【実践】今日や明日からできるメンタルヘルス改善!セルフケア6選

セルフケアを実践し、心穏やかな一日を始める人のイメージ

「最近、よく眠れない」

「何だかやる気が出ない」

「ささいなことでイライラしてしまう」

日々の生活の中で、こうした心や体の小さな不調を感じることはありませんか。忙しい毎日を送る中で、知らず知らずのうちにストレスはたまっていきます。

心身の不調は、自分の心が発している「少し休んで」というサインかもしれません。深刻な状態になる前に、自分で自分の心をケアする「セルフケア」を始めることが大切です。

この記事では、専門的な知識がなくても、明日からすぐに実践できる具体的なセルフケアの方法を6つ厳選して紹介します。自分に合った方法を見つけて、心と体のバランスを整え、いきいきとした毎日を取り戻しましょう。

メンタルヘルス対策の全体像を知りたい方は、まずこちらの記事をご覧ください。

▼ YouTubeチャンネルでは代表医師の産業医が本音と経験も踏まえて動画で解説!

目次

まずは自分のストレスサインを知る【心の健康セルフチェック】

自身の心の状態を客観的にチェックするイメージ

効果的なセルフケアの第一歩は、自分の心と体の変化、つまり「ストレスサイン」に正しく気づいてあげることです。

まずは以下の項目で、ご自身の状態を客観的にチェックしてみましょう。

体に現れるサイン:睡眠・食欲・疲労感

体に現れる不調のサインには、睡眠や食欲などの変化があります。

  • 寝つきが悪い、または夜中に何度も目が覚める
  • 朝、すっきりと起きられない
  • 食欲がない、または逆に食べ過ぎてしまう
  • 理由のない頭痛や腹痛、肩こりが続く
  • 常に体がだるく、疲れが取れない

心に現れるサイン:気分の落ち込み・不安・焦り

心に現れる不調のサインには、気分の変化が挙げられます。

  • 気分が落ち込むことが増えた
  • 将来のことなどを考えると、漠然とした不安を感じる
  • 常に何かに追われているような焦りを感じる
  • 集中力が続かず、考えがまとまらない
  • 以前は楽しめていたことが、楽しめなくなった

行動に現れるサイン:ミス増加・飲酒量・人との交流

行動に現れるサインは、普段のなにげない行動の変化として現れることがあります。

  • 仕事や家事で、ケアレスミスが増えた
  • 飲酒や喫煙の量が増えている
  • 人と話したり、会ったりするのがおっくうに感じる
  • ささいなことでカッとなり、人に当たってしまう

もし、これらのサインに複数当てはまる場合は、ストレスがたまっている可能性があります。

これから紹介するセルフケアを試してみてください。

①質の高い睡眠で心と体を回復させる方法

質の高い睡眠による心身の回復

睡眠は心と体の疲労を回復させるための最も基本的な活動です。

睡眠の「時間」だけでなく「質」を高めるとメンタルヘルスの安定に貢献します。

睡眠環境を整える3つのポイント

質の良い睡眠を得るために、睡眠環境を整える3つのポイントをご紹介します。

  1. 光をコントロールする: 寝室はできるだけ暗くし、静かな環境を保ちましょう。遮光カーテンの利用も効果的です。
  2. 快適な温度と湿度を保つ: 季節に合わせて、寝具や空調を調整し、快適だと感じる室温・湿度を維持します。
  3. 自分に合った寝具を選ぶ: 体に合ったマットレスや枕を選ぶことで、リラックスして眠りにつくことができます。

就寝前のNG行動とおすすめのリラックス法

就寝直前のスマートフォンやパソコンの操作は、ブルーライトが脳を覚醒させてしまうため避けましょう。カフェインやアルコールの摂取も睡眠の質を低下させると考えられています。

代わりにおすすめなのが、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かったりヒーリング音楽を聴いたり、穏やかな香りのアロマを焚いたりすることです。

心と体をリラックスモードに切り替えましょう。

参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2023」 (PDF)

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」

朝日を浴びて体内時計をリセット

朝起きたら、まずカーテンを開けて太陽の光を浴びる習慣をつけましょう。

朝日を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜の自然な睡眠につながりやすくなります。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」

