パニック障害で仕事に行けない?対処法と本人ができる工夫を解説
パニック障害とは、不安が突然やってきて「パニック発作」と呼ばれる動悸(どうき)やめまいなどの身体的症状が表れる精神障害の一つです。パニック障害について、こんな疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
「パニック障害で仕事に来れない人が職場にいるんだけど…」
「対処法や自分でできる工夫があれば知りたいな…」
「職場での合理的配慮って?」
パニック障害で仕事がつらくなったときには、治療と両立する、休職・退職する、転職するという対処法があります。仕事以外で本人ができる工夫もあります。働き続けるための支援もあるので、使える支援は有効に利用しましょう。
本記事では、パニック障害で仕事がつらくなったときの対処法、パニック障害の人が仕事で工夫していること、パニック障害の人が仕事を続けるための支援について解説します。
この記事を読むと、パニック障害の人が仕事をつらく感じたときにはどうしたらよいかを理解でき、仕事を続けるために何を実行したらよいかがわかるので、ぜひ最後までご覧ください。
パニック障害で仕事がつらくなったら?3つの対処法
パニック障害だと、自分自身で工夫しても、どうしてもつらいと感じる状況があるかもしれません。ここでは、パニック障害で仕事がつらくなったときの対処法を3つ解説します。
対処法1:治療しながら仕事も継続する
パニック障害は、精神科や心療内科で治療を受けて症状の改善を目指すことが大切です。現在、通院していない場合は、受診を検討してみてください。
しかし、仕事をしながらの治療に難しさを感じる場合もあるでしょう。職場で上司に相談したり、通院の配慮を申し出ることで仕事と治療の両立を目指すことも大切です。職場の上司や人事担当などに「パニック障害で治療中」であることを伝えます。
社員からパニック障害であるとの相談があった場合、有給休暇などを取得して通院するようにすすめ、主治医から勤務時間や業務内容についての指示があった場合は職場に連絡するように本人に伝えることで、社員も相談がしやすくなるでしょう。
なお、主治医の指示に全て従うことが難しい場合もあるでしょう。無理すると症状が悪化する可能性もあります。そのような場合は、勤務先の休職制度の活用を検討しましょう。
対処法2:休職する・退職する
仕事を続けながらの治療が難しい場合は、休職することも一つの方法です。一度仕事から離れることで落ち着いて治療に専念することが可能となります。
休職制度の有無や期間は勤務先によって違います。たいていの場合、休職には医師の診断書が必要です。休職を検討する場合は、事前に人事担当者に制度について確認し、主治医に相談してみてください。
休職中の経済的な支援には「傷病手当金」があります。傷病手当金とは、「それまでの平均給与の約3分の2」が支給される制度です。
休職しても症状が改善しない、もしくは転職を考える場合は退職することが必要となる場合もあります。退職後の経済問題が心配な場合は、自治体の障害福祉窓口へ相談してみましょう。さまざまな支援の中に活用できるものがあるかもしれません。
参考:全国健康保健協会「病気やケガで会社を休んだ時(傷病手当金)」
対処法3:転職する
パニック障害の人が勤務しやすい職場環境の例としては、以下のものがあげられます。
- 在宅勤務などもでき、働き方が柔軟である
- 自分のペースで業務が進められる
- マニュアルがしっかりしている
- 業務内容の変化が少ない
- 納期が厳しくない
業務をマイペースで進められると、心身の負担が少なくなる傾向にあります。
また、在宅勤務であれば、満員電車や人混みを避けられるので、周囲の音や動きなどに影響されずに、落ち着いて過ごすこともできるようになります。
さらに、業務マニュアルや決め事がしっかりしていれば、不安になることも少なくなるかもしれません。
パニック障害の人に役立つ仕事上での工夫を4つ紹介
パニック障害には、治療のほかに本人ができる工夫もあります。ここでは、4つの工夫について解説します。
