人間ドックでわかる病気は?受診率を上げる企業の取り組みも紹介!
人間ドックは、法定の健康診断よりもさらに多くの検査項目があり、がんなどの早期発見に役立ちます。そのため、社員の健康を守るためには、健康診断だけでなく人間ドックの受診を推奨している企業も少なくありません。
本記事では、人間ドックについて詳しく知ってもらうために、人間ドックの目的や健康診断との違い、人間ドックで分かる病気について解説します。
また、人間ドックの受診を社員に推奨する企業のメリットや、受診率を上げるための企業の取り組みも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
人間ドックは、法定の健康診断よりもさらに多くの検査項目があり、がんなどの早期発見に役立ちます。そのため、社員の健康を守るためには、健康診断だけでなく人間ドックの受診を推奨している企業も少なくありません。
本記事では、人間ドックについて詳しく知ってもらうために、人間ドックの目的や健康診断との違い、人間ドックで分かる病気について解説します。
また、人間ドックの受診を社員に推奨する企業のメリットや、受診率を上げるための企業の取り組みも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
人間ドックとは?
人間ドックは、生活習慣病やがんなどの健康リスクを発見するための検査ですが、受診義務があるわけではありません。
しかし、一般的な健康診断と比較すると検査項目が多く、早期発見するために体の状態をより詳しく知ることができます。
ここでは、人間ドックについてより詳しく理解してもらうために以下の項目について解説します。
- 人間ドックの目的
- 人間ドックと健康診断の違い
- 人間ドックの費用相場
- 人間ドックの検査項目
人間ドックの目的
人間ドックは早期発見と健康促進が目的です。血液検査や内視鏡検査などを受けることで、健康リスクを知ることができ、生活習慣の改善に役立てられます。
日本人間ドック学会は、人間ドックの目的を以下のように述べています。
https://www.ningen-dock.jp/society/purpose
人間ドックの使命である国民の健康増進、生活指導による一次予防、早期発見・早期治療による二次予防の重要性を認識し、人間ドックの担当医として資質の向上を図る。
生活習慣病や動脈硬化などの病気は、早い段階では自覚症状が少なく、悪化してから発見されることが少なくありません。人間ドックを受診することで、病気の予防や早期発見につながる可能性があります。また、自分のからだについて詳しく知ることができます。
人間ドックと健康診断の違い
人間ドックと健康診断の違いは「法的な義務の有無」と「検査項目の数」です。
健康診断は、健康状態を診断して病気の有無を把握するための検査です。企業に勤めている人の場合、「身体計測・血液検査・胸部X線・尿検査」など10〜15項目ほどの基本的な検査だけです。
一方、人間ドックでは健康診断の検査項目に加え、がんを発見するための腫瘍マーカーやCT・MRIなど、50〜100項目の検査をします。健康診断に比べ検査項目の数が多いです。
人間ドックは健康診断とは異なり受診に法的な義務はありませんが、多くの検査を受けることができます。そのため、自分のからだの状態を詳しく調べるためには、人間ドックが有用かもしれません。
人間ドックの検査項目
人間ドックで検査する項目は50〜100項目あります。以下では検査項目の一部を紹介します。
- 身体計測
- 血圧
- 心電図
- 眼
- 聴力
- 呼吸機能検査
- 胸部X線
- 上部消化管X線
- 上部消化管内視鏡
- 腹部超音波
- 血液検査
- 尿検査
- 便
- 内科診察 など
その他のオプション検査には以下のような項目があります。
- 乳がん検診
- 前立腺がん検診
- 婦人科検診 など
参考:公益社団法人日本人間ドック学会「人間ドックの検査項目」
必要に応じて、これらの検査項目を選択できます。
人間ドックの費用相場
人間ドックは公的な医療保険が使えないため費用はすべて自己負担です。
