雪による職場での転倒を未然に予防するには?すべるリスクと解決方法

雪による職場での転倒を未然に予防するには?すべるリスクと解決方法

冬になると、オフィスビルの入り口や駐車場の凍結により転倒事故のリスクが高くなります。

職場における転倒事故は、社員のケガだけでなく企業の生産性低下にも直結する重要な問題です。一方で、職場での適切な環境整備と一人ひとりの転倒予防への意識や実践が事故を未然に防ぐことにつながります。

この記事では、冬の職場で起こりやすい転倒事故のリスクと影響を紹介し、企業が実施すべき環境整備と個人の予防策を解説します。

雪による職場での転倒事故がもたらすリスク 

冬場の雪による転倒事故予防は、社員の安全を守ることや企業の生産性・評判にも大きな影響を及ぼすでしょう。

以下のグラフから、東北地方で比較的積雪量が少ない宮城県でも、冬季の転倒災害が多発することがわかります。

参考:宮城県労働局作成リーフレット「要注意!冬期の転倒災害!」(PDF)

冬場の転倒事故の主な原因5つ

雪や氷による転倒事故は、次のようなさまざまな要因が重なって発生します。

  • 積雪で床の凹凸が見えにくい
  • 防寒靴が重くて歩きにくい
  • 足元以外への注意力の低下
  • 床材が凍結して滑りやすい
  • 除雪や凍結対策が不十分

凍結した路面が滑りやすいためだけでなく、以上のような要因などが関連して転倒事故のリスクが増大します。

雪による事故が引き起こす影響

雪による転倒事故の影響は、けがだけにとどまりません。

事故後は、業務効率の低下や人手不足の深刻化など企業全体に大きな影響を及ぼすおそれもあります。

さらに、重大な事故が発生すれば、安全管理体制への疑念が生じ企業イメージの悪化や取引先からの信頼低下など、経営面でも無視できない損失を招く可能性があります。

企業が取り組むべき職場環境の雪対策 

雪が多い地域で安全な職場環境を確保するには、計画的かつ組織的なアプローチが欠かせません。

とくに、冬場は社員の安全を守るために具体的な施策が重要です。

はじめに、職場が実施できる環境対策を紹介します。

職場環境対策①早朝からの除雪作業

まず取り組むべきは早朝からの除雪作業です。 

雪かきや融雪剤の散布を行い、出勤時の転倒事故を予防しましょう。

とくに人通りの多い場所は、日中も定期的に巡回して雪や氷の状態を確認する必要があります。

職場環境対策②雪の予報確認と危険場所の周知

天気予報もこまめにチェックし、大雪が予想される前日には、社員への注意を促すアナウンスも必要です。

危険な場所をわかりやすく伝える

日陰や北向きの通路は凍結しやすいため、目立つ色の警告看板を設置するのがおすすめです。「凍結注意!」などの表示を、社員の目線の高さに掲示すると効果的といえます。

職場環境対策③通路を滑りにくくして転倒予防

通路には滑りにくい素材の床材を使用します。また、建物の入り口に水はけの良いマットを敷いたり、 ぬれた靴をふくための布を用意しておくことで、建物内への雪や水の持ち込みを防ぐことができます。

