社員の生活習慣病対策は?健康促進のために会社ができること5つ
働き盛りは生活習慣病になりやすい世代です。社員の健康状態の悪化は業績にも影響を与えるため、会社としても積極的に対策をとりたいところです。
そこで今回は、社員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践する「健康経営」の考え方のもと、生活習慣病対策について会社ができることを5つ紹介していきます。
社員が生活習慣病になるリスク
生活習慣病とは「食習慣、運動習慣、休憩、飲酒、喫煙などの習慣が、発症や進行に影響する疾患群」のことです。心臓病や脳卒中、がんなど日本人の死因の上位を占める疾患は、生活習慣病に含まれます。
社員が生活習慣病になることは、会社側にも社員側にもリスクがあります。考えられるリスクを確認したうえで、会社として対策をとりましょう。
出典:厚生労働省e-ヘルスネット「生活習慣病」
会社側のリスク
生活習慣病は、働き盛り世代に多い疾患です。治療や通院により会社を欠勤することもあるでしょう。また、体調不良のまま仕事をすることは生産性の低下につながります。
働き盛りの社員の不調や欠勤は、会社全体の成長にブレーキをかけてしまうことになりかねません。
社員側のリスク
体調不良で仕事に思うように取り組めないことは社員にとってもつらいことです。また、脳・心臓疾患などの大きな疾患につながってしまった場合、仕事を続けられなくなってしまうこともあります。
会社が行う生活習慣病対策の基本5つ
生活習慣病対策には食事と運動の見直しが欠かせません。食事や運動の習慣は個人的な要因によるところが大きくなります。そのため、会社が介入することは難しいと考えがちですが、会社ができることもあります。
具体的には、残業や昼休憩、社員のストレスの状況など社員の健康に影響することで会社が関われる項目はたくさんあります。
そこで、会社が行うことができる基本的な対策を5つご紹介します。
対策1.健康診断結果の分析
健康診断の結果は重要です。会社や健康保険組合の持つデータを分析することで、社員の健康課題が浮かび上がってきます。職場環境などによっても健康課題は変わってきます。
そのため、各職場において分析を行い優先順位をつけて重点的に取り組むべき課題から対応してみてください。
また、健康診断の結果から再検査となった社員がいる場合、再検査のための休暇を取りやすくするなど再検査を受診しやすいように配慮することも必要です。社員が自ら行動を起こせるような環境づくりを心がけてみてください。
対策2.ラインケアの充実
ラインケアとは、直属の上司などが部下の異変にいち早く気づき、ストレスの軽減に適切に対応することです。
ストレスは生活習慣病に大きく関わっており、よく眠れない、仕事の効率が落ちるなどはストレスを感じているサインです。「なんだか調子が悪そうだ」と職場の近しい人がサインを受け取れるように意識を持っておくことは、ラインケアの取り組みにつながります。睡眠の質が低下すれば血糖値が上がりやすくなります。また、適切なストレス対処行動がとれなければ、やけ食いや喫煙など生活習慣に乱れが起きやすいです。
近しい人が気づいて、ストレスへの対応や声かけ、専門家への相談につなげられると職場全体のラインケアが充実します。
対策3.過重労働対策
長時間労働は、疲労回復に必要な睡眠や休憩時間を減少させます。結果として脳・心臓血管などのリスクが高くなるとされています。
労働時間は週45時間以上になると健康障害リスクが徐々に高まるとされているため、会社が過重労働対策に積極的に取り組むことで健康障害リスクの減少につながります。
対策4.運動サポート
生活習慣病に運動が欠かせないのは周知の事実です。体重コントロールに役立ち、血圧や血糖値を適正な値に下げてくれます。
運動に関しても会社にできることがあります。近年では、社員向けの運動イベントを開催する会社もあります。
社員一人では運動習慣が作りにくいことが多いので、全社的な運動イベントの取り組みは社員の健康意識を高められることが期待できます。
対策5.禁煙対策
喫煙習慣は動脈硬化を進行させ、高血圧や心筋梗塞などの生活習慣病につながるだけでなく、がんのリスクも高めます。そのため、喫煙に対する対策は生活習慣病の予防に重要です。
2020年4月から施行された健康増進法の改正によって、社員の望まない受動喫煙を防止することが企業責任の一つに加わりました。社内の喫煙所などについて見直しをした会社も多いのではないでしょうか。
社員が喫煙をする原因としてストレスが関係していたり、喫煙所がコミュニケーションの場になっていたりする場合もあるでしょう。職場の喫煙状況を把握し、喫煙室などの環境や禁煙相談の充実、ストレスチェックの結果などを総合的に対策に取り組むことが大切です。
まとめ:生活習慣病対策で社員が生き生きと輝く会社に
今回は社員の生活習慣病対策として会社にできる対策を5つご紹介しました。
心臓病や脳卒中などの生活習慣病は、社員の労働生産性を低下させる可能性があります。健康診断やストレスチェックの分析結果を基に、本記事でご紹介した対策法の充実を図ることがおすすめです。
健康経営は未来への投資です。生活習慣病対策に積極的に取り組み、社員が生き生きと活躍できる環境を一緒につくっていきましょう。