②リラクゼーション技法でストレスを軽減する【動画で解説】

呼吸法でリラックスする女性

ストレスを感じると、体は無意識に緊張し、呼吸は浅くなります。

意識的にリラックスする時間を作ることで心身の緊張をほぐすことができます。

リラクゼーション技法 特徴 こんなときにおすすめ
腹式呼吸法 深い呼吸で自律神経を整える 緊張や不安を感じたとき
漸進的筋弛緩法 筋肉の緊張と弛緩を体感する 体がこわばっているとき
マインドフルネス瞑想 「今、ここ」に意識を集中する 考えがぐるぐる回るとき

副交感神経を優位にする「腹式呼吸法」

腹式呼吸は自律神経のバランスを整え、心身をリラックスさせる副交感神経を優位にする効果があると考えられています。

  1. 椅子に座るか、仰向けに寝て、体の力を抜きます。
  2. お腹に手を当て、鼻からゆっくり息を吸い込み、お腹が膨らむのを感じます。
  3. 口からゆっくりと、吸うときよりも長い時間をかけて息を吐ききり、お腹がへこむのを感じます。
  4. この呼吸を5〜10分ほど繰り返します。

参考:坂木 佳壽美, 腹式呼吸が自律神経機能に与える影響, 体力科学, 2001, 50 巻, 1 号, p. 105-118, 公開日 2010/09/30

参考:Hamasaki H. Effects of Diaphragmatic Breathing on Health: A Narrative Review. Medicines (Basel). 2020;7(10):65. Published 2020 Oct 15. doi:10.3390/medicines7100065

緊張と弛緩を体感する「漸進的筋弛緩法」

体の各部分に意図的に力を入れて緊張させた後、一気に力を抜いてリラックスさせる方法です。

筋肉の緊張と弛緩(しかん)を体感することで、深いリラックス状態を得られます。

  • 両手に力を入れて、10秒間固く握りしめます。
  • その後、一気に力を抜いて、15〜20秒間だらんとさせます。
  • この要領で、腕、肩、背中、足など、全身のパーツで繰り返します。

参考:今別府 志帆, 山田 重行, 在宅療養者での漸進的筋弛緩法の習得過程におけるリラックス反応, 日本看護技術学会誌, 2009, 8 巻, 3 号, p. 57-64, 公開日 2016/08/25

今この瞬間に集中する「マインドフルネス瞑想」

過去の後悔や未来への不安から離れ、「今、ここ」の感覚に意識を集中させる瞑想法です。

  1. 静かな場所で楽な姿勢で座ります。
  2. 目を閉じ、自分の呼吸に意識を向けます。息を吸う感覚、吐く感覚をただ観察します。
  3. 他の考えが浮かんできたら、「考えが浮かんだな」と気づき、またそっと呼吸に意識を戻します。
  4. まずは5分程度から始めてみましょう。

③適度な運動とバランスの取れた食事がもたらす効果

心と体の健康に繋がる運動と食事

体を動かすことや食べることも私たちの気分や精神状態に大きく影響します。

運動と食事は心の健康を支える両輪と言えるでしょう。

アプローチ ポイント
運動 気分を安定させるホルモンの分泌を促す。
食事 心の安定に必要な栄養素を補給する。
楽しむ心 食事そのものを楽しむ行為が心の栄養になる。

ウォーキングなど有酸素運動のすすめ

ウォーキングやジョギングなどのリズミカルな有酸素運動は、気分を安定させる神経伝達物質「セロトニン(俗称:幸せホルモン)」の分泌を促しストレス軽減に効果的であるとされています。

1日20分程度、少し汗ばむくらいの強度で継続することを目指しましょう。

運動する時間が取れない場合は、一駅手前で降りて歩く、エレベーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やすだけでも効果があります。

メンタルヘルスに良い栄養素とは?

