貧血の辛さの伝え方|つらい立ち仕事や運転業務で就業配慮を得るコツ

様々な職場で貧血の辛さに配慮を得るイメージ

この記事のポイント

  • 貧血の辛さが「見た目では分からない」「自己管理不足と誤解される」など、職場で理解されにくい理由を解説します。
  • 「立ち仕事」「運転業務」「デスクワーク」の職種別に、具体的な相談例文と依頼できる配慮の例を紹介します。
  • 単に要求するのではなく客観的な事実(診断書)と代替案をセットで伝え、円滑なコミュニケーションを図るコツを説明します。

「怠けているだけ」
「自己管理ができていない」

そんな心ない視線や言葉によって、貧血による身体の不調以上につらい思いをしていませんか。

めまいや倦怠感など、貧血のつらさは経験した人でなければ理解してもらえないことがあります。

とくに、立ち仕事や運転業務など身体への負担がかかる職場で働く人にとっては、周囲に理解されにくいことがストレスになりがちでしょう。

しかし、貧血による苦しさをひとりで抱え続ける必要はありません。伝え方一つで、職場で必要な配慮を得ることが可能です。

この記事では、見えないつらさを上司や同僚に正しく伝え、安心して働くための「コミュニケーション方法」を紹介します。

貧血による体調不良で苦しんでいる人はぜひ参考にしてみてください。

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なぜ貧血の辛さは理解されにくいのか?

職場で貧血の辛さを分かってもらえないのは、貧血の症状が「わかりにくい」ことが影響しています。

周囲から理解されにくい、いくつかのやっかいな理由として次の3つがあります。

つらさが理解されにくい3つの理由

周囲に理解されにくい理由

周囲に理解されにくい理由

理由 内容
①見た目で分からない 倦怠感や集中力低下など、内部の症状は外見には現われにくい
②「自己管理不足」という誤解 「食生活が原因」など個人的な問題だと誤解されがち。
③本人側の心理的障壁 「迷惑をかけたくない」という責任感から我慢してしまう。

見た目では分からない症状の特性

骨折や高熱と異なり、貧血には外見から明らかな異常が見えにくいです。

体の中を駆け巡るような倦怠感や頭にもやがかかったような集中力の低下など、辛さまではなかなか伝わりません。

「外見から明らかな異常が見えないこと」が、誤解を生む原因の一つです。

「自己管理不足」という誤解

貧血の最も多い原因が鉄分不足であることから、「食生活が乱れているからだ」といった自己管理不足として誤解されることがあります。

貧血という病気に対する知識不足からくる、重大なハラスメントにもつながりかねない誤解です。

「休むほどではない」と思い込んでしまう本人側の心理

「このくらいで弱音を吐いてはいけない」「職場に迷惑をかけたくない」と、本人自身が思い込んでしまうケースも非常に多く見られます。

責任感の強さが、かえってご自身の心と体の健康を追い詰めることになりかねません。

適切なケアのためには、まず自分自身の辛さを認めることが第一歩です。

【職種別】業務への影響と具体的な相談・依頼の例文

職場に必要な配慮を効果的に求めるには、ご自身の職種に合わせて「どのような業務リスクがあり、どのような手助けがあれば業務を続けられるのか」を具体的に伝えることが重要です。

職種別コミュニケーションのポイント

職種別に伝えるべきこと

職種別に伝えるべきこと

職種 伝えるべきこと
立ち仕事・接客業・製造業 転倒や作業ミスのリスクと、短時間の休憩の必要性。
運転業務 事故のリスクという企業全体の課題と、一時的な業務変更の提案。
デスクワーク 生産性低下の事実と、業務の優先順位変更などの具体的な対策案。

ケース①:立ち仕事・接客業・製造業の場合

  • 具体的なリスク:ふらつきによる転倒、集中力低下によるミス
  • 相談の例文:「実は、医師から鉄欠乏性貧血と診断されております。長時間立っていると強いめまいがして業務に集中できないことがあります。もし可能でしたら、1時間に5分程度椅子に座って休憩させていただくなど、ご相談できないでしょうか。」

ケース②:運転業務(ドライバー、営業など)の場合

  • 具体的なリスク:意識レベル低下による事故のリスク
  • 相談の例文:「先日、精密検査で重度の貧血と診断されました。主治医からは『事故防止の観点から、体調が改善するまで運転は控えるように』と強い指導を受けました。つきましては、会社の安全管理の観点からも、治療に専念する期間は運転を伴わない内勤業務への一時的な配置転換をご検討いただくことは可能でしょうか。」

ケース③:高い集中力を要するデスクワークの場合

  • 具体的なリスク:思考力低下による生産性の悪化、ミスの増加
  • 相談の例文:「貧血の治療中なのですが、最近どうも午後に集中力が続かず、ケアレスミスが増えてしまっています。重要な判断が必要な業務は午前中に担当させていただくなど、業務の優先順位についてご相談させていただけないでしょうか。」

