花粉症は仕事に影響がある?仕事への影響と手軽にできる対策を解説

春は花粉症の季節です。くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、症状に悩まされる人は少なくありません。
花粉症の症状は、仕事のパフォーマンスにも大きな影響を与えます。集中力の低下、体調不良による遅刻や欠勤など、花粉症による労働生産性の損失は企業にとっても深刻な問題です。
本記事では、花粉症が仕事に与える影響と、企業で花粉症対策が必要な理由について解説します。手軽にできる対策についても紹介しますので、花粉症と仕事との関係について理解したい人は参考にしてみてください。
花粉症とは?

花粉症とは、花粉が原因で起こるアレルギー性疾患です。
患者数は正確に把握されていませんが、国民病といわれるほど多くの人を悩ませています。症状によって集中力や判断力が低下し、仕事のパフォーマンスを落としてしまいます。
花粉症が発症する機序などについて、以降で具体的に紹介します。
花粉症のメカニズム
花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が原因で起こるアレルギー性疾患です。花粉が体内に入ると免疫機能が過剰に反応し、ヒスタミンなどの化学物質が放出されます。
化学物質が鼻や目の粘膜を刺激し、鼻炎、咳、皮膚炎などの症状を引き起こします。症状は個人差が大きく、軽度のものから日常生活に支障をきたす重度のものまでさまざまです。
花粉症の患者数
花粉症の正確な患者数はわかっていません。環境省の調査によると、スギ花粉症の有病率は10代~50代で45%以上というデータがあります。
これまでに報告された花粉症は50種以上ありますが、一般的に最も多い花粉症はスギやヒノキの花粉を原因とするものです。スギ花粉症の有病率の高い10代~50代では、スギ以外の花粉症の有病率も30%前後と高くなっています。
花粉症は、もはや国民病ともいえるほど、多くの人が悩まされている疾患です。
花粉症の仕事への影響
花粉症の症状は、仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えます。近年、花粉症による労働生産性の低下は「プレゼンティーズム」として注目されています。プレゼンティーズムとは、出勤しているにもかかわらず、健康問題で生産性が低下している状態のことです。
プレゼンティーズムの原因としては、次のような不調が挙げられます。
- 集中力や判断力の低下
- 体調不良によるミスの増加
- 遅刻や欠勤 など
とくに、重要な会議やプレゼンテーションなど、集中力が必要な場面では、パフォーマンスの低下が顕著です。
実際に、多くの人が花粉症の時期になると、朝の出勤時から気分が優れなかったり、日中の仕事の能率が著しく下がったりすると感じています。頻繁なくしゃみや鼻水、目のかゆみは、パソコン作業や細かい業務への集中を妨げ、普段どおりの力を発揮するのが難しい状態です。
そのため、個人の対策だけでは限界があり、空気清浄機の設置や換気の工夫、業務量への配慮など、職場における理解や環境改善を求める声も少なくありません。快適に働ける環境が、仕事の質を保つ上で重要になっています。
下記の記事では、職場における花粉症対策について具体的に解説しているので、合わせてご覧ください。
関連記事: あなどれない花粉症の職場への影響とは?企業向け対策を具体的に解説
企業で花粉症対策が必要な理由2つ

