【医師監修】つわりと仕事の両立支援|妊娠悪阻の辛い症状と休職基準

この記事のポイント
- つわりは医学的根拠のある症状で、法律で定められた「母性健康管理措置」により労働者の権利は守られています。
- 働く女性は症状に合わせた対策を実践し、つらいときは「母健連絡カード」を活用してためらわずに休みましょう。
- 企業側は法的義務を理解し、時差出勤や業務軽減など、安心して働けるサポート体制を整える必要があります。
新しい命の訪れという喜ばしいニュースの一方で、「つわりの症状がつらくて仕事に集中できない」「職場に迷惑をかけてしまうのでは」と、一人で悩みを抱えていませんか?
また、部下や従業員から妊娠の報告を受け、「どうサポートすれば良いのだろう」「会社としての義務は何だろう」と対応に戸惑っている管理職や人事担当者もいらっしゃるかもしれません。
つわりは、働く女性の約7割が「仕事に支障が出た」と回答するほど、多くの人が直面する切実な問題です。 決して「甘え」や「気合の問題」ではなく、適切な知識と対策、そして職場の理解とサポートが必要です。
この記事では、産業医、労働衛生コンサルタント、両立支援コーディネーターなどの視点で、つわりの医学的背景から働く女性本人ができる具体的な対策、そして企業側が講じるべき支援体制まで、法律に基づいた正確な情報を網羅的に解説します。
この記事を読めば、「つわりと仕事」の両立に直面する全ての人が、それぞれの立場で何をすべきかを明確に理解し、安心して次のステップに進むことができるでしょう。
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目次
つわりと仕事の基本|知っておくべき医学的根拠と法律

つわりは医学的根拠のある症状です。そして、働く妊娠中の女性は法律による「母性健康管理措置」で守られています。
まずは正しい知識を身につけることが、適切な対策への第一歩となるでしょう。
なぜ起こる?つわりの原因と症状・期間
つわりとは、妊娠初期に多くの女性が経験する吐き気や眠気など、一連の不快な症状の総称です。
最新研究でわかったつわりの原因「GDF15ホルモン」
かつて、つわりは精神的なものが原因ともいわれました。
しかし近年の研究により、胎児や胎盤から作られる「GDF15」というホルモンが主な原因だと科学的に解明されつつあります。
このホルモンが母体の脳にある嘔吐中枢を刺激し、吐き気などの症状を引き起こします。つまり、つわりは医学的な配慮が必要な症状です。
つわりの主な種類と症状
つわりの症状は個人差が大きいですが、主に以下のタイプがあります。
- 吐きづわり: 吐き気や嘔吐が中心のタイプ
- 食べづわり: 空腹になると気持ち悪くなるため、常に何かを口にする必要があるタイプ
- においつわり: 特定のにおいに敏感になり、気分が悪くなるタイプ
- 眠りづわり: 強い眠気に襲われ、仕事に集中できなくなるタイプ
これらの症状が複合的に現れることも少なくありません。
つわりのピークはいつからいつまで?