人間ドックの費用は、選択したコースや地域などにより異なります。日帰りコースの場合は3万円〜7万円程度が多いです。また1泊2日コースを選択した場合、4万円〜10万円前後が相場です。
検査内容により相場金額が異なり、自分がどの検査を受けるかで費用が異なります。検査項目ごとの相場について以下にまとめますので、参考にしてみてください。
検査名 | 検査内容 | 費用相場 |
人間ドック | 腹部超音波検査や体組成による肥満度チェックなど、病気予防を目的とした項目 | 3万円〜7万円 |
脳ドック | 頸動脈エコー検査、頭部CT検査など | 3万円〜5万円 |
PET検診 | 全身のがんリスクを一度に調べるための検査 | 10万円前後 |
心臓ドック | 心臓病の兆候を調べる項目、血液検査、心臓CT検査など | 3万円〜5万円 |
胃がん検診 | 上部消化器疾患のリスクを調べる検査、上部消化管X線検査、胃カメラなど | 1万円〜2万円 |
大腸がん検診 | 大腸がん、大腸ポリープなどの疾患リスクを調べる検査、大腸CT検査、大腸内視鏡など | 2万円〜3万円 |
肺がん検診 | 気管や気管支などの臓器検査、胸部X線検査、胸部CT検査など | 5千円〜2万円 |
前立腺検診 | 前立腺がん、前立腺肥大症などのリスク検査、前立腺エコー検査など | 3千円〜5万円 |
乳がん検診 | マンモグラフィ、乳腺超音波検査など | 5千円〜1万円 |
子宮がん検診 | 子宮頸部細胞診、子宮体部細胞診、HPV検査など | 3千円〜1万円 |
※女性特有の乳がん、子宮がんを調べる検査をレディースドック、男性特有の前立腺がんを調べる検査をメンズドックと呼ぶこともあります。
人間ドックでわかる主な病気
人間ドックで検査することにより、発見しやすい病気の代表例を紹介します。
- 生活習慣病
- がん
- 痛風
- 動脈瘤
- 肝炎
人間ドックで早期発見しやすい上記の疾患について、以降で具体的に説明します。
生活習慣病
喫煙や肥満などが原因となり発症する脳卒中や心臓病、糖尿病をまとめて生活習慣病といいます。
一般的な健康診断でも調べられますが、より詳しく知るために人間ドックでは胃がんや大腸がん検診などが追加されます。
生活習慣病は自覚症状をもつことが少ない病気です。そのため、脳卒中や心臓病による症状が発症する前に、人間ドックで早期発見できる場合があります。
がん
人間ドックでは、血液検査の腫瘍マーカーやエコー検査などの検査によって、発症前のがんを調べることができます。主ながんは下記の通りです。
- 胃がん
- 大腸がん
- 肺がん
- 乳がん
- 肝臓がん
- 前立腺がん など
がんの種類によっては、自覚症状がないまま進行することも少なくありません。がんが進行すると、金銭的・身体的負担があるだけでなく、治療できない状態になることもあります。
そのため、がんが進行する前に人間ドックで早期発見して治療に繋げられるかもしれません。
動脈瘤
動脈瘤は人間ドックのエコーやCT・MRIで発見することができます。動脈瘤とは、血管の内側の壁が破れ壁が薄くなり、薄くなった部分にふくらみができている状態です。
動脈瘤は高血圧や糖尿病などが原因となり発症しやすい病気で、脳や腹部の大きな血管にできやすく、破裂すると命にかかわる危険な状態です。
そのため、血圧や血糖値が高い人は人間ドックを受けてみると良いかもしれません。
痛風
痛風の原因である尿酸の数値も人間ドックで調べることができます。
痛風は尿酸が増えることで体温の低い関節などで結晶化し、関節痛などを引き起こします。そして、悪化すると関節の痛みだけでなく、腎障害や尿路結石、虚血性心疾患などを合併します。
痛風や尿管結石症などが気になる人は、人間ドックで数値を確認してみるのがおすすめです。
肝炎
人間ドックで血液検査の検査項目を追加することで、肝炎の有無を調べることができます。肝炎とは、肝臓がウイルスやアルコール、自己免疫などにより炎症している状態です。
肝臓が炎症している状態が続くと、肝硬変や肝臓がんを引き起こすことがあります。
しかし、肝硬変や肝がんは初期段階では自覚症状が乏しいです。そのため、定期健康診断で肝機能が高い人などは人間ドックで精密検査してみてはいかがでしょうか。
人間ドックの受診を社員に推奨する企業のメリットとは?
