無自覚のストレス症状とは?社員のために企業が知っておきたい特徴と対策
過度なストレスによってさまざまな心身の不調が生じるといわれています。とくに、企業においては仕事のスケジュール調整や課題の達成ノルマをはじめ、人間関係の良し悪しもストレスの一つとなる場合があるでしょう。
また、ストレス症状は必ずしも社員にとって自覚があるものとはいえず、無自覚なケースも存在するため、注意が必要です。
本記事では、ストレスが与える数々の症状の特徴と企業が配慮したい社員のストレス対策について解説します。企業管理者や人事部の方は、ぜひ参考にしてみてください。
ストレスとはどういうもの?
ストレスとは、外部から何かしらの刺激を受けた影響で、心身に生じる緊張状態のことを言います。たとえば、残業が続いたために激しい疲労が生じたり、上司に叱責されたことが原因で落ち込んでしまうようなケースが挙げられます。
また、ストレスはマイナスな出来事だけではなく、プラスの出来事(昇進やプロジェクトの成功など)でも個人への刺激になることに変わりはないため、心身にさまざまな変化が起こる場合も少なくありません。
さらに、ストレスは個人が自覚していることも多いですが、無自覚のケースもあります。とくに、プラスの出来事によるストレスは自覚がない場合もめずらしくないため、企業側も気を付ける必要があるでしょう。
参照:国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「こころの情報サイト」
ストレス症状の種類について
ストレスは、無自覚のケースも多いといわれています。そのため、普段からストレスを感じたときに生じやすい症状を、種類別に意識しておくことが重要です。
ストレスの種類①身体的症状
ストレスを感じると、次のような身体的症状が現れるケースがあります。
- 疲労感や倦怠(けんたい)感、不眠や食欲不振
- 頭痛や肩こり、めまいや動悸(どうき)、息苦しさ
- 腹痛や下痢、便秘など
上記の症状は風邪をひいたときや生活習慣の乱れなどでも生じやすいため、ストレスが影響していることに気付きにくい場合もあります。しかし、このような身体的症状が出現した際は、注意したほうがいいでしょう。
参照:厚生労働省「No.5 身体症状に着目したストレス反応」
参照:公益社団法人日本看護協会「個人での対応(セルフケア)」
ストレスの種類②精神的症状
身体と心は、つながっているとされています。そのため、身体症状とともに精神的な症状がストレス状況下では起こりやすいのです。
また、ストレスがかかると脳の神経伝達物質の量が不足し、スムーズな情報伝達ができなくなるといわれています。その結果、うつ病などの精神疾患が生じる可能性も高くなります。
感情的なもの
精神的症状には、次のような感情に関わる症状が生じます。
- 不安感や憂うつ感、イライラ感や緊張感
- やる気がでない、悲しい気持ちになるなど
行動的なもの
精神的症状は、上記以外の行動にともなう症状が表れるケースもあります。
- 自信がなくなり、人と触れ合いたくなくなる
- 身だしなみを気にしなくなる
- 飲酒や喫煙が増える、やけ食いをしたくなるなど
企業ができる社員へのストレス対策とは
社員がストレスを抱えていれば、身体的症状や精神的症状が生じやすくなります。しかし、ストレスを放置したままだと、心身の不調の影響で担当している仕事をこなすのが困難になったり、出社することさえ不可能になったりする場合もあるでしょう。
社員が深刻な状態に陥るのを避けるため、企業は前向きに社員のストレス緩和のための対策を進める姿勢が求められます。
①ストレスチェックを実施する
ストレスチェックを実施すれば、社員個人のストレスを数値化でき、高ストレス者の存在も把握できます。社員の抱えるストレスは無自覚だったり、外からは見えなかったりするケースも多いため、企業は社員のストレスを可視化することが重要になります。
ストレスチェックによって可視化できれば、社員のストレスを早期発見でき、速やかに解決の道を提供することも可能です。
ストレスチェックは、従業員を常に50人以上雇用している企業に1年に1回以上の実施が義務化されています。しかし、50人未満の企業においても可能な限り実施することで、社員のメンタルヘルスを守ることが期待できるでしょう。
SUGARでも、ストレスチェックの実施に関するアドバイスなどを行っています。ストレスチェックの導入を検討している企業の管理者や人事の方がいましたら、ご相談ください。
参照:厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」(PDF)
②相談窓口を設置したり、医療機関などと連携する
ストレスチェックで高ストレス者に該当しない社員でも、さまざまなストレスで心身の不調に陥るケースは少なくありません。そのため、気になることを打ち明けたり、メンタルヘルスに関して尋ねたりするために、社内外に相談窓口を設置することもおすすめです。
相談窓口があると、社員自身も気軽に問題点や疑問点を解決しやすくなるでしょう。
しかし、厚生労働省の調査によると、従業員が50人以上かつメンタルヘルス対策を行っており、社内での相談窓口を整えている企業は50%にも満たないという結果が示されています。
また、相談窓口があったとしても、ストレスが原因となり、深刻な病気が疑われる社員が出る可能性もあります。医療的な治療も適切に進めるためには、企業が医療機関などと連携し、社員と専門機関をつなぐ試みが必要になるといえます。
参照:平成30年 労働安全衛生調査(実態調査)「事業所検査 」(PDF)
まとめ:企業は社員のストレスを熟知することが大切
企業は社員一人ひとりの働きがあってこそ、成り立っています。つまり、社員が高いストレスを抱えることなく、健康な状態で業務にあたれるよう、企業は社員の心身に気を配る意識が必要になるのです。その心がけがいずれ、企業の発展にもつながるでしょう。
SUGARでは産業医などの専門職者が在籍し、メンタルヘルスに関する相談サポートを行っています。また、業務改革や組織体制の構築支援により、貴社組織に有効な体制の構築をサポートさせていただきます。