一般的に、つわりは妊娠5〜6週頃から始まります。そして妊娠8〜11週頃にピークを迎え、胎盤が完成する妊娠16週頃までには自然と落ち着く場合がほとんどです。
ただし、症状の期間や強さには大きな個人差があることを知っておきましょう。
働く妊婦を守る2つの法律
妊娠中の女性が安心して働き続けるために、法律による保護制度が定められています。特に重要な法律が「男女雇用機会均等法」と「労働基準法」の2つです。
男女雇用機会均等法|母性健康管理措置の義務
この法律は、事業主(企業)に対して以下の措置を義務付けています。
- 健康診査の時間を確保する義務(第12条): 妊産婦が健康診査などを受診するために、必要な時間を確保しなければなりません。
- 医師の指導に基づく措置を講じる義務(第13条): 医師から勤務時間の変更や業務軽減などの指導があった場合、企業はその指導を守るための措置を講じる義務があります。
- 不利益な取り扱いの禁止(第9条): 妊娠・出産や、母性健康管理措置を申し出たことなどを理由に、解雇や降格といった不利益な取り扱いをすることは固く禁じられています。
参考:e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
労働基準法|危険な業務の制限と産前・産後休業
労働基準法では、母体を守るための具体的な働き方のルールが定められています。
- 軽易な業務への転換(第65条): 妊婦から請求があった場合、企業はより負担の少ない業務に転換させなければなりません。
- 時間外・休日労働、深夜業の制限(第66条): 妊産婦からの請求があった場合、時間外労働や休日労働、深夜業をさせることはできません。
- 産前・産後休業(第65条): 出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から産後8週間までの休業を取得する権利があります。
医師と職場をつなぐ「母性健康管理指導事項連絡カード」とは
「会社に必要な配慮をどう伝えたらいいかわからない」というときに有効なのが「母性健康管理指導事項連絡カード(通称:母健連絡カード)」です。
母健連絡カードの役割と法的効力
母健連絡カードは、医師が妊婦の症状と仕事上で必要な配慮を記入し、企業に的確に伝えるための公的なツールです。
このカードを職場に提出することで、企業側は男女雇用機会均等法に基づき、記載された指導内容に応じた措置を講じる法的義務が生じます。
企業に措置義務を発生させるという点で、診断書と同様に重要な公的ツールと認識しましょう。
どんな措置を依頼できる?具体的な内容例
母健連絡カードによって、以下のような措置を具体的に会社に申し出ることができます。
- 通勤の緩和: 時差出勤、在宅勤務への変更など
- 休憩の確保: 休憩時間の延長、回数の増加など
- 作業の制限: 立ち仕事の時間の短縮、重いものを持つ作業の制限など
- 休業(休暇): つわりの症状が重い場合の休業
【働く女性向け】つらいつわりを乗り切る仕事中の対策

法律や制度の知識に加え、日々の業務を乗り切るための具体的なセルフケア対策が不可欠です。ここでは、仕事中に実践できる工夫を紹介します。
まずは自分の症状を把握することから
効果的な対策を行うためには、まずご自身のつわりの特徴を客観的に理解することが重要です。
症状日記のススメ
「いつ、どんなときに、どのような症状が出るか」を簡単に記録しておきましょう。
「午前9時の満員電車で吐き気が強くなる」といった具体的な記録は、医師や上司に症状を的確に伝える上で、客観的な情報として非常に有効です。
医師への相談のポイント
産婦人科医に相談する際は、症状日記をもとにしましょう。そして「どのような仕事をしていて、どんなときに困っているか」を具体的に伝えてください。
そうすることで、医師も「母健連絡カード」に的確な指導内容を書きやすくなります。
職場でできる!症状別の具体的な対策
症状のタイプ別に、オフィスですぐに実践できる対策を紹介します。
| 症状のタイプ | 具体的な対策 |
|---|---|
| 食べづわり・吐きづわり |
|
| においつわり |
|
| 眠りづわり |
|
食べづわり・吐きづわり対策
食事の取り方を工夫することが、症状緩和の鍵です。ポイントは、血糖値を安定させることにあります。
