息苦しいのはストレス?原因と治し方について解説!
「胸が締め付けられるように息苦しい…」「急に動悸がする…」などの不調を感じたら、仕事のストレスが原因かもしれません。
息苦しさを初めとする身体症状は、比較的自覚しやすいストレス症状です。しかし、そのままにしておくと、憂うつ感や意欲の低下、不眠などのより重いストレス症状に発展していく可能性があります。息苦しさを心身のSOSサインと捉え、適切に対処していくことが重要です。
この記事では、ストレスによって起こる息苦しさの原因や治し方について解説します。働くうえで意識するポイントをまとめているので、息苦しい症状でお悩みの人は参考にして下さい。
仕事のストレスで息苦しくなる原因は?
ストレスから息苦しさを感じる場合、どのような原因があるのでしょうか。自律神経の乱れや強い不安・緊張、ストレスへの不適応などが主な原因だといえます。しかし、3つの要因以外から起こる場合や、複合的に生じる場合もあるため注意が必要です。
原因①:自律神経が乱れている(自律神経失調症)
自律神経が乱れると息苦しさを感じやすくなります。自律神経とは、人間の生命活動に必要な体温調節や消化など様々な機能を調整する役割を果たしています。例えば、部屋の温度が暑いと汗を分泌させて体温を維持するというように、バランスを保つ働きをすることが特徴です。
自律神経の乱れは呼吸にも影響します。自律神経のバランスを保つのは、活動時に活性化する交感神経と、休息時に活性化する副交感神経の2つの機能です。ストレスが慢性化すると交感神経が活動した状態が続き、呼吸が浅く早くなったり、喉が詰まった感覚が生じることもあります。
過度なストレスにより、交感神経が優位な状態が続き、呼吸や喉の感覚に影響を及ぼして息苦しさを生じさせるかもしれません。
原因②:強い不安や過度な緊張がある(過呼吸・不安障害)
交感神経の活性化に加えて、強い不安や過度な緊張があると、激しい息苦しさを感じることがあります。不安や緊張した状態では、何度も強く息を吸ったり吐いたりしやすくなり、過呼吸が起きやすいです。
過呼吸状態になると、体内の二酸化炭素濃度のバランスが崩れ、頭痛やめまい、けいれんなどの症状が起きることがあります。生じる症状に不安をおぼえて、呼吸が激しくなり、さらに息苦しくなるといった悪循環に陥りかねません。
また、不安障害やパニック障害など過度な不安が特徴の精神疾患でも、過呼吸が起きやすいといえます。交感神経によって引き起こされる息苦しさが、不安や緊張によってエスカレートしてしまうかもしれません。
原因③:ストレスに適応できない(適応障害)
適応障害とは、ストレスが原因となり様々な精神症状が起こる精神疾患です。適応障害でも、息苦しさや動悸を感じるケースが少なくありません。
適応障害は、現在の職場や業務内容への不適応により起きやすいといえます。例えば、以下のような場合はストレスが過度になりやすいといえるでしょう。
- 性格や特性が仕事に合っていない:内向的な性格なのに営業部門へ異動になった
- 周囲のサポートが得られない:上司や同僚は忙しそうで声をかけづらい
- 業務の裁量権がなく業務量も多い:上司からの修正が多く、残業しないと終わらない
ストレス以外で起こる息苦しさにも注意が必要
ストレス以外で生じる、身体疾患が原因の息苦しさにも注意することが大切です。狭心症や不整脈などの心疾患、気管支喘息や気管支炎などの呼吸器疾患によって息苦しくなる場合もあります。
息苦しさの原因がストレスだと決めつけず、内科で相談し検査を受けてみることがおすすめです。検査の結果、身体的に異常がないと分かればストレスが原因であることが疑われます。
仕事で実践したい7つの対処法
では、息苦しい症状に対して、働くうえではどのように対処すればよいのでしょうか。環境調整や専門家への相談、セルフケアの観点から7つの対処法を紹介します。
対処法①:業務量を調整する
業務量は仕事上のストレスと最もよくみられる要因です。厚生労働省の調査では、業務量に強い負担を感じている労働者の割合が最も多いことが分かっています。業務量に負担を感じている場合は、上司に調整を相談するか、効率化を図る方法を考えてみると良いといえます。
