社員が行うセルフケアとは?その重要性と5つの方法
多くの仕事では効率やパフォーマンスが求められます。しかし、効率性ばかりに注力していると企業の社員は心身ともに疲れてしまうことでしょう。そのような事態を防ぐためには、ストレスに適切に対処しながら、心身の健康を維持する必要があります。
社員の心身の健康を省みるには、社員が自身の体調を気遣い、いち早くセルフケアを行うことが大切です。
本記事では、社員が行えるセルフケアの重要性と具体的な方法について解説します。社員のセルフケアを推進するために、ぜひ参考にしてください。
企業における社員のセルフケアの必要性
メンタルヘルスケア対策においては、社員が自分自身のメンタルの不調に気づき、予防や対策を行うセルフケアが大切です。社員のメンタル不調が長く続くと、病気による休職・退職を余儀なくされる可能性が高くなります。
実際、令和2年に厚生労働省が行った「労働安全衛生調査」によると、過去1年間においてメンタルの不調で1カ月以上の休職または退職をした社員がいた企業の割合は、平均9.2%という結果が示されています。
また、同調査によると、ストレスを日常的に感じていると答えた社員の割合は約58%となっています。休職・退職の潜在的リスクのある社員は多いので、社員のセルフケア対策を企業自体も重要視することが不可欠です。
出典:厚生労働省 令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況(PDF)
参考:社労士が解説する人事と労務 「メンタルヘルス不調」での休職者は増加傾向に。知っておくべき「精神疾患(精神障害)」と「メンタルヘルス(こころの健康)」
出典:厚生労働省 平成29年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況
セルフケアの主要な方法を5例紹介
セルフケアには、日常生活の中でも気軽に行えるいくつかの種類があります。
社員が取り入れやすいセルフケアについて紹介します。
セルフケア法①:適度な運動をする
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動をすると、血のめぐりが良くなり、交感神経と副交感神経からなる自律神経のバランスを整えることができます。
自律神経のバランスが改善されることでイライラや憂うつ感が低下し、ストレスを発散することでリフレッシュできます。
ストレッチなど軽い運動はオフィスでも行えるので、企業内で気軽に取り入れられるように工夫してみてはいかがでしょうか。
セルフケア法②:しっかりと睡眠をとる
睡眠不足が続くと、日中の生活や仕事のパフォーマンスに影響が出たり、ストレスがたまる原因になります。そのため、しっかり睡眠をとることを心がけましょう。
睡眠中には、コルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールには抗ストレス作用があるため、コルチゾールの分泌がスムーズに行われていれば、日中に受けたストレスを緩和することが可能です。しかし、睡眠が足りないとコルチゾールの量が減少し、日中に受けたストレスを処理しづらい状態になります。睡眠不足に陥らないよう、気をつけることが大切です。
参考:NIH SLEEP DEPRIVATION AND DEFICIENCY「What Are Sleep Deprivation and Deficiency?」
セルフケア法③:笑うことを心がける
「笑う」ことは自律神経を整えたり、免疫力を向上させる働きがあるといわれています。笑うことで副交感神経が活発に働き、心身のリフレッシュや免疫機能を高めることができます。
そのため、おもしろいテレビを見たり、家族や友人と楽しい会話をしたりして笑顔になれる機会を大切にしてください。
笑うことができないときは、口角を上げて笑う表情をするだけでも副交感神経の働きや免疫機能に良い効果が生じるため、鏡を見ながら笑顔になってみるなど意識的に笑うようにしてみてください。
セルフケア法④:夢中になれる趣味を持つ
メンタルヘルスの不調を起こさないためには、仕事とプライベートを区別することも人によってはおすすめです。時には仕事のことを忘れて、何かに没頭できる時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
たとえば、おいしいものを食べたり、旅行に行ったりなどして気分転換することが大事です。
夢中になれる時間を過ごすことでストレスが発散でき、精神的に楽になる場合もあります。
セルフケア法⑤:悩みを相談する
嫌なことや不安なことは、胸の中に閉じ込めておくほどストレスになりやすいです。そのため、信頼できる次のような人たちに気軽に悩みを相談することもおすすめです。
- 家族
- 友人
- 同僚
- 上司
気軽に相談して自分の悩みを打ち明けることで、心がスッキリするだけでなく、周囲の人と一緒に悩みを解決するきっかけになることもあります。
上司もセルフケアの意味を理解することが大切
セルフケアは、部下が自分で行うものだと感じている上司もいるでしょう。しかし、セルフケアは、部下を束ねる上司も行うことが重要です。上司が自らセルフケアを行うことで、その重要性に気づき、部下のケア(ラインケア)に生かすことができます。
また、部下を管理監督する上司の立場にいる人ほどストレスはたまりがちかもしれません。
そのため、上司も日頃からセルフケアの習慣を身につけましょう。
まとめ:社外の専門スタッフへの相談も重要
企業の中でスムーズにセルフケアを実践する環境が整っていれば、社員も生き生きと過ごすことができるでしょう。
しかし、中にはセルフケアがうまくできない社員がいます。そのような場合には、本記事で紹介したセルフケアの方法を参考にしつつ、社内外の産業医や専門のスタッフに相談してみてください。