上司や同僚に理解を深めてもらうための2つのポイント

自分のつらさが単なる甘えではないことをわかってもらうために、感情のままに伝えるだけでなく、「戦略的な準備」が必要です。

理解を深めるための2大要素

協力的な姿勢を示すポイント

協力的な姿勢を示すポイント

要素 効果
①客観的な事実の提示 診断書や症状の記録により相談の信憑性が高まる。
②代替案の提示 「できないこと」「できること」をセットで伝え、協力的な姿勢を示す。

客観的な事実を伝える(診断書、具体的な症状のメモ)

ただ口頭で「辛いんです」と訴えるよりも、「医師の診断書」を提示する方が状況の深刻さと信憑性が格段に高まります。

また、症状が出た日時や状況を記録した簡単なメモも、仕事上の支障をリアルに伝えるために役立ちます。

貧血の診断書や症状のメモについては、以下のリンクでサンプルも公開しています。主治医に診断書の発行を依頼する際やメモを作成する時などにぜひご活用ください。

SUGARサンプル「鉄欠乏性貧血の診断書サンプル」

SUGARサンプル「貧血の具体的な症状のメモのサンプル」

 「できないこと」と「できること」をセットで伝える

一方的に「〇〇はできません」と要求するだけでなく、「その代わり、〇〇ならできます」という代替案をセットで提示することが大切です。

「工夫して働き続けたい」という前向きな意欲を持っていることが伝わり、働き方について検討してもらいやすくなります。

会社の制度を最大限に活用しよう

直属の上司に相談しにくかったり相談しても理解が得られなかったりする場合もあります。一人で抱え込まず、会社が公式に用意している専門家のサポートを積極的に利用しましょう。

活用できる社内外の相談窓口

相談先とその役割

相談先とその役割

相談先 役割
産業医・保健師 専門的・中立的な立場から企業に働きかけてくれる「橋渡し役」。
健康相談窓口・EAP 匿名での利用も可能な外部機関。メンタルケアにも対応。
貧血と仕事のガイド(弊社サイトなど) そもそも「貧血と仕事」の全体像を経営層に理解してもらうための資料。

産業医や保健師との面談を活用する

産業医や保健師は従業員の健康と安全を守る専門家であり、守秘義務があります。

厚生労働省が推進する労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)では、労働者が相談したことを理由に企業が不利益な取扱いをすることを禁じています。

安心して相談できる味方です。

参考:e-Gov法令検索「刑法」

参考:e-Gov 法令検索「保健師助産師看護師法」

参考:e-GoV法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」

健康相談窓口やEAP(従業員支援プログラム)の利用

企業によっては、匿名での利用も可能な「健康相談窓口」や「EAP(従業員支援プログラム)」を設けている場合があります。

貧血の辛さやそれに伴うストレスなど、幅広い悩みを専門家に相談してみるのも一つの有効な手段です。

貧血による仕事のドクターストップの基準や会社の安全配慮について

個人の伝え方の工夫だけでなく、そもそも企業としてどのような安全配慮義務があり、どのような支援体制を整えるべきかに関心のある方は、次の記事でより詳しく紹介しています。

産業医などの医師がどのような判断を行い、会社がどのように対応すべきかについて知りたい人は、ぜひ合わせてご覧ください。

▼合わせて読みたい

社員の貧血と就業制限|安全配慮義務違反を防ぐ実践的対応マニュアル(2025年8月22日公開)

まとめ:戦略的なコミュニケーションで、安心して働ける職場を創る

貧血の辛さを伝え配慮を求めることは、決してわがままではありません。

自分自身の心と体の健康を守り、安全に仕事を長く続けていくために不可欠な労働者の正当な権利です。

客観的な事実という「武器」と建設的な提案という「誠意」を持って、勇気を出して相談してみてください。

▼合わせて読みたい

  1. 貧血の辛さを伝えたら、不当な扱い(ハラスメント)を受けないか不安です。

    その不安はもっともですが、法律があなたを守ります。労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)により、企業は労働者からの相談を理由に解雇や降格といった不利益な取扱いをすることが禁じられています。安心して、まずは信頼できる上司や産業医に相談してください。

  2. 上司に相談しても「気合が足りない」と言われ、取り合ってもらえません。どうすれば良いですか?

    直属の上司(ラインケア)で解決しない場合、次のステップに進みましょう。その上の上司や、人事・労務部といった会社の公式な部署、あるいは産業医やEAPなどの専門家へ相談をエスカレーション(上に報告)します。その際も、診断書や症状のメモといった客観的な事実を提示することが有効です。

  3. 配慮を求めた結果、キャリアに傷がついたり、昇進に響いたりしないか心配です。

    健康上の理由による一時的な業務配慮が、直接的に不利益な評価につながることは、人事評価の公平性の観点から問題となる可能性があります。重要なのは、「できないこと」だけでなく「体調が改善すれば、このように貢献したい」という前向きな意欲をセットで伝えることです。これにより、仕事に対する積極的な姿勢を示し、キャリアへの長期的な影響を最小限に抑えることにつながります。

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