長時間の座り姿勢や猫背は負担大!職場で行えるエクササイズ3選

長時間のデスクワークは体に大きな負担がかかります。体の負担は猫背などの姿勢の悪化につながり、腰痛・肩こりなどの原因です。その結果、業務の遂行に悪影響が出ることもあります。
長時間のデスクワークで姿勢が悪化するのを避け、姿勢改善を行うためにはどのように改善すればいいのでしょうか。
この記事では猫背の悪影響や姿勢が乱れる原因を説明し、座りながら行うことのできるストレッチやエクササイズ、改善するべき生活習慣などについて解説します。
猫背の悪影響

猫背は、見た目がだらしないという悪い印象だけではなく、肩こりや腰痛、自律神経の乱れなど身体に悪影響を与えることがあります。
背骨は体を支える負担を軽減するため、S字状に弯曲しています。猫背は湾曲が過剰に強くなった状態であるため、各関節や筋肉にかかる負担が大きくなり、肩こりや腰痛につながります。さらに、猫背は呼吸を乱して自律神経の乱れにつながる可能性もあります。
呼吸は横隔膜が上下動し行っていますが、横隔膜は肋骨下部についており肋骨の根元は背骨の側面と接しています。そのため、背骨の自然な湾曲が崩れると肋骨が動きにくくなり、横隔膜の動きも妨げられ呼吸がしにくくなります。
呼吸は自律神経に影響を与えるため、良い呼吸ができないと倦怠感や集中力の低下につながるでしょう。
姿勢が乱れる3つの原因

では、なぜ私たちの姿勢は乱れてしまうのでしょうか。その原因は、特別なことではなく、多くの方が当てはまるであろう日々の生活習慣の中に潜んでいます。ここでは、姿勢が乱れる主な3つの原因について解説します。
姿勢が乱れる主な3つの原因と概要
原因 | 概要 |
---|---|
同じ姿勢を長時間続ける | 特定の筋肉に負荷が集中し、血行不良や筋肉の硬直を引き起こす。 |
運動不足 | 姿勢を支える「抗重力筋」が衰え、正しい姿勢を維持できなくなる。 |
柔軟性不足 | 筋肉が硬くなり、関節の可動域が狭まることで、体が歪みやすくなる。 |
姿勢が乱れる3つの原因
姿勢が乱れる主な原因は、以下の3つが挙げられます。
- 同じ姿勢を長時間続ける
- 運動不足
- 柔軟性不足
これらは、現代のライフスタイルにおいて、多くの人が抱える共通の課題と言えるでしょう。それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
原因➀.長時間の同じ姿勢
デスクワークでPC作業に集中していると、あっという間に時間が過ぎてしまいますよね。しかし、長時間にわたって同じ姿勢を続けることは、特定の筋肉に極度の負担をかけ、姿勢が崩れる最大の原因となります。
特に座り姿勢は、立っている時よりも腰への負担が大きいことが知られています。
継続的な負荷は筋肉を硬くさせ、柔軟性を失わせます。そして、その悪い姿勢が「楽な姿勢」だと脳が誤って記憶し、やがて猫背が定着してしまいます。
原因➁.運動不足
正しい姿勢を維持するためには、地球の重力に抗って体を支える「抗重力筋」と呼ばれる筋肉の働きが不可欠です。いわば、体を支える「天然のコルセット」のような役割を果たしています。
しかし、日々の活動量が減り、運動不足の状態が続くとこの姿勢を支えるための筋力が徐々に低下してしまいます。
特に、体の土台である骨盤周りの筋肉や、背骨を支える体幹のインナーマッスルが弱ると、骨格の正しい位置を保てなくなり姿勢の乱れに直結します。意識して運動を取り入れなければ、筋力は年齢と共に衰える一方です。
原因③.柔軟性が不足している
筋肉の柔軟性が不足すると、正しい姿勢を保つことが難しくなります。
筋肉の両端は骨についており伸び縮みして関節を動かします。そのため、筋肉が固くなり縮む方向に力が入り続けると、骨が筋の縮む方向に引っ張られ続けます。その結果、正常な骨の並びに乱れが生じて姿勢が悪化します。
柔軟性の低下は関節を大きく動かさず筋肉が伸び縮みしない状態が慢性化することが原因の一つです。ストレッチや筋トレなどで関節を大きな範囲で動かし筋肉を伸び縮みさせると、柔軟性不足を解消できるでしょう。
座りながらできる姿勢改善ストレッチ・エクササイズ3選