壁沿いに手すりを取り付けると、バランスを崩した際の支えとなります。

これらの対策は、一度に全てを実施する必要はありません。予算や優先順位を考慮し段階的に進めることで、無理なく確実に対策を行いましょう。

職場環境対策④定期的に社員の安全意識を向上

冬の転倒事故を防ぐには、職場全体で安全への意識を高めることが大切です。具体的な取り組みとして効果的なのは、定期的な安全講習会の開催です。

講習会では、実際に起こった転倒事故の事例を紹介したり、滑りにくい歩き方を実践的に学んだりします。イラストや映像を活用しながら、冬の安全の基本を身に付けられます。

職場環境対策⑤ヒヤリ・ハットで未然の転倒予防

「ヒヤリ・ハット」の情報共有も重要な取り組みです。

「ここで滑りそうになった」「この場所が危険だと感じた」など社員の声を収集して安全対策に活用します。

職場環境対策⑥異なる部署のメンバーで職場巡視

異なる部署のメンバーで安全パトロールを実施するのも良い方法です。 

営業部門の人は来客の視点から、総務部門の人は管理の視点から、それぞれ気づいた危険箇所を指摘し合います。

多様な視点で職場を見直すことは、見落としがちな危険も事前に把握できます。

このように、社員全員が安全について考えながら行動すれば、冬場の転倒事故を減らせるでしょう。

社員それぞれが個人でできる雪対策 

雪道での転倒を防ぐには、正しい歩き方と靴選びがポイントです。

雪が降る季節、転倒を防ぐための準備は欠かせません。以下に、雪道で安全に歩くための基本を紹介します。

滑りにくい歩行のコツ

雪道を歩くときは「ペンギン歩き」が効果的です。

両足を少し開き、小股で歩くことで重心が安定し、滑りにくくなります。両足ともやや内側に体重をかけるように意識すると、しっかり歩けるかもしれません。

さらに大切なことは、「転ぶかもしれない」という意識を持つことです。慎重な気持ちが自然と安全な行動につながります。

滑り止め効果の高い靴を選ぶ

靴を選ぶときは、滑り止め効果のある溝が深い靴底や柔らかいゴム素材のものを選択してください。

柔らかいゴムは凍結した路面に密着しやすく、グリップ力が高まります。これはタイヤの仕組みと同じです。

また、靴底の摩耗具合も定期的にチェックすることが大切です。すり減った靴底は滑りやすさを助長します。

突然の雪に対する備え

急な降雪に備えるなら、取り外し可能な滑り止めスパイクを持ち歩くと便利です。

1,000円程度で手に入り、普段の靴に取り付けるだけで簡単に冬靴仕様になります。

会社や自宅に予備を用意しておけば、天候の変化にも柔軟に対応できるでしょう。

雪による転倒事故を未然に防ぐための総合的なアプローチ

雪による転倒事故は、だれもが出会うかもしれない非常に危険なアクシデントです。

しかし、正しい知識と準備があれば、多くの事故は防ぐことが可能です。企業と個人が協力すれば、安全な冬を過ごす第一歩となります。

個人と企業の協力が鍵

凍結や積雪による事故の防止は、個人と企業が力を合わせることでより大きな効果が生まれます。

会社が滑り止めマットの設置や注意喚起の看板を立てても、社員が注意して歩かなければ事故を防ぐことはできません個人の意識改革と企業の設備投資や教育の双方が必要です。

お互いが自分の役割をしっかり理解して、責任を持って行動すれば、さらなる安全性の向上につながります。

いますぐできる!より効果的な雪対策のアクション

最後に、安全性の向上につながる、企業と個人がすぐにできる具体的な対策をおさらいします。

企業側は、安全な環境が維持されているかを定期的に確認することが大切です。冬季に合わせたチェックリストを作成し定期的な点検を実施することが望ましいです。

個人としては、滑りにくい歩き方や靴の選び方に加え、天気予報やニュースをチェックし「今日は、足もとが滑るかもしれない」、「余裕をもって出勤してゆっくり歩こう」と安全意識を高めることが大切です。

このように、個人と企業がそれぞれの立場でできることを実践しながら、雪による事故をなくしていくことが推奨されます。

まとめ:雪で滑るリスクを企業と個人で予防し転倒事故をなくそう 

冬場に起こりやすい転倒事故を防ぐには、企業による環境整備と社員の意識向上が大切です。車の両輪と同じでどちらかが欠けてしまっては効果的に防ぐことはできません。

企業は滑りやすい場所の改善や注意喚起を行い、危険な場所での注意を怠らないようにしましょう。また、自分に合った靴を選んだり安全な歩き方を実践するなど、個人でできる対策の実行が不可欠です。

企業と社員が一体となって取り組むことで、冬の職場の安全を守り、安心して働くことができます。本記事でご紹介した対策を参考に、皆さんが安心して働ける環境を整えてみてください。

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