ディスプレイを見過ぎるとストレスになる?不調の症状と対策を解説

スマートフォンやパソコンは、職場にも家庭にも欠かせないものになってきています。しかし、ディスプレイ作業を長時間していると、身体のさまざまな部分に不調や不快を感じる症状が表れてきます。
特に職場のディスプレイ作業では集中して画面を見るので、身体症状や精神・神経科症状を起こしやすく、何らかの対策が必要です。対策を施していないと、ディスプレイ作業でストレスがたまってしまうでしょう。
本記事では以下の2つを解説します。
- ディスプレイ作業で起こる症状は?3つに分けて説明
- ディスプレイ作業のストレスを防ぐ対策6つ
ディスプレイ作業の安全衛生管理について課題を抱えている場合には、参考にしてみてください。
ディスプレイ作業で起こる症状は?3つに分けて説明

2019年の世帯における、情報通信機器の保有状況はスマートフォン83.4%、パソコンは69.1%となっています。
ほとんどの人がスマホやパソコンを使用しており、この記事もお読みの人もスマホやパソコンなどのディスプレイから読んでいることでしょう。
ディスプレイ作業を長時間していると、身体のさまざまな部分に不調や不快を感じる症状が表れます。
厚生労働省の調査によれば、ディスプレイなどを使うVDT(Visual display terminals)作業で「ストレスを感じている」労働者の割合は34.6%と示されています。また、「身体的な疲労や症状を感じている」割合は68.6%であり、具体的な症状の有症状率は以下のとおりです。
- 頭痛:23.3%
- 目の疲れ・痛み:90.8%
- 首、肩のこり・痛み:74.8%
- 腕、手、指の疲れ・痛み:17.4%
- 背中の疲れ・痛み:22.9%
- 腰の疲れ・痛み:26.9%
- 足の疲れ・痛み:8.3%
症状 | 有症状率 |
頭痛 | 23.3% |
目の疲れ・痛み | 90.8% |
首のこり・痛み | 74.8% |
腕や手指のしびれ・痛み | 17.4% |
背中の疲れ・痛み | 22.9% |
腰の疲れ・痛み | 26.9% |
足の疲れ・痛み | 8.3% |
ディスプレイ作業で起こる症状について、3つに分けて解説します。
参考:厚生労働省「平成20年技術革新と労働に関する実態調査結果の概況」
1.目の症状
ディスプレイ作業をオフィスで行う場合、視線はディスプレイとキーボード、書類の3つを移動します。また、集中して作業するのでまばたきの回数は減り、以下のような症状が表れやすくなります。
- 充血
- 目の乾き(ドライアイ)
- 目の痛み
- 視力の低下
- 目のかすみ
- ものがぼやけて見える
これらの眼精疲労は肩こりや腰痛、頭痛などの全身症状を招く場合もあり、休息や睡眠で十分に回復しえない可能性もあります。
2.骨格筋の症状
ディスプレイ作業では、長時間同じ姿勢を続けたりキーボードやタッチパネルでの入力作業をしたりするので、以下のような症状があらわれる可能性があります。
- 腰痛
- 背部痛
- 首や肩のこり
- 腱鞘(けんしょう)炎
- 頚肩腕(けいけんわん)症候群
同じ姿勢で過剰な緊張が続くので筋肉が疲労し固まることで、血流が悪くなってしまうことがこれらの症状を引き起こす一つの原因です。
3.精神・神経の症状
ディスプレイ作業の身体への影響がストレスとなり、以下のような症状が表れる場合があります。
- 頭痛
- 疲労感
- 不安感
- イライラ
- 憂うつ感
- 不眠症状
以上のような症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診して、医師の診察を受けましょう。別の病気がひそんでいる可能性もあるため、早めに対処するようにしてみてください。
ディスプレイ作業のストレスを防ぐ対策6つ
ディスプレイ作業によって、眼精疲労だけでなく、めまいや吐き気、頭痛など多彩な症状を引き起こします。症状が業務に起因するものであり、企業として適切な対策を講じなかった場合、労災と認定される可能性があります。
ディスプレイ作業で生じるストレスを軽減し、社員の健康を守る対策の推進が必要です。具体的な対策を6つ紹介します。
参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(PDF)
対策1. 【作業環境管理】ディスプレイ作業に適した環境を整える
ディスプレイ作業を行う際には、以下のように環境整備を行うと、ストレスを防げるでしょう。
照明など | パソコン機器などのディスプレイ | 椅子、机 |
・明暗差が大きくない室内照明 ・間接照明があるとグレア防止に効果的 ・机上の照度目安は300ルクス以上 ・窓にブラインドをつけると太陽光の差し込み防止に効果的 | ・ディスプレイの照度は500ルクス以下 ・眼の保護のために輝度やコントラストの調節機を生かす ・正しい姿勢ができるように位置や向きを調整する ・肩こり防止のために動かせるキーボードやマウス を使う | ・安定して座れて、移動しやすい椅子を使う ・座面の高さや背もたれが調節可能なものを使う ・機器と書類を置ける広さの机や作業台を使う ・作業者に合った高さの机を使う机の下も脚が動かせるような広さを保つ |
