統合失調症に向いている仕事とは?企業が覚えておきたい3つの心構え

統合失調症に向いている仕事とは?企業が覚えておきたい3つの心構え

近年、障がいがある人もない人も共に生きていくノーマライゼーションやインクルージョンの意識が日本にも浸透してきました。それに伴い、統合失調症を持つ人を雇用する企業もめずらしくなくなっています。

しかし、企業が統合失調症の人を雇用するには疾患の特徴を理解し、仕事内容を工夫するなどさまざまな配慮が求められます。

本記事では、統合失調症の人に向いている仕事や、企業が覚えておきたい心構えを解説します。統合失調症の社員雇用を今後検討している企業の管理者や人事の人は、ぜひ参考にしてください。

統合失調症には共通した症状がある

統合失調症の原因は、まだ明確にはわかっていません。しかし、薬の進化や心身へのリハビリテーションの発展によって、現在では社会で活躍することも可能です。そのため、統合失調症と付き合いながら働く人もめずらしくありません。

ただ、統合失調症は日常生活を送るうえで困難な問題が生じる場合があります。また、統合失調症の症状には、主に以下の3つがあります。

1.陽性症状

陽性症状とは、実際には存在しないものが見えたり聞こえたりする症状のことです。有名なものに、幻覚、妄想などが挙げられます。

たとえば、「自分の悪口が聞こえる」「自分の部屋に盗聴器が取り付けられており、警察に監視されている」などと訴え、周囲の人が疑問に感じる言動が見られる場合が多いです。

しかし、陽性症状は薬によって緩和したり改善することが可能です。

参考:厚生労働省「 精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」

2.陰性症状

陰性症状とは、殻に閉じこもったような状態になり、今まで身についていた言動ができなくなる症状のことです。主なものに、感情が鈍くなる、意欲が低下するなどが挙げられます。

具体的には活動をしなくなり会話が減る、人との関わりを極端に避ける、考えがまとまらない、などの言動が生じます。

そのため、陽性症状とともに周囲の人の理解が必要といえるでしょう。

参考:厚生労働省「 精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」

3.認知機能障害

認知機能障害とは、以下のような能力が低下することを言います。

  • 記憶力の低下:新しいことが覚えられなくなったり、会話の内容を忘れてしまったりする。
  • 注意力の低下:ひとつの物事に集中できなくなり、長時間の作業が苦痛になりやすい。
  • 判断力の低下:業務の優先順位が付けられなくなり、効率的な作業が難しい。

参考:厚生労働省「 精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」

統合失調症に向いている4つの仕事について

統合失調症は特定の症状が見られるため、仕事探しをする際には以下のような職種が向いている可能性があります。

しかし、統合失調症でも人によって特徴は異なるため、それぞれの症状にあわせた個人にふさわしい仕事を選ぶことが大切です。

①事務

事務は、データ入力や資料作成など、ある程度決められた仕事をすることが可能です。

また、仕事内容の大きな変化が少ないため、統合失調症の人にもストレスがかかりにくいかもしれません。

②軽作業

軽作業は、工場などで荷物の仕分けや梱包をするのが主な仕事です。

原則的に他人とのコミュニケーションは少なく、1人でコツコツ行えるので、自分のペースで進めやすいとされています。

③商品管理

スーパーやドラッグストアなどで、商品の陳列や在庫確認を行う仕事が商品管理です。

商品名や商品知識を覚える必要がありますが、複雑な作業は少ないです。そのため、統合失調症の人がストレスを抱える可能性は低いかもしれません。

④クリエイティブな仕事

デザイナーや画家、音楽家などのクリエイティブな仕事も、統合失調症の人に向く場合があります。

統合失調症の人が抱えている幻聴や閉塞感などを形や絵、音で独特に表現することで、一般の人が創り出せない作品を生み出せるケースがあります。

たとえば、統合失調症とされている中でクリエイティブな仕事に就いている有名人は、画家のゴッホや、現代では画家・彫刻家の草間彌生(やよい)さんなどがいます。

企業が統合失調症の社員を受け入れる際の心構え3つ

統合失調症の人は、さまざまな企業で働いています。しかし、その雇用には症状への配慮が必要であり、企業が以下のような心構えを持つことが大切です。

心構え①統合失調症の特徴を理解する

統合失調症には、いくつかの特徴があります。そのため、企業側も統合失調症に関して理解を深めましょう。たとえば、企業の管理者や社員ともに統合失調症についてのセミナーや勉強会を受講し、受け入れ体制を整えておくことが大切です。

心構え②個人に合った働き方を考え、工夫する

統合失調症の人に向いている仕事はいくつかありますが、個人の症状はさまざまなため、企業側が配慮した方がよい部分も存在します。

たとえば、事務でも職場によっては営業や接客業を兼ねる場合があるでしょう。しかし、統合失調症の人は他人とのコミュニケーションが苦手なことが多いといわれています。

この場合、企業側が事務のみに集中できる環境などを整えることが効果的です。

心構え③民間施設などへの相談も検討する

統合失調症の人を受け入れる際は、ハローワークに求人や相談をする企業が多いかもしれません。しかし、民間の施設などとつながることも重要です。

たとえば、就労移行支援施設は統合失調症の人の就職への知識や技術の訓練を行なっています。施設のスタッフが個人の特長を熟知しているため、企業は自社にふさわしい人材を採用しやすくなるでしょう。

また、SUGARでは産業医などの専門職が在籍しており、障害を持つ人の心身の不調の相談にのったり、企業経営のためのアドバイスをしたりするサービスを行っています。統合失調症の人の雇用を考えている企業は、ぜひSUGARにお問い合わせください。

まとめ:統合失調症の人が働きやすい企業を目指そう

統合失調症は、特有の症状をいくつか抱えています。しかし、現在では治療を続けながら企業に勤める人は決してめずらしくありません。

また、統合失調症に向いている仕事もあります。そのため、統合失調症を持つ人はそれぞれ個人にあったふさわしい仕事を選ぶことが可能です。

ただし、統合失調症の人は症状の影響で他人とのコミュニケーションが苦手だったり、疲れやすかったりするなどの特徴があります。企業側も一人ひとりの特性を深く理解し、統合失調症の社員が働きやすい環境をつくりましょう。

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