誠実性とは?性格特性や適した職種、職場に与える影響などを解説
「誠実性」は、個人の性格特性を評価する上で重要な要素の一つです。真面目さや責任感の強さなど、仕事や人間関係において大きな影響を与えます。
自分の誠実性がどれくらいあるかを知ることは、キャリア選択や適性理解の参考になります。管理職の人にとっては、従業員の能力を生かすためのポジション決めにも役立ちます。
本記事では、誠実性の性格特性や誠実性が高い人に向いている職種などを解説します。職場にもたらすメリットも説明していますので、より良いキャリア形成や職場環境の構築にお役立てください。
誠実性とは
誠実性には「真面目」「勤勉」「責任感」「秩序を守る」などの特性があります。性格構造モデルを示す「ビッグファイブ理論」で唱えられており、性格を構築する要素の一つです。誠実性のほかには「外向性」「協調性」「神経症傾向」「開放性」があります。
ビッグファイブ理論に基づいた性格特性は、日本語版ビッグファイブ「TIPIーJ」などで測定することができます。5つの因子の強弱や組み合わせによって、個々人の特性を把握するものです。
ビッグファイブの5つの因子の一つ「誠実性」の高さを知ることは、自己理解を深めたり、職場での適性を把握したりするのに役立ちます。管理職の人にとっては、従業員の誠実性を理解して、業務の配分決めや人材育成に生かせるでしょう。
参考:発達心理学研究「ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性の年齢差と性差:大規模横断調査による検討」(PDF)
関連記事:【10個の質問で性格診断】ビッグファイブ理論を組織に生かす方法
誠実性が高い人の性格特性
誠実性の高さは、職場や日常生活において、重要な役割を果たします。どのような特性があるのか、順番に見ていきましょう。
真面目である
誠実性が高い人の特性には、真面目さが挙げられます。
真面目な人は、与えられた仕事に対して、常に真剣に取り組む姿勢を持っています。自分の役割を重視し、怠けることなく最善を尽くそうと努力します。
仕事の質を高めるために、細かい部分まで注意を払い、丁寧に作業を進められます。周囲からの信頼を得やすく、キャリア形成において有利に働くでしょう。
責任感が強い
誠実性が高い人は、責任感が強いです。
自分の行動に対して、しっかりと責任を持つ覚悟があります。自分の役割が、全体の仕事にどのような影響を与えるかを理解しています。
問題が発生したときには、解決に向けて行動を起こせます。責任感の強さは、職場での信頼関係を築くのに役立ち、リーダーシップを発揮する機会にもつながるでしょう。
誠実性が低い人の性格特性
誠実性が低い人は、適応力や行動力に優れている傾向があります。誠実性が低い性格には、どのような特性があるのでしょうか。
適応力がある
誠実性が低い人には、適応力がある傾向があります。
環境の変化やトラブルに対して、柔軟に対応できるのです。固定観念にとらわれずに、新しい考え方や方法を受け入れる能力を持っています。
また、さまざまな価値観や文化を持つ人々と協力する際にも、周囲に合わせて行動を調整できます。変化の激しい現代社会において、適応力は大切なスキルの一つです。
考える前に行動できる
誠実性が低い人は、考える前に行動できる傾向があります。
考える前に行動できる人は、判断力や即興力に優れています。細かい計画を立てなくても、その場の状況に応じて、迅速に対応できるのです。
新しいアイデアを考えるときには、固定観念にとらわれずに自由な発想ができるでしょう。スピードが求められるビジネス環境や、意識改革が必要な職場では、大きな強みとなることがあります。
誠実性が高い人に合う職種
従業員の特性に合わせて役割を分担したり、部署に配置したりすると、企業の生産性が上がります。誠実性が高い人は、真面目で責任感が強い特性がありますが、具体的にどのような職種が向いているのでしょうか。
事務
誠実性が高い人には、事務職が向いています。
事務職は、正確さと細やかな気配りが求められる仕事です。誠実性の高い人は、責任ある仕事に真面目に取り組み、ミスを最小限に抑えられるでしょう。
また、事務職は会社の運営を支える役割も担うため、誠実性の高さが周囲からの信頼につながり、仕事の効率化にも貢献します。
経理・財務
経理・財務は、誠実性の高い人に合う職種の一つです。
企業の財務状況を正確に把握し、適切に管理することが求められます。誠実性の高い人は、責任の重い仕事に対して、真摯に向き合い、細心の注意を払って取り組めます。
経理・財務職は企業の信用につながる部署であるため、誠実性の高さが組織全体の信頼性を向上させるでしょう。
秘書
誠実性が高い人には、秘書が向いています。
秘書の仕事は、細やかな気配りと高い信頼性が求められます。誠実性が高いと、仕事に誠実に向き合い、上司や組織の信頼に応えられます。
また、秘書は組織の顔としての役割もあるため、誠実性の高さが社内外との良好な関係を築くのにも貢献するでしょう。
誠実性の高さが職場に与える影響
誠実性の高さは、個人だけでなく、組織全体にも良い影響を与えます。どんな影響があるのか、詳しく見ていきましょう。
信頼関係を構築しやすい
誠実性の高さは、社内外の信頼関係の構築しやすさに影響します。約束を守り、責任を果たすことを大切にするため、周囲から信頼されやすいのです。「締め切りを必ず守る」「後輩からの相談にのる」などの行動が、職場での信頼関係をつくることにつながります。
また、上司と部下の関係においてもポジティブな影響があるでしょう。部下がリーダーを誠実性の高い人と認識することで、職務への動機付けが高まるとされています。信頼関係を築けると、仕事への意欲が向上したり、業務がスムーズに進んだりします。
取引先との関係においても、誠実な対応が信頼獲得につながり、長期的な関係をつくるのに役立ちます。
参考:産業・組織心理学研究「リーダーの誠実性が部下の組織への帰属意識と仕事意欲に及ぽす影響」(PDF)
健康行動が増加する
誠実性の高い人は、健康につながる行動をする傾向があります。「規則正しい生活リズムを保つ」「適度な運動を心がける」「たばこを吸わない」などの行動を、自発的に実践します。
健康的な生活習慣は周囲にも影響を与え、職場全体の健康意識を高める効果が期待できます。誠実性の高さは個人の健康維持だけでなく、全体の生産性を上げるのにも影響するのです。
まとめ:誠実性の高さは職場に良い影響を与える
誠実性が高い人は真面目で責任感が強く、低い人は適応力があって考える前に行動できるという特性があります。
誠実性の高さは、組織の信頼関係を構築し、健康につながる行動を増やせるメリットがあるとも言えます。
誠実性の高さを持つ従業員を、事務職や秘書などの職種に配置すると、本人の能力を生かせるでしょう。誠実性