- 食事を小分けにする: 空腹も満腹も吐き気の原因になります。おにぎりやクラッカーなどを数回に分けて食べ、常に小腹を満たしておくのが有効です。
- すぐに口にできるものを常備する: デスクにはグミや飴、ドライフルーツなどを常備しましょう。気分が悪くなる前に、すぐ口に入れられる環境が安心につながります。
においつわり対策
不快なにおいを避ける工夫が必要です。
- 香りのついたマスク: ミントや柑橘系など、ご自身の好きな香りをつけたマスクを着用しましょう。周囲のにおいが気になりにくくなります。
- 換気や場所の移動: デスク周りの空気を入れ替えたり、においの強い場所を一時的に避けさせてもらったりするなどの配慮を、職場に相談してみてください。
眠りづわり対策
無理は禁物です。生産性を保つためにも、適度な休息を取りましょう。
- 短い休憩をこまめに取る: 集中力が切れたら、無理せず5〜10分程度の短い休憩を取りましょう。
- 昼休みの仮眠: 可能であれば、昼休み中に休憩室などで15分程度の仮眠を取ると、午後の仕事の効率が上がります。
家庭内の協力体制、特にパートナーとの連携
職場で適切な配慮を求めるためには、家庭、特にパートナーの理解とサポートが心強い土台となります。
一人で抱え込まず、以下の点について具体的に話し合い、協力体制を築きましょう。
- つらい状況の共有: 「朝がつらい」「この匂いが苦手」など、具体的に症状を伝えることで、パートナーも配慮しやすくなります。
- 家事分担の見直し: 食事の準備を代わってもらう、においの少ないメニューにするなど、無理のない範囲で家事の分担を一時的に変更しましょう。
- 情報と判断の共有: 可能であれば産婦人科の健診に同行してもらい、医師からの説明を一緒に聞くことで体調への理解が深まり、仕事を休むべきかといった判断もしやすくなります。
上司・職場への妊娠報告と相談の仕方
職場のサポートを得るためには、適切な報告と相談が欠かせません。
報告の最適なタイミング
一般的には、心拍が確認でき流産のリスクが少し低くなる妊娠8〜11週頃が目安とされます。
しかし決まりはありません。つわりの症状で仕事に影響が出始めたら、ご自身の体調を優先し、早めに直属の上司に報告するのが良いでしょう。
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角を立てずに伝えるためのポイントと例文
報告する際は、まず直属の上司に個別で時間を取ってもらうのがマナーです。
【伝え方のポイント】
- 事実と予定を伝える: 妊娠したこと、出産予定日
- 現状を具体的に伝える: 「朝の通勤電車で吐き気がつらい」など業務への影響
- 相談の形で伝える: 「〜していただけないでしょうか」と依頼形で
- 前向きな姿勢を見せる: 「体調管理に努め、できる限り業務に支障が出ないようにします」と付け加える
【報告例文】
「〇〇部長、今お時間よろしいでしょうか。私事で恐縮ですが、この度新しい命を授かりました。現在妊娠〇週で、出産予定日は〇月頃です。
最近つわりの症状があり、特に午前中の体調が優れないことがあります。つきましては、もし可能であれば、通勤ラッシュを避けるために勤務時間を1時間ずらすといったご相談は可能でしょうか。
ご迷惑をおかけしないよう努めますので、ご配慮いただけますと幸いです」
つらいときは休む勇気を|休む判断基準と使える制度

「みんなに迷惑をかけられない」と無理をしてしまう人もいますが、つらいときは休むことが、ご自身と赤ちゃんの健康を守るために最も重要です。
「休むのは甘え?」その罪悪感は不要です
つわりで仕事を休むことに、罪悪感を抱く必要は全くありません。
妊娠中の体調不良は、誰にでも起こりうることです。無理をして症状が悪化すれば、かえって長期間休むことになりかねません。
休むことは、母体と胎児の健康を守るための必要な判断だと考えてください。
医師が教える「仕事を休むべき」症状の判断基準
つわりだと思っていたら、治療が必要な「妊娠悪阻(にんしんおそ)」という病気の状態かもしれません。
次の症状が見られる場合は、無理せず仕事を休み、すぐに産婦人科を受診してください。
- 水分が全く取れない、またはすぐに吐いてしまう
- 1日に何度も嘔吐を繰り返す
- 体重が妊娠前より5%以上減少した
- めまいや立ちくらみがひどく、まっすぐ歩けない
- 尿の回数が極端に減った
