貧血で仕事を休む手順|診断書取得から傷病手当金申請までの休職方法

この記事のポイント

  • 貧血で休職する際の手順を「診断書の準備」「会社への申し出」「傷病手当金の申請」の3ステップで解説します。
  • 医師に仕事の状況を的確に伝え、実態に合った診断書を書いてもらうためのポイントを説明します。
  • 休職中の経済的な不安を解消する「傷病手当金」の支給条件や申請の流れを、図解を交えて分かりやすく紹介します。

「もう体は限界なのに、休むための手続きを考えるだけでさらに気分が重くなる」

「休んでいる間、収入はどうなってしまうのだろう」

貧血による深刻な不調のなか、複雑そうな手続きや経済的な不安が治療への一歩をためらわせていませんか。

休職に至るまでの手続きは、ポイントを押さえて順序通りに進めれば決して難しいものではありません。

この記事は、貧血で休職を考えている読者の方が迷わず行動に移せる具体的な「TODOリスト」です。

診断書の準備から傷病手当金の申請まで、一つひとつのステップを丁寧に解説します。

手続きに関する悩みを解消し、心から安心してご自身の健康回復に専念しましょう。

▼ YouTubeチャンネルでは代表医師の産業医が本音と経験も踏まえて動画で解説!

目次

貧血で休職するための3ステップ

貧血で休職するための3ステップ

貧血の症状が辛くて仕事に集中できないときは、無理せず休職を検討することが大切です。

安心して休職手続きを進めるための3つのステップを、フローチャートでわかりやすく紹介します。

STEP1:診断書の準備

休職には医師による「労務不能」の証明が不可欠です。まずは内科や婦人科を受診し、仕事への支障を具体的に伝えて診断書を準備しましょう。

STEP2:会社への申し出

診断書をもとに、速やかに直属の上司へ休職を申し出ます。同時に就業規則で休職期間や社会保険料の扱いを確認し、円滑な業務の引継ぎを進めましょう。

STEP3:傷病手当金の申請

休職中の収入を支える「傷病手当金」の制度を活用します。申請書を準備し、支給条件を確認したうえで、加入する健康保険組合へ提出しましょう。

STEP1:貧血の診断書を準備する

休職手続きの全ての始まりは、医師による「労務不能」という医学的な証明です。

そのために不可欠な公的書類が「診断書」です。

まずは、この診断書を確実に手に入れることから始めましょう。

アクション ポイント
①受診する科の選択 まずは内科。女性特有の原因が考えられるなら婦人科も選択肢。
②医師への情報提供 仕事内容や業務への支障を具体的に伝える準備をする。
③診断書の依頼 発行には自費で2,000円〜5,000円程度の費用がかかることが一般的。

貧血の診断は何科?内科か婦人科か

貧血の症状で病院にかかる場合、まずは「内科」を受診するのが一般的です。

過多月経や子宮筋腫など、婦人科系の病気が貧血の原因となっているケースも少なくありません。自覚症状がある女性は、「婦人科」を先に受診することも有効な選択です。

参考:Puri K, Famuyide AO, Erwin PJ, Stewart EA, Laughlin-Tommaso SK. Submucosal fibroids and the relation to heavy menstrual bleeding and anemia. Am J Obstet Gynecol. 2014;210(1):38.e1-38.e387.

医師に伝えるべきこと|仕事内容と症状を整理する

診察の際、医師に休職の必要性を正しく判断してもらうためには、具体的な情報を提供することが極めて重要です。

受診前に、以下の点をメモに整理しておくことを強く推奨します。

項目 内容
具体的な症状 いつから、どんな症状(めまい、動悸、倦怠感など)があるか
仕事の具体的な内容 職場の職種、勤務形態、業務内容(例:1日4時間の運転など)
業務への支障 症状によって、仕事でどのような困難が生じているか

特に「業務への支障」を具体的に伝えることが、実態に合った診断書を書いてもらうための鍵となります。

診断書を依頼する際の注意点と費用

診断書の発行には、2,000円から5,000円程度の費用がかかります。

診断書発行の費用は健康保険の適用外(自費)である点に注意が必要です。

また、診断書は依頼してすぐに発行されるとは限りません。

会社への提出期限などを考慮し、余裕を持って医師に依頼するようにしましょう。

STEP2:会社へ休職を申し出る

診断書が準備できたら、次は会社へ休職を申し出ます。療養に専念し快く職場復帰を果たすためにも、誠実なコミュニケーションと適切な手順を踏むことが大切です。

STEP2の要約

アクション ポイント
①報告のタイミングと相手 診断書を受け取ったら速やかに、まずは「直属の上司」に相談する。
②就業規則の確認 休職期間の上限や、期間中の給与・社会保険料の取り扱いを確認する。
③業務の引き継ぎ 担当業務のリストや進捗状況を文書でまとめ、職場の負担を軽減する。

