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ストレスチェック結果の見方を解説!判定基準と高ストレスの対策

この記事のポイント
- 個人の高ストレス判定は「77点以上」または「76点以上かつ63点以上」が基準
- 結果による解雇や評価下げなどの不利益取扱いは法律で禁止されている
- 集団分析の「健康リスク120」は、疾病休業リスクが20%高い危険信号
- 正しい見方を知ることで、個人のメンタルヘルスと職場の生産性は守れる
「ストレスチェックの結果が返ってきたけれど、図の見方がよくわからない」
「高ストレス者と判定されたら、人事評価に影響するのではないか?」
「集団分析の『健康リスク』という数値、どう経営に活かせばいいの?」
専門用語やグラフが並ぶストレスチェックの結果票を見て、見方がわからず疑問を感じていませんか。
ストレスチェック結果には、心身の健康を守るためのヒントや、組織の生産性向上に役立つ情報が隠されています。
ストレスチェック結果の正しい見方を理解することで、個人のメンタルヘルス増進や企業の安全配慮義務遵守につながります。
この記事では、個人が知っておくべき判定基準の具体的な数値から、人事・経営者が押さえるべき集団分析結果の見方まで、医師・労働衛生コンサルタントの視点で徹底解説します。
ストレスチェック結果の正しい見方を理解し、ストレスチェックを価値ある改善活動へと変えていきましょう。
▼ YouTubeチャンネルでは代表医師の佐藤が本音と経験も踏まえて動画で解説しています!
目次
【個人向け】3分でわかる!ストレスチェック結果の見方と判定基準

ストレスチェックの結果票は、心と身体の状態を客観的にあらわす健康診断結果のようなものです。
しかし、血液検査のように「正常値なら100%安心」とは言い切れないのがメンタルヘルスの難しいところです。
ストレスチェックの結果票のサンプルを以下に掲載します。

ストレスチェック結果のうち、まず見るべきなのは以下の2点です。
- 総合判定(高ストレスかどうか)
- レーダーチャートの形
ここでは、結果票の構造と高ストレスのサインとなる具体的な数値基準について解説します。
A・B・C 3つの領域と「点数」の仕組み
ストレスチェックは、以下の3つの領域からストレス状態を把握するものです(※厚生労働省が推奨する職業性ストレス簡易調査票(57項目版)の場合)。
- A群:仕事のストレス要因
- B群:心身のストレス反応
- C群:周囲のサポート
3つの領域から、現在のストレス状態を網羅的に把握できます。
3つの領域の判定ポイントや具体的な質問項目例は以下の通りです。
| 領域 | 判定のポイント | 評価項目 |
|---|---|---|
| A群: 仕事のストレス要因 |
ストレスの「原因」 点数が高いほど負担が大きい |
|
| B群: 心身のストレス反応 |
ストレスによる「症状」 判定において最も重視される項目 |
|
| C群: 周囲のサポート |
ストレスの「緩衝材」 点数が低いほど孤立(リスク大)している |
|
ここで重要なのは、原因(A)が多くても、十分なサポート(C)があれば、症状(B)は抑えられるという点です。
また、点数は単純な足し算ではなく、項目によって逆転処理(回答の反転)が行われるなど複雑な計算を経て算出されます。
そのため、個別の点数に一喜一憂するのではなく、次に解説する「判定基準」と照らし合わせることが重要です[1]。
重要:「高ストレス者」の判定基準(77点・76点・63点の意味)
高ストレス者に該当するかどうかは、厚生労働省のマニュアルにもとづいて決まります[1]。
具体的には以下の2つのパターンに該当するかどうかです。
| 判定パターン | 状態の定義 | 判定基準(点数) | 緊急度・対応 |
|---|---|---|---|
| ① 症状重視型 | すでに心身に限界がきている状態 | B領域(反応)が77点以上 | 【極めて高い】 仕事量に関わらず休養・ケアが急務 |
| ② 複合評価型 | 環境が悪く、今後夕ウンするリスクが高い状態 | A+C領域(要因・サポート)が76点以上かつ B領域(反応)が63点以上 |
【高い】 医師の面接指導を検討すべき「SOS」の状態 |
高ストレス状態だとわかった場合、「まだ頑張れる」と思わず、自身の生活を振り返り、専門家への相談を検討するきっかけにしてください[1]。
※実施する企業によっては、より厳しい独自基準を設けている場合もあります。
レーダーチャートの形状から読み解くストレスの状態

ストレスチェック結果票にあるレーダーチャート(多角形のグラフ)は、ストレスのバランスを一目で把握するためのツールです。
一般的な厚生労働省版のフォーマットでは、以下のような法則があります。
- チャートが縮こまっている(小さい): ストレスが高い(悪い状態)
- チャートの外側に広がる(大きい): ストレスが低い(良い状態)
特に注意が必要なのは、以下の2つの形状です。
- 全体的に小さい(収縮型):
仕事の負荷が高く、サポートも不足し、心身ともに疲弊している状態です。緊急のケアが必要です。 - 特定の角だけが凹んでいる(歪型):
例えば「上司のサポート」の部分だけが中心に凹んでいる場合、上司との関係性が主なストレス源になっている可能性があります。
自身のグラフを見て、どこが中心に凹んでいるかを確認してみましょう。そこが今抱えている課題です。
なお、システムによっては「外側ほどストレスが高い」という逆の表示形式の場合もあります。
必ず、グラフの近くにある項目が高ストレスと低ストレスのどちらを示すのか確認するようにしてください[1]。
会社にバレる?評価は?法的リスクとプライバシーの真実