参考:日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2023」p112(PDF)
診断書は必要?休む際に使える制度
仕事を休む際には、いくつかの制度を利用できます。会社の就業規則を確認し、上司や人事担当者に相談しましょう。
母健連絡カードによる休業措置
前述の「母健連絡カード」で医師から「休業が必要」という指導が出された場合、会社はそれに従う義務があります。
有給休暇と欠勤の扱い
まずは残っている年次有給休暇を利用するのが一般的です。
有給休暇を使い切ってしまった場合は欠勤扱いとなります。しかし、妊娠を理由とした不利益な評価をすることは法律で禁じられています。
傷病手当金の活用
つわりが重症化し、「妊娠悪阻」と医師に診断された場合。そして連続して4日以上仕事を休んだ場合、健康保険から傷病手当金が支給される可能性があります。
傷病手当金は、給与の約3分の2が保障される制度です。詳しくは、加入している健康保険組合や人事部に確認してみてください。
【管理職・人事向け】妊娠報告を受けた際の対応とサポート

従業員から妊娠の報告を受けたら、それは企業が働きやすい職場であることを証明する機会です。適切な対応で、従業員のエンゲージメントを高めましょう。
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管理職の役割|最初の対応とコミュニケーション
管理職は、妊娠した従業員が最初に相談する相手であり、その対応が非常に重要です。
やってはいけないNG対応・言うべきでない言葉
部下からの報告に対する第一声は、祝福の言葉でなくてはなりません。
たとえ職場の状況が頭をよぎっても、以下のような発言はマタニティハラスメントと受け取られかねず、絶対に避けるべきです。
- 「この忙しい時期に困るな…」(個人の状況より組織を優先する発言)
- 「後任はもう考えているの?」(退職を促すような発言)
- 「今後のキャリアはどうするつもり?」(キャリアの中断を決めつける発言)
まずは本人の健康を気遣い、会社として全面的に支援する姿勢を示すことが、信頼関係の第一歩です。
業務調整と「同僚へのしわ寄せ」問題の解決策
業務量の調整は管理職の責務です。特定の同僚に負担が偏らないよう、チーム全体のタスクとして再配分しましょう。
「〇〇さんの仕事をみんなでカバーしよう」ではなく、「チームとしてこの業務を遂行するために、一時的に役割分担を変更します」と説明してください。
このように、「業務の肩代わり」をするのではなく「チームの役割分担の最適化」と捉え直すことで、不公平感をなくし、チーム全体の協力体制を築ける可能性があります。
チームで支えるために|妊娠した同僚のためにできること
妊娠した同僚をサポートするのは、管理職だけの役割ではありません。
チームメンバーの一人ひとりのちょっとした次のような配慮が、本人の安心感につながり、チーム全体の生産性を維持することにもつながります。
- まずは温かい言葉を: 「おめでとうございます」「体調は大丈夫ですか?」といった、相手を気遣う一言が、安心して働き続けるための大きな支えになります。
- 症状への理解を示す: つわりは医学的根拠のある症状であり、「甘え」や「気合」の問題ではないことを理解しましょう。
- 「におい」などへの配慮: 「においつわり」がある場合、香水や柔軟剤、昼食のメニューなどがつらい原因になることがあります。「何か苦手なにおいはありますか?」と本人に直接聞いてみるのも一つの方法です。
チームで支えるときに最も大切なことが「お互いさまの精神」です。業務を一時的にカバーすることはあるかもしれません。
しかし、それは決して一方的な負担ではありません。自分自身も将来、病気やけが、家族の介護などでチームの助けが必要になる可能性があります。困ったときに支え合える関係性を築くことが、誰にとっても働きやすい職場環境の土台となります。
特に、妊娠中の同僚をチーム全体で支える文化は、将来的に性別を問わず誰もが育児休業などを取得しやすくなる土壌を育むことにもつながります。これは「お互いさま」の精神を組織全体で実践し、持続可能な働き方を実現する良い機会です。
人事労務担当者の役割|体制構築と法令遵守
人事労務担当者は、全社的な視点で妊娠中の従業員が安心して働ける環境を整備する役割を担います。
社内制度の整備と周知
法律で定められた制度(時差出勤、時短勤務など)を従業員が利用しやすいように、就業規則を整備しましょう。
