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ストレスチェックの結果はどう見ればいい?見方と活用方法を解説

ストレスチェックでは、従業員のストレスに関して多岐にわたる情報が得られます。メンタルヘルス施策を考える上では有益なツールですが、結果が複雑で理解しにくいことも多いのではないでしょうか。
今回は、ストレスチェックの個人結果に関して、見方のポイントや活用方法を解説します。
ストレスチェック分析結果の見方とは?
ストレスチェックは、主に厚生労働省が推奨している「職業性ストレス簡易調査票」を用いて実施されます。3つのポイントからストレス傾向を把握することが可能であり、下記のような報告書により従業員に通知されることが一般的です。
結果を理解するため、仕事のストレス要因と心身のストレス反応、周囲のサポートという3つを把握しておくことがおすすめです。
参考:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
ポイント①仕事のストレス要因
仕事のストレス要因とは、業務の負担や身体的負担度、裁量範囲や働きがいなどの仕事上のストレス原因の程度を表しています。具体的には、以下の項目から評価されます。
尺度 | 質問項目例 |
心理的な仕事の負担(量) | 「非常にたくさんの仕事をしなければならない」 |
心理的な仕事の負担(質) | 「かなり注意を集中する必要がある」 |
自覚的な身体的負担度 | 「からだを大変よく使う仕事だ」 |
職場の対人関係でのストレス | 「私の部署内で意見のくい違いがある」 |
職場環境によるストレス | 「私の職場の作業環境(騒音、照明、温度、換気など)はよくない」 |
仕事のコントロール度 | 「自分のペースで仕事ができる」 |
技能の活用度 | 「自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない」 |
仕事の適性度 | 「仕事の内容は自分にあっている」 |
働きがい | 「働きがいのある仕事だ」 |
ポイント②心身のストレス反応
心身のストレス反応には、従業員の自覚症状に関する項目が含まれています。ストレスによって実際に生じている反応を示すので、評価においては重視される項目です。具体的には、以下のような項目から評価されます。
尺度 | 質問項目例 |
活気 | 「活気がわいてくる」「元気いっぱいだ」 |
イライラ感 | 「内心腹立たしい」「イライラする」 |
疲労感 | 「ひどく疲れた」「へとへとだ」 |
不安感 | 「気がはりつめている」「落ち着かない」 |
抑うつ感 | 「何をするのも面倒だ」「仕事が手につかない」 |
身体愁訴 | 「胃腸の具合が悪い」「食欲がない」 |
心身のストレス反応は、ストレスの程度によって自覚症状が異なります。とくに、不安感や抑うつ感は、ストレスの程度が高い段階でみられる自覚症状です。そのため、6つの尺度のうち、不安感や抑うつ感の得点が高い従業員には注意が必要だといえます。
ポイント③周囲のサポートおよび満足感
周囲からのサポートや満足感が不足していることも、職場におけるストレスに大きく影響します。以下のように、上司や同僚、家族、友人からのサポート状況の程度や仕事・生活の満足度を評価します。
尺度 | 質問項目例 |
上司からのサポート | 「次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか?」「あなたが困ったとき、次の人たちはどのくらい頼りになりますか?」「あなたが個人的な問題を相談したら、次の人たちはどのくらいきいてくれますか?」 |
同僚からのサポート | 「次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか?」「あなたが困ったとき、次の人たちはどのくらい頼りになりますか?」「あなたが個人的な問題を相談したら、次の人たちはどのくらいきいてくれますか?」 |
家族友人からのサポート | 「次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか?」「あなたが困ったとき、次の人たちはどのくらい頼りになりますか?」「あなたが個人的な問題を相談したら、次の人たちはどのくらいきいてくれますか?」 |
仕事や生活の満足度 | 「仕事に満足だ」「家庭生活に満足だ」 |
ストレスチェック分析結果の活用方法とは?
従業員のストレス状況を把握できるストレスチェックの分析結果ですが、実際にはどのように活用するとよいのでしょうか。
1.高ストレス者を判定する
ストレスチェックの結果に基づき、メンタルヘルス不調に陥る可能性のある「高ストレス者」を判定する必要があります。どのような基準に沿って判定されるのでしょうか。
判定方法①事業者が高ストレス者の基準を決定
ストレスチェックの評価は、産業医や産業保健スタッフなどの実施者が行います。しかし、評価方法や判定基準は、実施者の意見を参考に、社内の衛生委員会での審議を踏まえて事業者が決定します。
高ストレス者に該当するかどうかの基準は、事業場によって異なるため、業種や人員状況などを参考に決定することが重要です。
判定方法②「心身のストレス反応」項目を重視
厚生労働省のマニュアルでは、自覚症状のある従業員へ対処するため、「心身のストレス反応」を重視することが推奨されています。具体的には、以下の2点の基準があります。
①「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計が高い者
②「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計が一定以上であり、かつ「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」に関する項目の評価点の合計が著しく高い者
労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル(2)ストレスチェックの実施方法
①の基準に関しては、「心身のストレス反応」の合計点が77点以上の従業員を高ストレス者と判定します。また、②では「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」の合計が76点以上、「心身のストレス反応」が63点以上が基準です。
2.高ストレス者には面接指導を勧奨する
ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された従業員には面接指導の勧奨を行います。面接指導で行うのは、従業員のストレス関連症状や心理的な負担の程度の把握です。
高ストレス者と判定された従業員は、それ以外の従業員と比較して休業のリスクが高いことが研究で示されています。具体的には、ストレスチェック後12カ月において、男性は6.6倍、女性は2.8倍、休業につながりやすいとされています。
ストレスチェックによる評価だけではなく、面接指導も合わせて行うことで、従業員の休職を未然に防げるのです。
関連記事:ストレスチェックで高ストレスと診断…面接指導の流れと注意点を解説
3.集団分析により職場環境改善に生かす
ストレスチェックの結果から、部署単位でのストレス傾向を把握し、職場環境改善につなげることも重要といえます。メンタルヘルス不調の原因が環境面にある場合、改善点を洗い出して対策を打たないと、ストレスの原因はなくならないからです。
集団分析では、「量‐コントロール判定図」と「職場の支援判定図」という2つの判定図を用いて、部署ごとの特徴を分析します。集団分析は努力義務であるものの、従業員のパフォーマンスを向上させる有益な施策です。可能な限り行うことをおすすめします。
なお、集団分析については下記の記事も合わせてご覧ください。
関連記事:ストレスチェックの集団分析とは?分析や判定図について解説!
まとめ:3つの因子から分析結果を正しく理解しましょう

ストレスチェックの結果から、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ適切な施策を立案することができます。とくに、「心身のストレス反応」が高く、自覚症状のある従業員がメンタルヘルス不調に陥らないように注意が必要です。3つのストレス因子を正しく理解し、ストレスチェックを効果的な施策にしていきましょう。