人間ドックの受診を社員に推奨することで、企業には以下のようなメリットがあります。
- 社員の健康意識が高まる
- 病気による離職率を下げる
人間ドックを社員が受けるメリットについて、それぞれ以降で理由について説明します。
社員の健康意識が高まる
人間ドックを受診することで、社員が自身の健康をより意識する可能性があります。
理由としては、一般の健康診断の基本的な検査だけでなく、人間ドックにより詳しく自分のからだを知ることができるためです。
人間ドックを受診することで、自分のからだと向き合うきっかけになり、自身の健康への意識を高めることができるでしょう。
病気による離職率を下げる
社員が人間ドックを受診することで、病気が原因で離職する可能性を下げられるかもしれません。
病気が発見されると、検査や治療のための通院が必要となります。体調によっては勤務の継続が困難となり、社員は離職を考えることもあるでしょう。
人間ドックによって病気を早期発見し、治療と就業の両立支援を行うことで社員に就業を継続してもらえるように配慮するのに役立ちます。
人間ドックの受診率を上げるための企業の取り組み方は?
社員に人間ドックを受診してもらうための企業の主な取り組み方について紹介します。
- 必要性を理解させる
- 費用を補助する
- 受診のため休暇を与える
会社でできる取り組みを確認して、自社にあった方法を採用してみてください。
必要性を理解させる
社員に人間ドックを積極的に受けてもらうためには、人間ドックの必要性を理解してもらうことが重要です。健康診断だけでは発見しにくい病気を調べられることを社員に伝えます。
例えば、ポスターや回覧、メールなどを活用して、できる限り多くの社員に伝えましょう。
健康診断だけでなく人間ドックによって、より詳しく自分のからだについて知りたいと思えるように啓蒙活動することも一つの手段です。
費用を補助する
人間ドックの費用を一部、もしくは全額、企業が補助することで社員は人間ドックを受診しやすくなります。
また、より詳しく調べるために検査項目を増やすと、費用が高額で、人間ドックの受診をためらう人もいます。
そのため、人間ドックの費用を補助したり、効果の高い項目を産業医などと相談して事前に調整し、費用負担を軽減することで社員の人間ドック受診率を上げられるでしょう。
受診のための休暇を与える
人間ドックの受診を勤務扱いにしたり、特別休暇を与えるなどして、人間ドックを受診しやすくすることも一つの方法です。
社員は自分の休日を使って人間ドックを受診したいとは思いにくい人がほとんどです。そのため、社員が人間ドックを受診しやすい体制をつくることも必要です。
このように、人間ドックの受診日に有給休暇を与えるなど福利厚生を整えることで受診率を上げることができます。
まとめ:人間ドックの受診で社員の健康リスクを早期発見
人間ドックは社員の健康維持に役立つ検査です。
健康診断だけでは発見できない生活習慣病やがん、動脈瘤などの病気のリスクを発見できます。そして、社員の健康意識の向上や病気による離職を減らすことにつながります。
しかし、人間ドックは受診することに時間の制約や金銭的負担がかかるため、受診しにくいと考える社員は少なくありません。
そのため、企業は人間ドックの必要性を伝えるだけでなく、受診日に休暇を与えたり、費用を補助したり人間ドックを社員が受診しやすい体制を整えることが必要です。
社員の健康度を高めて、長期的な企業の業績を向上させるために、健康診断だけでなく人間ドックの受診を推進してみてはどうでしょうか。