そして、社内ポータルやイントラネットなどで、いつでも閲覧できるようにしておくことが重要です。
マタハラ防止研修の実施
特に、管理職を対象に、マタニティハラスメントに関する研修を定期的に実施することが求められます。
法律の知識だけでなく、具体的なケーススタディやロールプレイングを取り入れることで、現場での適切な対応力を養います。
復職支援体制の構築と円滑な職場復帰のサポート
つわりによる休業は一時的なものです。従業員が安心して休み、スムーズに職場復帰できるよう、復職支援のプロセスを明確にしておくことが重要です。
具体的には、休業中の定期的な情報共有(本人の希望に応じて)、復職前の面談設定、復職後の業務内容やペースの再調整(ならし勤務の導入など)が挙げられます。
つわりによる休職からの復職への配慮が、従業員のエンゲージメントを高め、長期的な人材定着につながります。
中小企業が活用できる「両立支援等助成金」
妊娠中の従業員の代替要員を確保したり、職場復帰を支援したりする中小企業に対して、国から助成金が支給される制度があります。
「両立支援等助成金」は、企業の経済的負担を軽減しながら支援体制を整える上で非常に有効です。積極的に活用を検討しましょう。
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【職種・状況別】つわり中の働き方の工夫

働き方は人それぞれです。ここでは、職種や状況に応じた具体的な工夫を紹介します。
デスクワーク・在宅勤務の場合
一見、負担が少なそうに見えますが、特有の注意点があります。
- 注意点: 長時間同じ姿勢でいると、血行が悪くなり、むくみや腰痛の原因になります。
- 対策: 30分に一度は立ち上がって軽くストレッチをする、足元にクッションを置く、定期的に上司とオンラインでコミュニケーションを取り孤立を防ぐ、などの工夫をしましょう。
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立ち仕事・接客業の場合
身体的な負担が大きい職種です。
- 注意点: 長時間の立ちっぱなしは、お腹の張りや足のむくみを引き起こしやすいです。
- 対策: 可能な範囲でカウンター内に椅子を置かせてもらう、休憩を短くこまめに取らせてもらう、シフトを調整してもらうなど、会社に具体的な配慮を求めることが重要です。母健連絡カードの活用が特に有効でしょう。
看護・介護職など、食事のにおいがつらい場合
医療や介護の現場は、身体的な負担に加え、特有の「におい」の問題があります。
- 注意点: 食事の配膳や介助、排泄ケアなどは、においが避けられない業務です。特に食事の温かい湯気は、つわりの症状を強く誘発することがあります。患者さんや利用者さんへの責任感から、自身の体調不良を言い出しにくいと感じる方も少なくありません。
- 対策: 我慢は禁物です。母健連絡カードに医師から「においを発する場所での作業の制限」といった具体的な指導を記入してもらい、事業主に業務内容の変更を申し出ましょう。
一時的に配膳や食事介助の業務から外してもらう、記録作業などのデスクワークに代えてもらうといった措置は、法律で守られた正当な権利です。
「においつわり対策」で紹介した香りの良いマスクも有効ですが、まずは母体を守るために業務の調整を最優先に相談してください。
通勤時間が長い・満員電車がつらい場合
通勤は、妊娠初期の女性にとって大きなストレスです。
- 注意点: 満員電車での圧迫やさまざまなにおいは、つわりの症状を悪化させる大きな原因となります。
- 対策: 母健連絡カードを活用し、時差出勤や在宅勤務への切り替えを会社に申し出ましょう。これは法律で認められた労働者の権利です。
派遣社員・契約社員など非正規雇用の場合
派遣社員や契約社員、パートタイム労働者であっても、母性健康管理に関する権利は正社員と同様に法律で守られています。
- 注意点: 派遣社員の場合、指示を出す職場(派遣先)と、雇用契約を結んでいる会社(派遣元)が異なるため、誰に相談すべきか迷うことがあります。また、契約期間があるため、妊娠の報告が契約更新に影響しないか不安に感じる方もいます。
- 対策:
- 派遣社員の方: 法律上、業務内容の変更や時間の短縮といった措置は派遣先企業が、休業に関する措置や制度の案内は派遣元の企業が、それぞれ責任を負います。