工夫1:通勤方法・通勤経路・通勤時刻を検討する
自宅から近く通勤時間の短い職場は、通勤中の不安を回避できます。また、通勤ラッシュを避けられる職場も不安を感じる機会は少ないでしょう。
通勤中の不安を回避するために、ラッシュ時の通勤を避けたり、通勤方法を徒歩や自転車に変更することを検討することもおすすめです。
また、職場によってはフレックス制度やリモートワーク、サテライトオフィスなど自宅近くの職場で勤務することをを承認している場合もあります。
パニック発作のリスクを低くできる方法が知っているだけでも安心して働くことができる可能性があるので、一度確認してみてください。
工夫2:職場の人にパニック障害のことを相談する
職場の上司や人事担当者などにパニック障害のことを相談してみましょう。
障害の有無に関係なく働く機会を保障するために、事業主は申し出があった場合に、過重な負担を与えないように配慮しなければなりません。これを合理的配慮といいます。
合理的配慮の例としてあげられるのは、以下のとおりです。
- 時差出勤で通勤する
- すいている路線が使えるようにしてもらう
- 階段で上り下りできる階での勤務を許可してもらう など
合理的配慮を検討してもらえるかどうかについて、上司や人事担当者などに相談してもいいでしょう。
工夫3:自分に合った対処法を見つけておく
ストレスへの対処法を見つけておいて、パニック状態になるリスクを少しでも下げておきましょう。
対処法の例には以下のようなものがあります。
- 椅子に座ってできるストレッチをする
- 休憩時間に音楽を聴く
- 好きなアロマをかぐ
- 深呼吸を繰り返す
業務や職場によってできることは違います。また、効果にも個人差があるので、自分に合った方法を探しておくことが大切です。
工夫4:生活リズムを整える
生活リズムの乱れは、心身の不調の元です。心身を安定させることが、働き続けるために大切です。そのために、生活リズムを整えましょう。
生活リズムを整えるには、以下のようなことをします。
- アルコールやカフェインを控える
- 起床の際に太陽光を浴びる
- バランスの良い食事
- ぬるめの温度で入浴
- 適度な運動
- タバコを控える など
適切な睡眠時間は人によって違い、年齢でも変わってきます。自分に合う生活リズムをつくりましょう。
パニック障害の人が仕事を続けるための主な支援を3つ紹介
パニック障害をかかえる人には、さまざまなサポートがあります。これらを上手に活用しながら生活を整えましょう。
パニック障害の人が仕事を続けるための支援について、主な支援を3つ紹介します。
支援1. 就労上の支援
パニック障害の人のための就労支援は以下のとおりです。
- ハローワーク
- 就労移行支援事業所
- 障害者就業・生活支援センター
ハローワークにパニック障害やうつ病の人対象の専用窓口があります。就労支援事業所は、65歳未満の障害がある人を対象に、就職のための訓練や定着支援などをする支援機関です。障害者就業・生活支援センターでも、パニック障害の人が職場に定着できるよう支援します。
支援2. 経済的支援
経済的支援の一つに医療費のサポート「自立支援医療」があります。自立支援医療とは、精神科へ定期通院している場合、医療費を補助してもらえる制度です。
申請する場合は、居住地の窓口に、指定申請書類を提出してください。
支援3. 暮らしと生活に関する支援
精神障害者保健福祉手帳を持っていると、暮らしと生活で役立つ場面が多くあります。
たとえば、税金の優遇制度や交通機関の割引、公営住宅への優先入居などです。精神障害者保健福祉手帳がもらえるかどうかは市町村障害者福祉窓口へお尋ねください。
まとめ:パニック障害の人は仕事を続けるために対処法と工夫を知ろう!
パニック障害で仕事がつらくなったときには、治療と両立する、休職・退職する、転職するなどの対処法があります。
本人ができるさまざまな工夫もあるため、職場や上位者は、パニック障害の従業員が働きやすい環境をつくることが大切です。また、働き続けるための公的な支援もあります。
ぜひ本記事を参考にして対応方法を検討してみてください。