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1on1ミーティングでストレス軽減できる?対話の姿勢や質問を解説

1on1ミーティングでストレス軽減できる?対話の姿勢や質問を解説

1on1ミーティングは、昨今企業で広がりを見せている新しい人材管理手法です。しかし、具体的な活用方法がわからず困っている管理職も少なくないのではないでしょうか。

適切なテーマ設定を行い、コンスタントに面談を重ねると、1on1ミーティングはチームにとって大きなメリットをもたらします。
本記事では、1on1ミーティングでの取り組み内容がわからない管理職の人たちに向けて、対話の姿勢や具体的な質問を紹介します。

1on1ミーティングとは?

1on1ミーティングとは?

近年、国内の企業で取り入れられている1on1ミーティングですが、どのような面談形式なのでしょうか。

【特徴】評価面談とは異なり相互性を重視する

1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的にミーティングを行うことで、部下の育成を目指す人材管理方法の1つです。連絡事項を伝えるミーティングや、人事考課の際に行われる評価面談とは異なり、上司と部下の相互性を重視します。

1on1ミーティングは、短時間のミーティングを頻繁に行うことが有効だと考えられています。2週間から月に1回の頻度で、1回あたり15~30分間行う形式が一般的です。

【目的】従業員の離職防止や思考力の向上が求められている

1on1ミーティングが求められている理由として、昨今の人材減少傾向が挙げられます。高齢化に伴い、2020年から2060年までに生産年齢人口が約35%も減少するとの試算があります。

そのため、企業としては従業員の意見を頻繁にくみ取り、各社員の悩みやキャリアに寄り添うことで離職防止の対策として活用することが期待できます。

また、現代では情報技術の急速な発展により生じる変化に適応する力も求められています。1on1ミーティングを導入することで、指示を受けて動くのではなく、従業員が自ら考えて自律して動ける柔軟な思考力を養うことも可能です。

参考:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」(PDF)

【効果】安心感とモチベーションを高めてストレスを軽減する

1on1ミーティングを実施することで、従業員の安心感や働くモチベーションの向上につながります。目標や仕事の意味、上司の期待といった曖昧な事項は、日々の業務で共有される機会は多くありません。

1on1ミーティングによりコミュニケーションが活性化すると、目標を共有しやすくなり、モチベーションを維持しやすいでしょう。また、ちょっとした悩みや相談を話す機会が得られ、安心感にもつながるといえます。

【事例】国内の企業でも2010年代から導入されている

1on1ミーティングは、アメリカのシリコンバレーで発展した方法ですが、国内企業でも導入され、有効な人材管理方法として注目されています。国内ではヤフーやクックパッド、サイボウズなどの企業が取り入れ、成果を上げています。

事例①ヤフー株式会社

国内インターネット会社のヤフー株式会社では、2012年に1on1ミーティングを導入しました。週1回30分の面談を通じて、上司と部下の相互理解を深め、部下の能力を引き出すことを目的としています。

導入後、上司と部下のコミュニケーションが活性化し、チーム単位でビジョンを共有できるようになりました。また、日常の打ち合わせでは話しにくい悩みも相談でき、業務での混乱やトラブルの減少にもつながり、業務効率が向上しています。

事例②クックパッド株式会社

クックパッド株式会社では、2015年から1on1ミーティングを取り入れ、人材育成手法として効果を発揮しました。週1回15分の面談を繰り返します。

クックパッドは、チームの規模が2~3名と少なく、個人プレーは得意でもチームプレーが苦手という特徴がありました。導入後、メンバーが抱えている課題を早期に発見し解決する方法として効果を上げています。

事例③サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社では、離職率の改善を目的に1on1ミーティングが導入されました。社内では「ザツダン」という名称で行われています。

「ザツダン」はコミュ二ケーションを増やして相互理解を深めることが主な目的です。部下の能力開発を目的とする一般的な1on1ミーティングとは少し異なります。上司もコーチングやカウンセリングなどの専門的なスキルがなくても取り組みやすいといえるでしょう。

部下の話を聞くための3つのポイントとは?

部下の話を聞くための3つのポイントとは?

