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ストレスチェック制度はどこまでが義務?目的や罰則を詳しく解説!
労働安全衛生法の改正に伴い、2015年12月よりストレスチェックの実施が義務化されました。ストレスチェック義務化の内容は、対象者や実施者、結果の通知など、抑えるべきポイントが多く複雑です。
「自社の社員はストレスチェックの対象なのかわからない」
「何を使ってストレスチェックを行えばよいのか?」
「結果はどのように伝えればよいのか?」
などと、ストレスチェック実施の流れがわからず、困っている人も多いのではないでしょうか。この記事では、ストレスチェックを行うために必要な義務化の範囲について詳しく解説します。労働安全衛生法や労働安全衛生規則など、法律に沿って解説していますので、正しいストレスチェックの実施方法を理解しましょう。
義務化されたストレスチェック制度とは?
企業に義務付けられているストレスチェック制度とは、どのような制度なのでしょうか。ストレスチェック実施の目的や対象となる事業場、罰則について解説します。
メンタルヘルス不調の予防を目的に実施される
ストレスチェックは、メンタルヘルス不調を未然に防止する目的で実施されます。
令和3年度の調査では、仕事や職業生活に関してストレスを感じている労働者の割合は53.3%と全体の半数以上を占めています。また、過重労働を原因とした精神障害の労災請求件数も年々増加しており、社会的にメンタルヘルス不調への対応が求められているといえます。
ストレスチェックにより、従業員のストレス状況を定期的にチェックし、状態が悪化する前に対策を行うことが大切なのです。
50人以上の事業場では実施が必須である
ストレスチェックが義務付けられているのは、常時使用されている従業員数が50人以上の事業場です。
「常時使用」とは、期間の定めがない労働契約で、通常の従業員と比較して1週間の所定労働時間数が4分の3以上ある従業員を指します。条件に当てはまれば、正社員以外の従業員もストレスチェックの対象となるため注意が必要です。
また、事業場とは企業の総従業員数ではなく、拠点ごとの人数としてカウントします。たとえば、企業全体で従業員数が50人以上いても、1つの営業所に10人しかいない場合には、ストレスチェックは努力義務です。
実施しないと罰則もある
ストレスチェックは、実施した結果を労働基準監督署へ報告する義務があります。報告義務を怠ると、最大50万円の罰金が課せられる可能性がある(労働安全衛生法第120条)ため、報告を怠らないように注意してください。
参考:e-GOV法令検索「労働安全衛生法第120条」
企業に義務付けられている範囲は?
では、ストレスチェック制度として、どのようなことが企業に義務付けられているのでしょうか。実施方法や結果の報告、高ストレス者への対応の3つのポイントから説明します。
1.ストレスチェックを毎年実施する
ストレスチェックは、「1年以内ごとに1回」つまり毎年実施する必要があります(労働安全衛生規則第59条の9第1項)。実施にあたっては、必要な項目が含まれた質問票の活用と定められた実施者が行うことが必須です。
必須事項①3つのストレスを把握する質問票を活用
ストレスチェックで用いる質問票は、以下の項目を含めることが義務付けられています。(労働安全衛生法第52条の9第1項)
- 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
- 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
- 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
一般的には、厚生労働省が推奨する職業性ストレス簡易調査票が用いられます。ただ、上記の3項目が含まれていれば、質問項目を独自に設定することも可能です。
必須事項②定められた担当者が実施
ストレスチェックを実施する担当者は、だれでもいいわけではありません。ストレスチェックの実施者となるための要件は以下のように定められています。
- 医師
- 保健師
- 厚生労働大臣が定める研修を修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師
(労働安全衛生規則第59条の10第1項)
企業の産業医が実施者になることが一般的ですが、保健師や看護師、公認心理師といった産業保健スタッフも条件を満たせば、ストレスチェックを行うことが可能です。
2.結果の報告を行う
ストレスチェック実施後は、結果の報告を行う必要があります。企業は、従業員と所管の労働基準監督署に報告することが義務付けられています。
結果報告の対象①従業員
ストレスチェックの結果は、実施者から従業員へ直接通知します。従業員の同意なしに、結果を企業へ通知することは禁止されているため、書面やデータで同意を得ることが必要です。
また、実施した結果は5年間保存することが求められるため、忘れず保存しておきましょう。
(労働安全衛生規則第66条の10第1~2項、第52条の10)
結果報告の対象②労働基準監督署
ストレスチェックの結果は、毎年所管の労働基準監督署に報告する義務があります。報告の様式は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
参考:厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書様式」
3.高ストレス者への対応を行う
ストレスチェックで高ストレスと判定された従業員には、企業は適切な対処を講じることが義務付けられています。具体的には、次の3点を行う必要があります。
実施義務がある対応①面接指導の実施
ストレスチェックで高ストレスと判定された従業員には、産業医等から面接指導の勧奨がなされます。そして、従業員から面接指導を受けたいという希望があれば、1カ月を目安に遅滞なく行う必要があります。
面接指導は強制することはできません。ただ、不利益にならない範囲で高ストレスと判定された従業員に勧奨することが可能です。メンタル不調を未然に防ぐため、可能な限り面接指導をすすめることが大事です。
実施義務がある対応②面接指導結果の記録と保存
面接指導を行うと、産業医等から企業へ結果が報告されます。企業は、報告された結果をもとに、以下の項目を含む記録を5年間保存しておく必要があります。
- 実施年月日
- 従業員の氏名
- 面接指導を行った医師の氏名
- 医師の意見
(労働安全衛生規則第52条の18)
実施義務がある対応③職場環境改善策の実施と報告
面接指導では、産業医等から企業に対し、従業員の勤務状況やストレス状況、健康状態についての所見が報告されます。勤務時間の短縮や配置転換などの環境改善策が提案されることもあり、医師の意見を尊重して可能な対策を講じることが必要です(労働安全衛生規則第52条の21)。
また、企業内の衛生委員会へ報告し、社内で必要な対策について協議するよう努めることも求められます。
まとめ:ストレスチェックで企業に義務化される内容を理解しましょう
ストレスチェックを行うには、対象となる企業や従業員、記録の保存期間、面接指導の勧奨など押さえておくポイントがいくつもあります。義務付けられていることが多く、どのようにストレスチェックを行えばよいかわからないこともあるかもしれません。この記事で説明したポイントを把握し、正しくストレスチェックを実施しましょう。