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ストレスチェックの集団分析とは?分析や判定図について解説!
ストレスチェック制度は50人以上の事業場に義務付けられています。ストレスチェックは従業員個人への結果通知だけなく、集団分析を行うことが努力義務となっています。集団分析を行うことで、改善点の洗い出しや改善効果の検証が可能なため、有効な方法だといえます。
しかし、従業員の個人情報の取り扱い方や判定図の見方などわかりにくい点も多く、導入に踏み切れない企業も少なくないのではないでしょうか。
今回は、集団分析の分析方法や実施上の注意点、結果の保存方法などを具体的に紹介します。
ストレスチェックの集団分析とは?
ストレスチェックは、従業員のストレス状況を評価し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ目的で行われます。メンタルヘルス対策では、従業員個人へのアプローチはもちろん、集団分析から職場全体のストレス傾向を把握することも大切です。集団分析はどのような形で行うのでしょうか。
職場環境の改善を目的として行う
集団分析は、職場環境の改善を目的として実施されます。業務負担や健康状態、対人関係といったストレスチェックで評価する項目を集団ごとに分析でき、改善点が洗い出せるのです。
また、個人の結果は、ストレス耐性や仕事の得意不得意、業務の性質などにより個人の誤差が生じる可能性があります。集団分析は誤差を減らした客観的な視点から環境改善のヒントが見つかるという点がメリットです。
部署単位のストレス傾向のデータを分析する
集団分析を行う単位は、企業によって任意で決められます。たとえば、「営業部、人事部、経理部…」と部署単位で行われるものや、製造業であれば配置ごとに実施される場合もあります。自社の組織体系に応じて集団分析を行う単位を決定することがお勧めです。
法律上は努力義務である
集団分析は、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ「一次予防」として必要な対策だといえますが、法律上は努力義務にとどまっています。努力義務だから不要というわけではなく、可能な限り実施し職場環境の改善に努める必要があります。
集団分析実施のポイントとは?
では、集団分析はどのようにして実施するとよいのでしょうか。厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」から、集団分析実施の3つのポイントを説明します。
ポイント①2つの判定図から健康リスクを評価
集団分析では、上記2つの判定図を用いて分析を行うことが一般的です。ストレスチェックでは、仕事のストレスを強めたり、緩和させたりする要因として以下の4つの内容を評価しています。
- 仕事の量的負荷
- 仕事のコントロール
- 上司の支援
- 同僚の支援
前者2つに関する判定図が「量‐コントロール判定図」(左図)、後者2つに関する判定図が「職場の支援判定図」(右図)です。4つの項目について、各集団の平均値を算出し、判定図上に点を打ち健康リスクを算出します。
量‐コントロール判定図
量-コントロール判定図は、職業ストレスの説明モデルである「仕事の要求度-コントロールモデル」に沿って作成されたものです。
仕事の要求度-コントロールモデルは、職場ストレスの強さを仕事の要求度とコントロールの2つから説明します。「仕事の要求」とは、仕事のペースや量、出張の頻度など働く上で要求されるものです。また、「仕事のコントロール」とは、業務範囲や進め方の決定権、裁量権を指します。
そして、仕事の要求度が高く、仕事のコントロールが低い場合に高ストレスとなり、身体や精神面の不調に陥る可能性があるのです。高ストレスの例として「短納期だが、決定権がなく自分のペースで進められない」「業務過多だが裁量がない」などが挙げられます。
職場の支援判定図
職場の支援判定図は、職場における上司や同僚からのサポート度を評価します。職場において、ストレスの緩衝要因となるのは、周囲からサポートが得られやすいかどうかです。上司や同僚から得られるサポートがどちらも低い状態であると、高ストレス状態だと判定されます。
2つの判定図の見方と健康リスクの特定
判定図上にある斜線は、平均を100として、ストレス要因から予測される不調のリスクを示したものです。たとえば、健康リスクが120であれば、何らかの不調が平均的な水準よりも1.2倍起こりやすいことを表します。
2つの判定図から算出された健康リスクを掛け合わせて、総合健康リスクとして算出することもできます。その際は、
(量‐コントロール判定図による健康リスク)×(職場の支援判定図による健康リスク)/100
という式により算出できます。総合的な健康リスクを比較したい場合にはわかりやすい指標だといえます。
ポイント②10人未満の集団分析には注意
集団分析結果をストレスチェックの実施者から企業へ提供することは、基本的には従業員の同意を必要としません。ただし、10人未満の部署は個人が特定される可能性があるため、従業員の同意が必要です。
しかし、個人の特定につながりにくい配慮がなされている場合は、同意がなくても提供が可能です。たとえば、項目を限定せず全ての項目の合計の平均値を算出するような配慮を指します。
実際は、ストレスチェックの実施者が配慮するポイントですが、企業担当者としても理解しておくと役立ちます。
ポイント③分析結果は5年間保存
集団分析の結果は、5年間保存しておくことが望ましいとされています。集団分析は、一時点の結果だけでは職場環境の改善につなげにくく、経年的に経過を追うことで有効な対策となりえるからです。
たとえば、職場環境改善を行った結果従業員のストレス状況が改善したかどうか、効果検証として活用できます。改善がみられなかった場合は、判定図のどの項目が改善していないかを見ることで、さらなる改善点が見出せるでしょう。
まとめ:集団分析を活用してメンタルヘルス不調を未然に防ごう
集団分析は現在努力義務にとどまっており、実施しなくてもよいと考える人も少なくないのではないでしょうか。集団分析により職場環境を改善することは、メンタルヘルス不調の防止だけでなく、従業員のパフォーマンス向上にもつながります。集団分析を積極的に活用し、従業員にとって働きやすい職場づくりを行っていきましょう。