まずは雇用主である派遣元の担当者に相談してください。派遣元が派遣先と連携し、必要な措置を講じてくれます。
- 契約社員・パートタイムの方: 労働基準法や男女雇用機会均等法は、雇用形態に関わらず適用されます。
つわりを理由とした契約の打ち切り(雇い止め)や、更新時に不利益な条件を提示することは法律で固く禁じられています。安心して母健連絡カードなどを活用し、必要な配慮を申し出てください
参考:厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法が施行されます」
参考:e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
フリーランス・個人事業主の場合
雇用されずに働くフリーランスや個人事業主の場合、労働基準法などの法律による保護は直接適用されません。しかし、ご自身の体を守るためにできることはあります。
- 注意点: 納期や成果への責任感から、無理をしてしまいがちです。体調の悪化は、結果的にお客様や取引先に迷惑をかけてしまう可能性があります。
- 対策: 体調に異変を感じたら、できるだけ早くクライアント(取引先)に状況を報告し、納期や業務量の調整を相談しましょう。契約内容にもよりますが、誠実なコミュニケーションが信頼関係を維持します。
また、自治体や加入している国民健康保険組合によっては傷病手当金制度がない場合が多いため、自身の保険制度を確認したり、民間の所得補償保険などを検討したりしておくことも有効です。
まとめ:つらいときは一人で抱え込まず、適切な知識と制度で乗り切りましょう
「つわりと仕事」の問題は、妊娠した女性一人が抱えるべき課題ではありません。
働く女性本人は、ご自身の体調を最優先にしてください。利用できる制度や権利を正しく理解し、ためらわずに周囲に助けを求めることが大切です。
また、職場で適切な配慮を求めるためには、家庭、特にパートナーの理解とサポートが大きな力になります。一人で抱え込まず、最も身近な存在であるパートナーにもつらい状況を共有し、協力体制を築きましょう。
そして管理職や企業は、法律の遵守はもちろん、従業員の健康とキャリアを支える職場文化を育むことが、企業の持続的な成長につながるでしょう。
この記事が、つらい時期を乗り越え、全ての働く女性が安心してキャリアを継続できる社会の実現に、少しでも貢献できれば幸いです。もし、自社の両立支援体制の構築や、従業員への対応について専門的なアドバイスが必要な場合は、ぜひ合同会社SUGARにご相談ください。
つわりがひどい場合、仕事を休んでも良いですか?
はい、休むべきです。特に水分が摂れない、急激に体重が減少する、めまいがひどい場合は「妊娠悪阻」の可能性があり危険です。男女雇用機会均等法に基づき、医師の指導があれば休暇や勤務時間の短縮を申請する権利があります。
「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」とは何ですか?
医師があなたの健康状態と仕事に必要な配慮(例:時差出勤、休憩時間の延長)を記入し、会社に的確に伝えるための公的な書類です。これを提出することで、会社は法律に基づき適切な措置を講じる義務が生じます。
妊娠を上司に報告する最適なタイミングと伝え方は?
つわりなどで業務に影響が出始めたら、早めに直属の上司に報告するのが一般的です。プライベートな面談を依頼し、「出産予定日は〇月で、現在つわりの症状があり、業務でご迷惑をおかけするかもしれませんが、ご相談させてください」と具体的に伝えましょう。
部下から妊娠報告を受けたら、上司としてまず何をすべきですか?
まずは心から「おめでとうございます」と祝福の言葉を伝えてください。その後、本人の体調を気遣い、「会社としてサポートできることがあるか」という姿勢で話を聞くことが重要です。今後の働き方の意向や必要な配慮について、急かさずに相談に乗りましょう。
妊娠を理由に解雇や降格を言い渡されたら、それは違法ですか?
はい、違法です。男女雇用機会均等法第9条では、妊娠・出産などを理由とする解雇や降格などの不利益な取り扱いを明確に禁止しています。そのような事態に直面した場合は、会社の相談窓口や都道府県労働局に相談してください。
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