誰に、いつ、どう伝える?報告のタイミングと伝え方

休職の申し出は、まず直属の上司に対して行うのが基本的なマナーです。

医師から休養が必要と診断されたら、可能な限り速やかに報告しましょう。

【報告の例文】

「〇〇部長、ただ今少しよろしいでしょうか。

私事で恐縮ですが、この度、貧血の治療に専念するため、医師より休養が必要との診断を受けました。

つきましては、診断書に従い、〇月〇日より休職させていただきたく、ご相談に参りました。」

診断書という客観的な根拠を提示しながら、冷静かつ誠実に伝えることが円滑なコミュニケーションのポイントです。

就業規則の確認|休職期間と休職中の給与やお金の事情

休職を申し出る前、あるいは申し出と同時に、自社の「就業規則」を必ず確認しましょう。

休職中の経済的な見通しを立てるために、特に以下の項目は重要です。

休職中の確認事項

休職中の確認事項

確認事項 詳細
【重要】社会保険料の支払い ・休職中も社会保険料は発生し、支払い義務がある。
本人負担分をどのように会社へ支払うのかを必ず確認する。
(例:毎月振り込む、復職後に精算など)
休職期間の上限 ・法律上の定めはないため、会社ごとに休職できる期間の上限は異なる。
休職期間中の給与 ・休職期間中に給与や賞与が支払われるかどうかの規定を確認する。
会社独自の付加給付 ・傷病手当金とは別に、会社独自の制度があるかを確認する。
(例:傷病見舞金制度、給与の一部を補償する制度)

参考:働く人のメンタルヘルスポータルサイトこころの耳「第3回 社員がメンタルヘルス不調で休業することになったら」

不明な点は、人事・総務部の担当者に確認することをおすすめします。

引継ぎの準備と円満な休職に向けたポイント

今はご自身の体を治すことが最優先の仕事です。

しかし、スムーズな引継ぎは、あなたが安心して休むためだけでなく職場のメンバーへの配慮としても重要です。

担当業務のリストや、進行中案件の進捗状況などを文書で分かりやすくまとめておくことで、残るメンバーの負担を軽くすることができます。

STEP3:傷病手当金の申請手続きを進める

休職期間中の収入が途絶えることへの不安は、療養の大きな妨げとなります。その経済的な不安を支えてくれるのが、健康保険法に基づく公的な給付制度「傷病手当金」です。

参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)「健康保険傷病手当金支給申請書」

STEP3の要約

傷病手当金の申請ポイント

傷病手当金の申請ポイント

アクション ポイント
①支給条件の確認 業務外の療養」「労務不能」「待期期間の満了」「給与の支払いがない」の4点を満たすか確認。
②申請書の準備 本人、医師、会社がそれぞれ記入する箇所があるため、連携して進める。
③申請時の注意点 申請には2年の時効があること、退職後も条件を満たせば継続給付が可能なことを知っておく。

自分はもらえる?傷病手当金の4つの支給条件

健康保険法第99条に定められている傷病手当金は、以下の4つの条件をすべて満たした場合に支給の対象となります。

  1. 業務外の事由による病気やケガのための療養であること
  2. 仕事に就くことができない状態(労務不能)であること
  3. 連続する3日間(待期期間)を含み、4日以上仕事を休んでいること
  4. 休業した期間について、会社から給与の支払いがないこと

これらの条件を満たしているか、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

参考:全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき (傷病手当金)」

いくらもらえる?傷病手当金の支給額の目安 

「休んでいる間、具体的にいくら受け取れるのか」は最も気になる点でしょう。

支給される1日あたりの金額は、おおよそ「月給を30日で割った金額の3分の2」です。

より正確な計算式は、「支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30 × 3分の2」です。

申請用紙の入手から提出までの流れ

傷病手当金の申請は、申請用紙を入手し、本人、医師、企業がそれぞれ記入欄を埋めます。そして、健康保険組合へ提出するのが一連の流れです。

申請用紙は、ご自身が加入している健康保険組合や協会のウェブサイトからダウンロードできる場合が多いです。

不明な場合は、会社の担当部署に問い合わせてみましょう。

申請書の書き方|医師と会社に依頼する部分

申請書の中でも特に重要なのが、医師に証明してもらう「労務不能と認めた期間」と企業に証明してもらう「休業期間中の賃金支払い状況」です。

2つの内容に不備があると支給が遅れる原因となるため、注意しましょう。

医師や会社の担当者には、早めに依頼しておくことがスムーズな手続きのコツです。

申請でつまずかないための2つの注意点(申請期間、退職後の継続給付)