部下と1on1ミーティングを行うとき、どのようなポイントに気を付けて話を聞くと効果的なのでしょうか。3つのポイントから解説します。

ポイント①:否定せず傾聴する

部下との信頼関係を構築するためには、部下の意見を否定せず傾聴する姿勢が大切です。とくに、上下関係においては自由に話せる関係性でないことが珍しくありません。否定せずにありのまま受け止めることで、部下は「何でも話して大丈夫だ」と安心感を持てるようになります。

話を傾聴するときには、部下が話す言葉の背景にある感情に焦点を当てるとよいでしょう。「頑張ったんだね」と背景にある感情をイメージして伝え返すと、安心して話せるようになります。

ポイント②:解決方法をすぐにアドバイスしない

部下が話す悩みや相談事をすぐに解決しようとしないことも重要なポイントです。悩みの背景にはキャリアプランや働き方など、深い悩みを抱えている場合があるためです。

たとえば、「○○のプロジェクトがうまくいかない」と話す部下にはどのような心情が背景にあるのか考えてみましょう。背景には「仕事に向いているかどうかの不安」「同期の成長についていこうとする焦り」などいろいろな感情が渦巻いているかもしれません。

こういった心情をイメージし、「こういうこと?」と言い換えると「自分の気持ちをわかってくれる」と感じて信頼が高まるでしょう。

ポイント③:事実をありのまま褒める

仕事ぶりを褒めることは、部下のモチベーション向上につながる有効な手段です。前回のミーティングから次のミーティングまでにあった部下の良いポイントを伝えると効果的です。

部下に対する褒め方には以下の2つがあります。

  • 成績や成果などの評価基準に沿って褒める:「顧客対応が丁寧だね」
  • 事実をありのまま褒める:「大変だったけど最後まで取り組めたね」

評価基準に沿って褒めることは、褒める側の主観が入りやすく、相手に受け入れられない場合があります。「顧客対応が丁寧」と褒められても、部下がうまく対応できていないと感じていれば受け入れられないかもしれません。

「プロジェクトは大変だったけど、最後まで取り組めたね」など、事実をありのまま褒めると受け入れられやすいでしょう。

1on1ミーティングで取り入れたい3つのテーマ

1on1ミーティングで取り入れたい3つのテーマ

1on1ミーティングは、部下との信頼関係構築とモチベーション向上のために有効です。しかし、効果を十分に発揮するためには、テーマ選びが重要だといえます。

具体的にはどのようなテーマを選択するとよいか、以降でくわしく説明します。

テーマ①:価値観や考え方の理解

価値観や考え方をお互いに理解し合うことは、信頼関係の基礎となります。趣味や休日の過ごし方、好きなものなどの情報を集めていき、どのような人柄なのかを知っていきます。アイスブレイク的な雑談から価値観を尋ねる質問へと深めていくと進めやすいでしょう。

【質問例】

  • 休みの日は何をして過ごしているの?
  • 大切にしている趣味は?
  • 何をしているときが楽しい?

テーマ②:業務や組織の改善

お互いの価値観を知り、安心して話せる関係が構築できれば、業務や組織に関するテーマを扱いましょう。働く上で困っていることや問題意識を引き出し、業務や組織の改善点を共有します。あくまでも、「部下に教えてほしい」という態度で尋ねることが重要です。

【質問例】

  • 今の業務で困っていることはある?
  • 仕事でうまくいかないと思う瞬間は?
  • 私にこういうふうにしてほしいなどの要望はある?
  • もう少し任せてほしいなと思う業務はある?
  • 今の部署やチームのよいところと悪いところはなに?
  • チームをよくするために何ができる?

テーマ③:今後のキャリアプラン

成長のためには、振り返りの時間を持つことが不可欠です。部下が自分自身の特性や目標を振り返り、今後のキャリアプランを明確に持てるよう、上司がサポートする関わりが必要です。

【質問例】

  • あなたの強みと弱みはなに?
  • 今後強みを生かしてどのような仕事をしたいか?
  • 今努力していることはなに?
  • 1カ月で力を入れた業務は?どんなふうに工夫した?

まとめ:気持ちに寄り添った対話でメンタルヘルス不調を防止しましょう

まとめ:気持ちに寄り添った対話でメンタルヘルス不調を防止しましょう

信頼関係構築やモチベーションアップが期待できる1on1ミーティングですが、ただ面談するだけでは十分な効果を得られません。部下が安心感を持って面談に臨み、主体的に目標の設定ができているかがとても重要です。

そのためには、相手の気持ちに寄り添う姿勢が欠かせません。部下の気持ちを尊重する態度が伝われば、自ずと主体的に取り組めるようになるでしょう。そして、職場の心理的安全性を高めることにもつながり、メンタルヘルスの観点からもメリットが大きいといえます。

チームメンバーが考えを尊重し合い、主体的に取り組めるようになれば、企業としてのパフォーマンスが向上することでしょう。

リモートワークにおいては、1on1は対応方法の1つとして重要ですが、その他の方法については、下記の記事もご確認ください。

関連記事:なぜかリモートワークがつらい…ストレスの原因と対処法を解説(近日公開予定)

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