対処法②:適宜休息をとる
自律神経の乱れや過度な不安・緊張によって息苦しさを感じている人は、疲れやすく回復しにくいことがあります。息苦しさを感じたら、意識的に休憩を取ることが必要といえます。
5~10分程度の休憩を取ったり、半休を取得したりするなど、休息により心身のバランスを保つよう意識することがおすすめです。
対処法③:出勤時間を変更する
出勤がストレスの原因になっている場合は、出勤時間の変更を申し出ることも良いでしょう。例えば、通勤時間が長かったり、混雑する時間帯では不安が強く電車に乗りにくかったりするというような場合です。また、リモートワークの割合を増やし、出社を減らすことも考えられます。
対処法④:産業医に相談する
業務量の調整や休暇の取得、出勤時間の変更といった希望は、周囲の理解が得られないと難しいでしょう。産業医に相談し、就業上の配慮が必要かどうかを判断してもらうと、周囲の理解を得やすくなります。
必要があれば、現在の症状や必要な配慮について、産業医から上司に説明してもらうことも可能です。産業医は中立的な立場であり、相談した内容は個人情報保護の観点から従業員の同意なしに会社に共有されることはありません。そのため、安心して相談できるといえます。
対処法⑤:精神科・心療内科を受診する
息苦しさの程度が強く、仕事に支障をきたしている場合は、精神科や心療内科にて適切な治療が必要な場合があります。産業医は、あくまでも「業務変更や休職などの配慮が必要なレベルかどうか」を判断する役割を担い、実際の治療は医療機関の受診が必要です。
不安が強く息苦しくなっている場合は、薬を服用することで症状の緩和が期待できます。受診までのハードルは高いこともありますが、医師の診察を受けるだけでも安心につながります。
対処法⑥:リラックス方法を身につける
リラックス方法を身に付けることも、不安や緊張を和らげ、息苦しさの解消につながります。手軽にできるリラックス方法として、筋弛緩法があります。筋弛緩法は身体の各部位に力を入れて力を抜くということを繰り返すリラクゼーション法です。
10秒間力を入れて、その後15~20秒間脱力するということを繰り返します。手足や背中、肩、顔など各部位に繰り返し行います。どこにいても手軽にできるリラクゼーション法なので、不安や緊張をすぐに和らげたいときに最適です。
参考:厚生労働省「在外教育施設安全対策資料【心のケア編】第2章こころのケア各論」
対処法⑦:ストレス対処力を高める
ストレスへの反応として息苦しさが生じている場合には、対処力を高めてストレス自体を軽減することも有効です。ストレスへの対処行動をコーピングと呼びますが、自分に適したコーピングを選んで実行していくことが大切だといえます。
具体的には、ストレスの原因を取り除いたり、視点を切り替えたりすることにより、ストレスに対処することを目指します。例えば、『ミスをした』という出来事には「好きな物を食べる」「失敗から学べたと考える」などの対処が考えられるでしょう。
有効なコーピングのレパートリーが多ければ多いほど効果を発揮します。日頃から、『自分はどのようにストレスに対処しているか?』を見直して、レパートリーを増やせると良いといえます。
まとめ:仕事のストレスで息苦しいときは無理せず休みましょう
呼吸は人間の活動にとって不可欠な機能であり、ストレスなどを感じた場合には比較的変化が現れやすいです。そのため、自分がストレスを感じていることを自覚しやすいといえます。
息苦しくて辛い場合には、身体からのSOSだと考え、無理せず休息を取ることが重要です。
ストレスの解消法は本記事で紹介したようにさまざまです。自分に合う対処法を試すようにしつつ、自身で対処できない時は悩まずに相談するような環境作りを心がけてください。
また、自社の従業員に対してストレス対処法の重要性を伝えることで、従業員自らが自分のストレスにうまく対応することにつながるでしょう。