ディスプレイを用いる場合の書類上およびキーボード上における照度は300 ルクス以上とし、作業しやすい照度にします。画面と周囲の明るさの差はなるべく小さくするようにしましょう。
明暗の差が著しくなると目には負担です。必要に応じて、窓にはブラインドなどを設置することとともに窓がUVカットされる仕様であるかなども確認しましょう。
情報機器は作業内容に適したデバイスを選択する必要があります。業務の内容によって、パソコンの必要な画面のサイズやスペックは異なります。情報機器は作業者の意見も取り入れながら選び、机や椅子も本人が使いやすいように調整できるものがよいでしょう。
参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」(PDF)
対策2. 【作業管理】疲れない方法でディスプレイ作業する
ディスプレイ作業で疲れないためには、作業方法への配慮も必要です。以下のような点に注意すると、長時間ディスプレイ画面を見続けることを防ぎ、疲れにくくなるでしょう。
作業時間 | 作業姿勢 | 機器の調整 |
・事業者は作業者に応じた業務量で、1日の作業時間が長すぎないように配慮する ・1時間以内の作業中には1~2回の小休止を取る ・作業間は10~15分の作業休止を取る | ・椅子には深く、足裏の全体が接するように正しく座る ・長時間同じ姿勢にならないようにする ・時折、立ち上がるか、立ち作業をする | ・ディスプレイは、眼から40cm以上離し、画面の上端は眼の高さまでとする ・ディスプレイの位置や角度、輝度を調節する ・ディスプレイと書類を交互に見る作業では、眼が疲れない位置に書類を置くようにする |
参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(PDF)
対策3. 【作業環境管理】作業環境を常にきれいにしておく
機器の汚れなどは健康リスクになるので、作業環境を維持管理しましょう。作業開始前には作業面やディスプレイの明るさを確認し、情報機器や椅子、机などを点検します。作業場所や情報機器等の清掃を日常的・定期的に行います。
事業者による確認も大切です。対策1で紹介した照明や採光、グレアの防止、ディスプレイやキーボード、マウス、椅子、机などの調整状況の確認も定期的にしましょう。
対策4. 【健康管理】健康診断を実施する
ディスプレイ作業による健康障害を予防するために、健康診断を実施しましょう。以下の条件に該当する労働者に対しては、定期健康診断に加えて、情報機器作業に係る健康診断を行う必要があります。
【作業時間に応じた条件】
- ディスプレイやキーボードを常時使用する情報機器作業を1日に4時間以上する人
- 休憩や作業姿勢の変更が困難な情報機器作業を1日に4時間以上する人
【症状に応じた条件】
- 上の2つの作業が1日に4時間未満だが、眼や肩の痛みなどの自覚症状がある人
- 考えながら文書を作成したり、企画・立案を行う業務、経理、庶務業務などの業務を行って、眼や肩の痛みなどの症状がある人
該当者には、眼疲労、筋骨格系の症状、ストレス症状などの自覚症状の確認や視力検査、筋骨格系の検査などの項目を実施します。
健康診断の結果、有所見者に対しては保健指導や就業上の適切な配慮を行うことを検討してください。
参考:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」(PDF)、厚生労働省労協労働局「情報機器作業における労働衛生管理」
対策5.【健康管理】 生活習慣を正す
生活習慣を見直すことで、乱れた自律神経を整えられます。心身を良い状態に保っておくと、ストレスを低減できる可能性があります。
睡眠不足や運動不足、食生活の栄養バランスの偏りなどのほか、睡眠の質に悪影響を与える、就寝前のPCやスマホの使用にも注意しましょう。
スマホなどを使うときに、ブルーライト対策メガネやブルーライト低減フィルムを活用するのも有効です。
対策6. 安全衛生委員会へ相談
作業のやり方を工夫しても改善しにくい場合、安全衛生委員会にて対策を話し合うことも有効です。
従業員個人や自部署の中だけで可能な対策には限界があります。作業環境や作業方法を改善するには、会社全体での対応が必要な場合があるためです。
管理職が自部署のディスプレイ作業に関する課題を抽出し、安全衛生委員会で相談できるよう、周知と体制の整備を行うとよいでしょう。
まとめ:ディスプレイ作業でストレスをためないようにしよう!

パソコンやスマホを使うとストレスや疲れがたまり、眼精疲労など身体症状や頭痛精神・神経科症状を起こす可能性があります。
ディスプレイ作業に適した環境を整えたり、疲れない方法で作業をするなどの対策を実施して、眼精疲労やストレスが職場でたまらないようにぜひ調整してください。
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