、NP(養育的な親)を高めるために、相手の言い分や立場を想像して接することが役立ちます。また、アサーティブなコミュニケーションスキルを身につけることもポイントです。

この記事で紹介したように、まずは自分の心の声に耳を傾け、自分や他人の「できたこと」に目を向けることから始めてみてください。W型の人が持つ素晴らしい能力を活かしながら、よりしなやかで軽やかな毎日を送るために、エゴグラムというツールをぜひ活用していきましょう。

  1. エゴグラムW型とは、一言でいうとどんな性格ですか?

    エゴグラムW型は、「真面目で責任感が強く、冷静な分析が得意な一方で、人間関係では少し不器用さを感じやすいタイプ」といえます。自我状態ではCP(批判的な親)・A(成人・大人)・AC(順応した子ども)が高く、NP(養育的な親)・FC(自由な子ども)が低いという特徴を持ちます。

  2. W型の人が仕事でストレスを感じやすいのはなぜですか?

    W型の人は、自分にも他人にも高い理想を課す(高いCP)一方で、周囲に合わせて自分の意見を飲み込んでしまう(高いAC)傾向があります。この内面的な葛藤が大きなストレスの原因となります。また、ネガティブな感情をうまく発散するのが苦手(低いFC)なため、一人で抱え込みやすい点も理由の一つです。

  3. W型の性格を改善するために、明日からできることは何ですか?

    まずは、自分や他人の「できなかったこと」ではなく、「できたこと」や「良かったこと」を意識的に探す習慣をつけるのがおすすめです。また、週末に少しだけ好きな音楽を聴く時間を作るなど、自分の感情が喜ぶ小さな行動を試してみてください。心のバランスを整える第一歩になります。

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