ストレスチェックの結果を理由とした不利益な扱いは、法律で禁止されており、原則として本人の同意なく会社に結果が知られることはありません。
「そうは言っても、実際には裏で筒抜けなのでは?」と不安に思う方も多いでしょう。
ここでは、ストレスチェックの受検者を守る法的な仕組みについて解説します。
法律で禁止されている「不利益取扱い」とは
労働者がストレスチェックを受検した際や、や高ストレス者として面接指導を申し出たことを理由に、会社がその従業員に対して不利益な取り扱いを行うのは禁止されています。
労働安全衛生法(第104条)および労働安全衛生規則(第52条の16)によって定められた、労働者の権利です[2]。
具体的には、以下のような行為は不利益な取り扱いとされる可能性があります。
- 解雇・雇い止め: 「メンタルヘルス不調の恐れがある」として解雇すること。
- 不当な配置転換・異動: 必要性がないのに閑職へ追いやったり、逆に過酷な部署へ異動させたりすること。
- 昇進・昇格の停止: 「ストレス耐性がない」と決めつけ、人事評価を下げること。
- 退職勧奨: 遠回しに、あるいは直接的に退職を迫ること。
むしろ会社側には労働者が安全に働ける環境を整える安全配慮義務が課せられています。
ストレスチェック結果を知った以上は、ペナルティを与えるのではなく、「業務量を調整する」「残業を減らす」といった改善措置を講じる義務があります。
人事や上司が結果を見られる「唯一の例外」
個人のストレスチェック結果は、取り扱いに注意が必要な個人情報です。
そのため、原則として産業医や保健師などの実施者と本人しか見ることができず、人事部長や直属の上司であっても勝手に閲覧できません。
ただし、以下の場合は例外的に会社側(人事・上司)が結果を知ることが可能です。
- 本人が結果の提供に同意した場合:
結果通知後に「会社へ結果を提供することに同意しますか?」という確認があり、これに本人が同意した時。 - 面接指導を申し出た場合:
医師による面接指導を希望して申し出た時点で、会社へ結果が開示されることに同意したとみなされます(就業上の措置を講じるために必要だからです)。
面接指導を申し出ない限り、高ストレス者であるという事実は、会社側には一切伝わりません[3]。
安心してありのままの状態で回答してください。
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【人事・経営者向け】集団分析結果と「健康リスク」の読み解き方

ここからは、人事担当者や経営者向けに、集団分析(組織分析)の結果の見方を解説します。
集団分析結果は、組織の現状を表し、、将来の生産性低下や離職リスクを予測する指標として有効です。
「うちは大丈夫」と思っていても、データを見ると特定の部署だけ崩壊寸前、というケースは珍しくありません。
主な指標の見方を理解し、効果的な職場改善へつなげましょう。
「仕事のストレス判定図」と4つの象限(量-コントロール)
集団分析を読み解く上で、まず確認すべきは各部署の健康リスクです。
以下の表に、代表的な分析手法である「仕事のストレス判定図」の4タイプをまとめました[4]。