企業で花粉症対策が必要な理由は、主に以下の2つです。
- 理由1. 生産性の損失を防止するため
- 理由2. 企業としての責任を果たすため
理由を知ることは、対策を検討する際の参考になります。
理由1. 生産性の損失を防止するため
生産性の損失を防ぐために、企業で花粉症対策を行いましょう。
経済産業省は、花粉症による労働生産性の損失を重要な課題と捉え、企業に対して対策を推進しています。花粉症によるプレゼンティーズムは、企業の業績にも悪影響を与える可能性があります。
従業員の健康管理は企業の重要な責務であり、また生産性向上にもつながるでしょう。企業が花粉症対策に取り組むことで、従業員のモチベーションや企業イメージの向上も期待できます。具体的な対策としてあげられるのは、テレワークの導入やオフィス環境の改善などです。
理由2. 企業としての責任を果たすため
企業としての責任を果たすために、花粉症対策は必要です。
労働契約法第5条では、企業は従業員の安全に配慮する義務があると定めています。花粉症による体調不良は、従業員の安全を脅かす可能性があり、企業は従業員が安心して働ける環境を提供しなければなりません。
企業が花粉症対策を行うのは、社会的責任を果たす上でも重要です。具体的な対策としては、多様な働き方を取り入れることのほかに、治療費の補助、相談窓口の設置などが挙げられます。休養だけでは改善せず、症状が長期化する場合もあります。
参考:労働契約法第5条
手軽に実践できる花粉症対策5つ

手軽に実践できる花粉症対策は、以下の5つです。
- 対策1.花粉の多い日は自宅や室内作業をする
- 対策2.空気清浄機や加湿器を活用する
- 対策3.花粉を室内に持ち込みにくいルールを作る
- 対策4.生活習慣を見直す
- 対策5.花粉症について学ぶ
花粉症対策するうえで、参考にしてください。
対策1.花粉の多い日は自宅や室内作業をする
花粉の飛散量が多い日は自宅や室内で作業すると、花粉との接触を減らせます。
テレワークや在宅勤務を採用している場合には、積極的に活用を推奨しましょう。
通勤によるストレスが軽減され、心身の負担が軽くなります。また、時差出勤を取り入れている場合は、花粉が多い昼前後や夕方を避けて外出するのがおすすめです。
参考:厚生労働省「花粉症予防行動に関する普及啓発について(PDF)
対策2.空気清浄機や加湿器を活用する
室内に空気清浄機や加湿器を設置することで、花粉濃度を下げ、快適な環境を維持できます。
とくに、高性能な空気清浄機は花粉だけでなく、PM2.5などの有害物質も除去可能です。
加湿器は室内の乾燥を防ぎ、鼻やのどの粘膜を保護する効果があります。
対策3.花粉を室内に持ち込みにくいルールを作る
入り口に粘着ローラーを設置したり、衣服についた花粉を払い落としたりするルールを設けます。
ウール素材の洋服・露出が多い洋服は花粉が付きやすいため、なるべく着用を避けましょう。
また、窓の開閉時間を制限すると、花粉の侵入を防げます。換気をする際には、窓を開ける幅を狭くしましょう。さらに、レースカーテンを付けると室内に入る花粉を減らせます。清掃を徹底することで、より多くの花粉を除去できるでしょう。
参考:厚生労働省「花粉症予防行動に関する普及啓発について」(PDF)
対策4.生活習慣を見直す
十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、生活習慣を見直すことで、免疫力を高め花粉症の症状を緩和できます。
また、ストレスをためないようにリラックスできる時間をつくりましょう。禁煙や禁酒も花粉症の症状緩和に効果があるので、実施してみてください。
対策5.花粉症について学ぶ
花粉症に関するテレビ番組や本・雑誌から情報を得ると、花粉症の知識向上を図れます。
正しい知識を持つことで、適切な対策を講じられ、症状の悪化を防げます。新しい治療法や薬の情報も得られると、対策の選択肢を広げられます。
花粉症の薬というと眠くなると困っている人もいるかもしれませんが、改良が進み、眠くなりにくいお薬も出ています。以下の記事に解説がありますので、あわせてご覧ください。
参照:Medical DOC「眠くならない花粉症薬」を知っていますか?」
まとめ:花粉症対策してパフォーマンスを維持しよう!

花粉症対策は健康を守るだけでなく、企業の生産性向上にもつながる重要な取り組みです。
企業全体で花粉症対策に取り組み、従業員が安心して働ける環境をつくりましょう。
個人でも花粉症対策を実施し、快適に仕事に取り組めるようにしましょう。
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