心の安定には、バランスの取れた食事が基本です。

特に、以下の栄養素を意識して摂ることで、気分の落ち込みの予防につながる可能性があります。

  • トリプトファン(肉、魚、大豆製品、乳製品など):セロトニンの材料となる
  • ビタミンB群(豚肉、レバー、玄米など):神経の働きを助ける
  • 鉄分(赤身肉、ほうれん草など):気分の落ち込みを防ぐ

これらの栄養素をバランス良く摂ることが大切です。

参考:功刀 浩, 古賀 賀恵, 小川 眞太郎, うつ病患者における栄養学的異常, 日本生物学的精神医学会誌, 2015, 26 巻, 1 号, p. 54-58, 公開日 2017/02/16

食事を楽しむことが心の栄養に

栄養バランスだけでなく、「誰かと楽しく食事をする」「好きなものを味わって食べる」といった、食事そのものを楽しむ行為も心を豊かにする大切な要素です。

④思考のクセに気づき、ポジティブに変える習慣

認知の偏りを修正し、ポジティブに思考を転換するイメージ

物事の捉え方や考え方には、人それぞれ「クセ」があります。

ストレスを感じやすい人は、無意識のうちに物事をネガティブに捉える思考のクセを持っている場合があります。

アプローチ 概要
「認知の偏り」の理解 自分のネガティブな思考パターンに気づく。
「3グッドシングス」の実践 良かったことを記録し、ポジティブな側面に目を向ける。
感謝の気持ちを持つ 自己肯定感を高め、ストレスへの抵抗力を強める。

自分の「認知の偏り」を理解する

例えば、「一度の失敗で、すべてがダメだと思い込む」「白か黒か、0か100かで物事を判断する」といったものが「認知の偏り」の例です。

まずは、自分がどのような思考のクセを持っているかに気づくことが第一歩です。

ストレスを感じた時に、その状況で「とっさに頭に浮かんだ考え」を書き出してみると、自分のクセが見えやすくなります。

小さな成功体験を記録する「3グッドシングス」

3グッドシングスとは、1日の終わりに「今日あった良いこと」を3つ書き出すというシンプルなワークです。

「同僚に感謝された」「仕事が予定通りに進んだ」「夕食がおいしかった」など、どんな些細なことでも構いません。

3グッドシングスを続けることで、物事のポジティブな側面に目を向ける習慣がつき、自己肯定感が高まります。

参考:Seligman ME, Steen TA, Park N, Peterson C. Positive psychology progress: empirical validation of interventions. Am Psychol. 2005;60(5):410-421. doi:10.1037/0003-066X.60.5.410

感謝の気持ちが自己肯定感を高める

身の回りの人や物事に対して、感謝の気持ちを持つことも有効です。

当たり前だと思っていることの中に、感謝できることを見つけてみましょう。

感謝は、幸福感を高め、ストレスに対する抵抗力を強めてくれます。

⑤楽しむ時間を作り、人とのつながりを大切にする

趣味や人との交流を通じて、心の活力を取り戻すイメージ 

心身の回復や思考の調整といった守りのセルフケアに加えて、心のエネルギーを積極的に満たしていく「攻め」のセルフケアも大切です。

「やらなければいけないこと」から少し離れて、純粋に「楽しい」「心地よい」と感じる時間を意識的に作りましょう。

趣味や好きなことに没頭する時間を持つ

心の不調のサインとして、以前は楽しめていたことが楽しめなくなるといったサインを取り上げました。逆に、趣味など好きなことに没頭する時間はストレスを忘れさせ心をリフレッシュさせてくれます。 

読書や映画鑑賞、音楽、スポーツ、ガーデニング、ものづくりなど、何でも構いません。

時間を忘れて何かに集中している状態は心のエネルギーを充電してくれます。週に一度、あるいは一日に数分でも、自分のためだけの楽しみの時間を確保してみましょう。

信頼できる人と話す時間を作る

悩みや不安を一人で抱え込んでいると、どんどん視野が狭くなってしまうことがあります。

このような時は、信頼できる家族や友人、パートナーと話す時間を作ってみましょう。 必ずしも解決策を求める必要はありません。

ただ自分の気持ちを言葉にして誰かに聞いてもらい、「そうなんだね」と受け止めてもらうだけでも、孤独感が和らぎ、心が軽くなる効果があります。社会的なつながりは、メンタルヘルスを支える重要な土台になります。