姿勢を改善するためにはエクササイズやストレッチが効果的です。
ただし、いきなり日常生活に取り入れるのは難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。ここでは、仕事中でも簡単にできる姿勢改善のために効果的なストレッチ・エクササイズを3つ紹介します。
姿勢改善に効果的なストレッチ
ストレッチ | 主な効果 |
---|---|
呼吸エクササイズ | 固まった胸郭を広げ、深い呼吸を取り戻すことで、首や肩の緊張を緩和する。 |
膝抱えストレッチ | 座りながら酷使されるお尻の筋肉を伸ばし、腰への負担を軽減する。 |
前屈ストレッチ | 背中から腰、太ももの裏まで、体の背面全体を心地よく伸ばし、猫背をリセットする。 |
呼吸エクササイズ
呼吸は1日に2万~2万5千回行われるため、行い方によっては姿勢にも大きな影響を及ぼします。逆に言えば、適切な姿勢と方法で呼吸を行うと首・肩・腰周りの筋肉はほぐれ、良い姿勢が定着しやすくなります。
やり方
- 椅子に深く腰かけ、腰を背もたれに預けます。肩の力は抜き、なで肩になるイメージでストンと下げましょう。
- お腹の中の空気をすべて絞り出すつもりで、口から「ふーっ」と強く長く息を吐き続けます。
- 「もうこれ以上吐けない」というところまで吐き切ったら、今度は鼻からゆっくりと静かに息を吸い込みます。
- この呼吸を10回繰り返してみてください。
注意点
- 動作中は、常に腰を丸め、肩を下げた姿勢をキープすることが大切です。
- 特に息を吸う際に肩が上がりやすいので注意しましょう。
膝抱えストレッチ
座ったまま片膝を抱えてお尻を伸ばすストレッチです。主にお尻の筋肉である大殿筋を伸ばします。
大殿筋はお尻の最も外側にある大きな筋肉で、骨盤の位置を適切に保ち、姿勢の乱れを防ぎます。
やり方
- 椅子に座り、リラックスして軽く背筋を伸ばします。その状態で、両手で右ひざを優しく抱えましょう。
- 口から息をゆっくり吐きながら、抱えた膝を胸の方へじんわりと引き寄せます。
- お尻の筋肉が心地よく伸びているのを感じたら、その状態で30秒間キープします。
- ゆっくりと元に戻し、反対側の足も同様に行います。
注意点
- 背筋を無理に伸ばしすぎると、かえって腰の緊張を強めてしまうことがあります。「軽く」伸ばす程度に留めましょう。
- 呼吸は止めずに、口から深く吐き、鼻からゆっくり吸うリズムを意識してください。
※参考文献で紹介されているファイブストレッチの手法とは異なるため、あくまで一つのストレッチ方法です。
前屈ストレッチ
座ったまま体を折りたたむ前屈ストレッチは、背中全体の筋肉をほぐして姿勢改善に導きます。
やり方
- 椅子に「浅く」腰かけ、足は肩幅程度に開きます。
- 口から息を吐きながら、お辞儀をするように、体をゆっくりと前に倒していきます。手は床の方向にだらんと垂らしましょう。
- これ以上倒せないという位置で、30秒間キープします。背中や腰がじんわりと伸びるのを感じてください。
注意点
- 職場で床に手が触れるのに抵抗がある場合は、無理のない範囲で倒すだけで十分です。
- 腰から曲げるのではなく、股関節から体を折りたたむ意識を持ちつつ、背中はリラックスして丸めるのがポイントです。
効果的に姿勢を改善するポイント:30分に1回立ち上がる

姿勢を効果的に改善するためには、生活習慣の見直しが重要です。
とくに重要なポイントですぐに実践できることは、仕事の隙間時間などに30分に1回は立ち上がって能動的に休憩することです。
30分に1回立ち上がる効果などについて詳しく説明します。
30分に1回は立ち上がる
定期的に立ち上がるなど姿勢を変えることで、筋肉の過剰な負担を軽減するために効果的です。
座り姿勢の長時間継続は腰周りなどに負担をかけて筋肉の緊張を招く上に、猫背姿勢を定着させてしまいます。
30分に1回だけでも立ち上がると、スクワットのように立ち座りを繰り返すだけで筋肉は伸び縮みされるため、血流が改善され筋肉の緊張がほぐれ姿勢の改善につながります。
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まとめ:今日からできる1分のストレッチが、未来のあなたを変える

猫背は肩こりや腰痛、自律神経の乱れなど、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
姿勢が乱れる主な原因は、同じ姿勢を長時間続けること、運動不足、そして柔軟性不足といった日々の習慣や過ごし方によるものです。逆に言えば、これらの日々の習慣を改善すれば姿勢の改善が可能です。
できる範囲から習慣を変え、健康的に効率的に仕事を進められる体をつくりましょう。
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FAQ
紹介されたストレッチは、1日に何回くらい、いつ行うのが効果的ですか?
1日数回、気づいた時に行うのが理想的です。特に、長時間同じ姿勢が続いた後や、体が硬いと感じた時に実践してみてください。「30分に一度立つ」習慣と組み合わせ、立つついでに1種類行うなど、無理なく日常に取り入れることが継続のコツです。
ストレッチを続けても、なかなか猫背や肩こりが良くなりません。どうすれば良いですか?
ストレッチと合わせて、日常生活の過ごし方を見直すことが重要です。記事で紹介した「適切な睡眠環境」や「運動習慣」に加えて、普段から骨盤を立てて座る意識を持つ、PCモニターの目線を上げるといった対策も効果的です。痛みが強い場合や、長期間改善が見られない場合は、一度、整形外科や整骨院などの専門家に相談することをおすすめします。
姿勢を良くするために、市販の姿勢改善グッズ(クッションやベルトなど)は使った方が良いですか?
姿勢改善グッズは、正しい姿勢を意識するための補助として有効な場合があります。ただし、グッズに頼りすぎると、かえって姿勢を支える筋肉が弱ってしまう可能性も指摘されています。まずは自力で良い姿勢を保つ意識を持ち、ストレッチを習慣にすることが基本です。その上で、補助的にグッズを利用することを検討するのが良いでしょう。
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