傷病手当金を申請する権利には2年の時効があります。

通常は1ヶ月単位で申請することが多いですが、忘れないように注意が必要です。

また、もし休職期間中に退職することになった場合でも、一定の条件を満たせば退職後も引き続き傷病手当金を受け取れる「継続給付」という制度があります。

参考:e-Gov 法令検索「健康保険法第104条、第193条」

休職期間中の過ごし方と復職に向けた準備

無事に休職に入ることができたら、ここからは治療と回復に専念する時間です。復職に向けて、身体の健康だけでなく、心の健康も大切にしながら過ごしましょう。

休職期間中の要点

復職に向けたケアと判断

復職に向けたケアと判断

アクション ポイント
①心のケア 身体の治療と同時に、ストレスや不安を管理するメンタルヘルスケアも重要。
②会社とのコミュニケーション 月に1回程度状況を報告することで、孤立感を防ぎスムーズな復職につながる。
③復職の判断 主治医と相談し、実際の業務遂行が可能かという視点で慎重に判断する

焦りは禁物!治療に専念するための心の持ち方

休職期間中は、仕事から離れることへの不安やストレスから心の健康を損なうことも少なくありません。

焦りは回復を遅らせる要因になりかねません。

身体のケアと同時にご自身のメンタルヘルスケアも重要な「仕事」だと理解しておきましょう。

会社との定期的な連絡と状況報告の必要性

月に1回程度、人事担当者や直属の上司にメールなどで体調の経過を簡単に報告するのが望ましいでしょう。

会社との定期的なコミュニケーションは、社会とのつながりを維持し孤立感を和らげる上でも効果的です。

復職に向けた会社の支援体制を確認する良い機会にもなります。

復職の判断基準と主治医との相談

復職の可否は、単に血液検査の数値が改善したかだけで判断されるわけではありません。

毎日の通勤に耐えられるか所定の労働時間業務をこなせるか、といった実際の就労場面を想定した観点から総合的に判断されます。

最終的には、主治医だけでなく、産業医とも面談し会社の意見も踏まえて判断されるのが一般的です。

貧血による仕事のドクターストップの基準

そもそも貧血という病気が仕事に及ぼす影響の全体像や企業側が取るべき法的な対応など、より広い視点からの情報を知りたい方は、こちらの記事も併せてお読みください。

▼あわせて読みたい

まとめ:手続きの不安を解消し、自分の健康回復を最優先に

貧血による休職は心身ともに辛い経験ですが必要な手続きを着実に進めることで、治療に専念できる環境は必ず整えられます。休職は、キャリアの終わりでも逃げでもありません。

未来の自分がより健康に生き生きと働くための、積極的で賢明な選択です。休職に必要な手続きや療養のポイントを理解した上で、安心してご自身の体を守るための第一歩を踏み出してみてください。

▼合わせて読みたい

  1. 貧血で休職する場合、診断書には何と書いてもらえば良いですか?

    診断書には、単に「貧血」という病名だけでなく、「上記傷病のため、〇ヶ月間の自宅療養および労務不能と認める」といった、仕事ができない状態であることを明確に示す文言を記載してもらうことが重要です。医師に、ご自身の仕事内容(立ち仕事、運転業務など)と、それによって生じている具体的な支障を詳しく伝えることで、実態に即した診断書を書いてもらいやすくなります。

  2. 傷病手当金の申請は、休職してからすぐに行うべきですか?

    傷病手当金の申請は、一般的に給与の締め日に合わせて1ヶ月単位で行います。休職開始後すぐに申請することも可能ですが、申請書には医師と会社の証明が必要なため、ある程度休んだ期間が確定してから手続きを進めるのが効率的です。申請には2年の時効があるため、焦る必要はありませんが、忘れないように定期的に申請することをおすすめします。

  3. 休職中の社会保険料はどうなりますか?また、メンタルケアで相談できる窓口はありますか?

    休職中で会社から給与が支払われていない期間も、健康保険や厚生年金などの社会保険料は発生し、支払いの義務があります。支払い方法は会社の規定によるため、休職前に必ず人事・総務担当者に確認しましょう。また、休職中の不安やストレスについては、会社の産業医やEAP(従業員支援プログラム)、お住まいの地域の保健所などで専門家に相談できます。一人で抱え込まず、利用できる支援を活用することが大切です。

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