なぜかリモートワークがつらい…ストレスの原因と対処法を解説

新型コロナウイルスの影響により、リモートワークも一般的になりました。労働政策研究・研修機構の調査では、リモートワークを実施している企業の割合は半数近くというデータもあります。
在宅で仕事が進められる反面、リモートワークならではの大変さを感じる人も多いのではないでしょうか。業務の進め方に慣れなかったり、ストレス発散がうまくできなかったりするなど、心身に不調をきたしてしまうこともあります。
本記事では、「なぜかリモートワークがつらいけれども理由がわからない」という人に、ストレスの原因と対処法を解説します。漠然としたつらさの理由を理解して、メンタル不調を予防しましょう。
また、リモートワークにおける職場ストレスを軽減する方法として、1on1ミーティング(ワンオンワン)が注目されています。下記の記事もご確認ください。
関連記事:1on1ミーティングでストレス軽減できる?対話の姿勢や質問を解説
参考:労働政策研究・研修機構(2022)「新型コロナウイルスによる雇用・就業への影響等に関する調査、分析PT」(PDF)
リモートワークによるストレスの3つの原因とは?
リモートワークによって、「職場環境」「家庭環境」「対人関係」の3つの環境に変化が生じます。これら環境の変化により、人によってはストレスが生じやすくなるといえるでしょう。3つの環境変化から生じる具体的なストレスについて解説します。
【職場環境】業務環境の変化による負担増加
リモートワークによる変化として影響が大きいのは、職場環境の変化です。在宅で仕事をするからこそ、生じるさまざまな負担があります。物理的な要因、心理社会的要因の2つに分けて解説します。
物理的な要因:業務ツールへの不適応
物理的な要因として、リモートワークを行うための環境が不十分だとストレスを感じやすいといえます。たとえば、必要な機器が不足していたり、PCの通信環境が悪かったりすると、業務効率が落ちてしまいやすいです。ICTやチャットツールに不慣れなこともストレスになります。
また、人によっては同僚や上司の目があるからこそ、適度な緊張感をもって仕事に取り組める場合もあります。メリハリなく働いてしまい、集中力が切れやすいことも起こりえるでしょう。
心理社会的な要因:互いの働き方がわかりにくい
リモートワークにより、お互いの業務の進捗状況が見えにくくなることもストレスにつながる要因だといえます。仕事ぶりが見えない分、上司にサボっていると思われないよう、働きすぎてしまう場合もあるでしょう。
また、成果が可視化されない職種は、成果が出るまでのプロセスが伝わりづらくなります。自分の頑張りに上司の評価が見合っていないと、正当に判断されているのか不安になりやすいでしょう。
【家庭環境】家族の協力と理解が得られない
リモートワークが主流になると、家庭で過ごす時間が増えることになります。家族の協力が得られないと、窮屈な思いをしたり、作業環境が十分でなかったりすることがあるでしょう。また、家族と適度な距離感を保てなくなる場合もあります。
さらに、リモートワークが多いと外出機会が減るため、身だしなみに気をつかわなくなってしまいがちです。そのために、メリハリがなくなり、生活リズムが崩れて心身に不調をきたしやすいかもしれません。
【対人関係】コミュニケーションの取りづらさ
リモートワークでは、打ち合わせやチャットでのやり取りが主となるため、気軽なコミュニケーションが取りづらくなります。雑談をする機会が減り、ちょっとした困りごとや悩みを相談しにくくなり、周囲に頼れずに抱え込んでしまうことも少なくありません。
また、人との接触が少なくなることで、孤独感を抱きやすいでしょう。とくに、一人暮らしである場合は、出社しないと全く人と接することがなくなるため、心細い気持ちになりやすいといえます。
リモートワークで生じるメンタル不調の2つのサインとは?
リモートワークによるストレスを感じた状態が続くと、心身に不調をきたしてしまうことがあります。具体的にはどのような状態になればメンタル不調が疑われるのでしょうか。身体面および心理面の変化に分けて解説します。
【身体面】頭痛や肩こり、不眠などの不調がある
身体面の変化としては、無理な姿勢を続けることによる頭痛や肩こりが生じやすいでしょう。痛みが慢性化しないよう、適切な作業環境を整えることが大切です。
また、仕事とプライベートの境界が曖昧になり、切り替えが難しく長時間の労働をしてしまうこともあります。「寝つけない」「夜中に起きてしまう」といった睡眠の問題が生じる場合は注意が必要です。とくに、倦怠感や日中の眠気が強い場合は睡眠障害の可能性があります。
【心理面】漠然とした不安が続く
リモートワークは、仕事の成果が見えにくくコミュニケーションが減ることから、評価されているのか不安になりやすいといえます。そのため、漠然とした不安を抱えやすいですが、相談もしづらく、解消されないことが起きやすいでしょう。
不安に伴う気分の落ち込みや食欲の低下などが2週間以上続く場合は、うつ病の可能性もあるので注意が必要です。ストレスと心の病気の関係や受診の目安については、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:ストレスが限界のサインは?受診の目安や自覚症状について解説!
リモートワークによる3つのストレス対処法とは?
さまざまなストレスにつながるリモートワークですが、適切なストレス対処法はあるのでしょうか。「生活リズムを一定に保つ」「作業環境を整える」「コミュニケーションを増やす」という3つの観点から解説します。
【対処法①】生活リズムを一定に保つ
リモートワークでは、通勤の必要がないため生活リズムが崩れがちです。生活リズムの乱れは不眠につながり、メンタルヘルス不調へと悪化していく可能性があります。決まった時間に起床するように心がけ、身だしなみを整え、朝には日光を浴びるようにしましょう。
日光を浴びることで、日中の活動に必要なセロトニンという神経伝達物質の分泌が促されます。セロトニンは日が暮れると、眠気を誘発するメラトニンという物質に変化します。日光を浴びる習慣は、日中のエネルギーを高めるだけでなく、質のよい睡眠にも影響しています。
リモートワークにおいても、生活にメリハリをつけてリズムを安定化させておくことで、心身の健康が保たれます。
【対処法②】作業環境を整える
リモートワークに適した作業環境を整えることも、ストレスを軽減するために必要です。一人部屋や長時間同じ姿勢をしていても負担のない椅子など、作業に最適な環境を整えましょう。家族の協力が得にくい場合、コワーキングスペースを利用することもおすすめです。
また、リモートワークでは、作業時間にメリハリがなくなりやすいといえます。「25分作業し、5分休憩する」というサイクルを繰り返すポモドーロテクニックのような時間管理法を活用するとよいでしょう。
【対処法③】コミュニケーションを増やす
職場内のコミュニケーションが少なくなる場合、積極的に話す機会を設けることがおすすめです。リモート会議の始めに、アイスブレイクや雑談の時間をスケジュールに組み込むと、コミュニケーションを取りやすいでしょう。
また、チャットツールで雑談専用のチャンネルを作成し、気軽に話題を投げかけられる環境を整えることも有効です。ほかにも、オンラインランチ会や飲み会を設定し、コミュニケーションを取れる機会を増やすとよいでしょう。
まとめ:作業環境の変化によるストレスに気づくことが大切です
リモートワークはさまざまな職場環境の変化をもたらします。漠然としたストレスを感じていても、それが環境の変化が原因だとは気づきにくいものです。ストレスが持続すると、やがて心身の不調となって表れるため、早めに自覚して適切な対処を取ることが大切です。
本記事でご紹介したストレスに当てはまる点がないか振り返り、いきいきと働ける環境を整えていきましょう。