| 象 限 |
タイプ名 | 仕事 量 |
裁 量 権 |
特徴・状態 | 健康リスク |
|---|---|---|---|---|---|
| 左 上 |
高ストレイン 高ストレス群 |
多い | ない | 負担が大きく、自分でコントロールできない。 心身へのダメージが最も大きい状態。 |
極めて高い 要改善 |
| 右 上 |
アクティブ 活性化群 |
多い | ある | 忙しいが、やりがいや成長を感じられる。 過労による燃え尽きに注意が必要。 |
中程度 注意 |
| 左 下 |
パッシブ 非活性化群 |
少な い |
ない | 単調な業務で意欲が湧きにくい。 無気力感やスキル低下の懸念あり。 |
中程度 注意 |
| 右 下 |
低ストレイン リラックス群 |
少な い |
ある | マイペースに仕事ができている。 最もストレスが少ない安定した状態。 |
低い 良好 |
グラフ上で自社のプロットが左上(高ストレイン)にある部署は、赤信号です。
高ストレイン状態を放置すると、メンタルヘルス不調者が続出する恐れがあります。人員補充による量的負担の軽減か、権限委譲によるコントロール度の向上が急務と言えるでしょう。
総合健康リスク「120」はどれくらい危険なのか?
集団分析結果にある健康リスクは、全国平均を100とした場合の相対的なリスク指数です。
健康リスクの具体的な状態は以下のとおりです。
- 健康リスク 100: 全国平均と同じレベル。
- 健康リスク 90: 全国平均よりリスクが低い(健康度が高い)。
- 健康リスク 120: 全国平均より疾病休業のリスクが20%高い状態。
- 健康リスク 150以上: 極めて危険な水準。いつ休職者が出てもおかしくない状態。
特に、健康リスク120を超えている部署は注意が必要です[1]。
何らかの対策を取らないと、従業員のメンタルヘルス不調による離職・休職を引き起こし、企業の組織力の低下につながりかねません。
健康リスクをKPI(重要業績評価指標)の一つとして設定し、経年変化を確認することをおすすめします。
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職場環境改善への第一歩と専門家の活用
「リスクが高いことはわかったが、すぐに残業を減らすのは難しい」
多くの企業が現実的な制約とのジレンマを抱えています。しかし、コストをかけずとも、職場の支援(サポート)を強化することでリスクは低減できます。
仕事の量が多くても、上司や同僚からのサポートが手厚ければ、総合的な健康リスクは下がることが統計的に証明されています[4]。
そして、お金をかけずとも、明日からできる対策はあります。
例えば、以下のような取り組みが有効です。
- 「おはよう」「お疲れ様」の声掛けを意識的に増やす
- 相談しやすい雰囲気を作るためのミーティング時間を設ける
- 孤立している従業員がいないかチェックする
まずは、従業員同士の関係性の質を高める取り組みから始めてみてはいかがでしょうか。
SUGARでは、こうしたデータ分析にもとづき、医学的・経営的視点から御社に最適な改善策を提案し、実行まで伴走支援いたします。
よくある質問(FAQ)
ストレスチェックに関して、受検者や人事労務担当者からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
Q. ストレスチェックを拒否したら罰則はありますか?
A. 従業員に受検の義務はなく、拒否しても罰則はありません。
しかし、自身の健康状態を客観的に把握し、セルフケアに役立てるよい機会ですので、受検することを強くおすすめします。
Q. 正直に答えると人事評価が下がりますか?
A. 下がりません。
労働安全衛生法により、ストレスチェックの結果を理由とした不利益な取り扱い(評価を下げる、解雇するなど)は禁止されています[2]。
Q. 50人未満の事業場でも実施義務はありますか?
A. 現時点では「当分の間の努力義務」ですが、2025年以降の法改正により、将来的には全事業場へ義務化が拡大される見込みです(公布から3年程度の経過措置を経て義務化される見込み。2028年頃を目処)。
早めの準備をおすすめします[5]。
Q. 高ストレス者と判定されたら、必ず面接を受けないといけませんか?
A. 義務ではありません。面接指導を申し出るかどうかは、従業員本人の判断に委ねられています。
ただし、不調を感じている場合は、専門家のアドバイスを受けることで休職などを未然に防げる可能性が高まります[3]。
まとめ:結果を正しく理解し、個人の健康と組織の改善につなげよう
ストレスチェックの結果は、単なる点数ではなく、メンタルヘルスを良好に保つための有益な情報です。
個人にとっては、自分を守るための「気づき」を得る機会であり、その権利は法律によって守られています。
組織にとっては、健康リスクという指標を通じて「生産性向上」や「離職防止」に取り組むための指針になります。
本記事のポイント:
- 個人の高ストレス判定(77点以上など)が出たら、無理せずケアや相談を検討する。
- 結果を理由にした不当な扱いは法律で禁止されており、会社にはバレない(面接申出時を除く)。
- 集団分析の「健康リスク120」以上は危険信号。コストのかからない「支援」の強化から始める。
合同会社SUGARでは、医師・労働衛生コンサルタント・中小企業診断士の資格を持つ専門家が、法令遵守にとどまらず、「経営に効く」ストレスチェックの運用をサポートします。
集団分析の結果活用にお悩みの担当者様や、産業医の選任をご検討の経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
▼あわせて読みたい
Q. ストレスチェックを拒否したら罰則はありますか?
A. 従業員に受検の義務はなく、拒否しても罰則はありません。しかし、自身の健康状態を客観的に把握し、セルフケアに役立てる良い機会ですので、受検することを強くおすすめします。
Q. 正直に答えると評価が下がりますか?
A. 下がりません。労働安全衛生法により、ストレスチェックの結果を理由とした不利益な取り扱い(評価を下げる、解雇するなど)は禁止されています。
Q. 50人未満の事業場でも実施義務はありますか?
A. 現時点では「当分の間の努力義務」ですが、2025年以降の法改正により、将来的には全事業場へ義務化が拡大される見込みです(2028年頃を目処)。早めの準備をおすすめします。
Q. 高ストレス者と判定されたら、必ず面接を受けないといけませんか?
A. 義務ではありません。面接指導を申し出るかどうかは、従業員本人の判断に委ねられています。ただし、不調を感じている場合は、専門家のアドバイスを受けることで休職などを未然に防げる可能性が高まります。
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参考文献
[1] 厚生労働省: 労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル (2021年改訂)
[2] e-Gov法令検索: 労働安全衛生法 第104条, 労働安全衛生規則 第52条の16
[4] 厚生労働省: 職業性ストレス簡易調査票を用いた「仕事のストレス判定図」の作成
[5] 厚生労働省: 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について (報告)
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