参考:小牧 一裕, 職務ストレッサーとメンタルヘルスへのソーシャルサポートの効果, 健康心理学研究, 1994, 7 巻, 2 号, p. 2-10, 公開日 2015/06/13

参考:藤代 知美, メンタルヘルスにおける「つながり」の概念分析, 高知女子大学看護学会誌 VOL. 49, NO. 1, pp26~37, 2023

⑥専門家への相談も重要!一人で抱え込まないための選択肢

専門家に相談し、心の負担を軽くする様子

セルフケアを試しても、不調が続いたり、悪化したりする場合は、決して一人で抱え込まないでください。

専門家の力を借りることは、問題を解決するための賢明で勇気ある選択です。

相談の選択肢 対象・特徴
医療機関 不調が2週間以上続く場合。精神科・心療内科など。
社内外の相談窓口 会社員向け。産業医やEAP(従業員支援プログラム)など。
オンラインカウンセリング 自宅から気軽に相談したい方向け。時間や場所の制約が少ない。

セルフケアで改善しない場合は無理をしない

2週間以上、気分の落ち込みや不眠などが続く場合は、専門の医療機関(精神科、心療内科)への相談を検討しましょう。

早期の受診が早期の回復につながります。

参考:大野 裕, うつ病の新しい考え方, 総合健診, 2018, 45 巻, 2 号, p. 359-365, 公開日 2018/05/01

社内外の相談窓口(EAP、産業医など)

会社によっては、産業医や保健師、カウンセリングを受けられる担当者が常駐している場合があります。

また、外部のEAP(従業員支援プログラム)機関と契約しており、匿名でカウンセリングを受けられる制度があるかもしれません。まずは自社の制度を確認してみましょう。

オンラインカウンセリングという新しい選択肢

近年では、スマートフォンやパソコンを使って、自宅から気軽にカウンセリングを受けられるオンラインサービスも増えています。

対面での相談に抵抗がある方や忙しくて時間が取れない方にとって有効な選択肢となるでしょう。

まとめ:あなたに合ったセルフケアで、しなやかな心を手に入れましょう

この記事では、明日から実践できる6つのセルフケア方法を紹介しました。大切なのは、完璧を目指すのではなく、自分に合った方法を、無理のない範囲で試してみることです。

セルフケアは一度やれば終わりというわけではありません。歯磨きのように毎日の習慣にすることで、ストレスに負けない、しなやかで健康な心を育てることができます。今日から、あなた自身の心を大切にする時間を作ってみませんか。

従業員一人ひとりがセルフケアを実践し、いきいきと働ける職場環境づくりは、企業の持続的な成長に不可欠です。

当社では、従業員向けのセルフケア研修や、管理職向けのラインケア研修、相談しやすい職場環境の構築支援など、企業のメンタルヘルス対策をトータルでサポートしています。課題に感じていることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

  1. セルフケアをしても、すぐに効果が出ないのですが…

    セルフケアの効果の現れ方には個人差があり、すぐには実感できないこともあります。大切なのは、即効性を求めすぎず、薬のように劇的な変化を期待しないことです。まずは「心地よい」と感じることを、無理のない範囲で続けてみてください。歯磨きのように習慣化することで、少しずつストレスに対する抵抗力がつき、心の状態が安定してくるでしょう。

  2. メンタルケアにお金をかけたくないのですが、無料でできることはありますか?

    はい、たくさんあります。この記事でご紹介した呼吸法や瞑想、思考の習慣、軽い運動などは、基本的にお金をかけずに始めることができます。また、お住まいの地域の自治体によっては、無料でカウンセリングを受けられる公的な相談窓口(精神保健福祉センターなど)が設置されていますので、調べてみるのも良いでしょう。

  3. 家族や友人のメンタル不調が心配です。周りの人は何ができますか?

    ご家族やご友人の不調に気づかれた際は、まず安易に励ましたり、原因を追及したりせず、本人の話にじっくりと耳を傾ける「傾聴」の姿勢が大切です。「大変なんだね」と気持ちを受け止め、本人が安心して話せる安全な場所を提供してあげてください。その上で、必要であれば専門家への相談を一緒に検討するなど、本人の意思を尊重しながら支援することが重要です。

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