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慢性腎臓病の症状や治療方法とは?働きやすい職場づくりについて解説

慢性腎臓病の症状や治療方法とは?働きやすい職場づくりについて解説

慢性腎臓病をもちながら仕事をするためには、症状や治療に配慮された職場環境が必要です。しかし、企業は慢性腎臓病について理解していないと、どのようなサポートをすればよいか悩むでしょう。

本記事では、慢性腎臓病を持つ社員を雇用する企業に向け、慢性腎臓病の原因や症状、治療法、働く上でのストレスや働きやすい職場づくりについて解説します。

勤務時間の配慮や医療体制の整え方など働きやすい職場づくりについて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

慢性腎臓病とは

慢性腎臓病とは

腎臓は、からだの中の水分量を調整したり老廃物を除去したりするという大切な働きをします。しかし、何らかの原因で機能が低下してしまうことを腎臓病といいます。

「慢性腎臓病」とは3カ月以上続いて腎臓の機能が低下している状態のことです。一方、「急性腎障害」とは、数時間から数日と短い期間で急激に腎臓の機能が低下している状態です。急性腎障害の場合は集中的に治療する必要があるため、仕事を休み治療に専念します。

慢性腎臓病の場合は通院によって治療するため、社員の状況と主治医や産業医の意見を参考に両立支援などを行うことが望ましいです。

以降では、慢性腎臓病を持つ社員について理解を深めるために、慢性腎臓病の原因や症状、治療方法について解説します。

慢性腎臓病の原因

慢性腎臓病の原因は、先天的なものや加齢、生活習慣のみだれ、病気、事故などさまざまです。なかでも高血圧と糖尿病が慢性腎臓病の主要な原因です。

腎臓への血流が低下したり、腎臓が炎症を起こしたりすることで腎臓の機能が低下します。そして、長い年月をかけて徐々に機能が低下していき、進行がすすむと完全に機能が失われます。

慢性腎臓病の症状 

腎臓の機能が悪いと、からだに水分が余分にたまり、老廃物が蓄積されるため、以下のような症状が表れます。

  • 息切れがする
  • 皮膚がかゆい
  • 全身のむくみ
  • 尿が出ない
  • 疲れやすい
  • 食欲低下
  • だるさ
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 貧血

慢性腎臓病の初期の段階では、ほとんど症状に気づくことがありません。病気が進行することで症状が表れやすくなります。

慢性腎臓病の治療方法

慢性腎臓病の治療には以下の方法があります。

  • 食事療法
  • 薬物療法
  • 透析療法
  • 血漿交換法

食事療法ではカロリーを計算しながら、タンパク質や塩分、カリウムなどの制限や水分量をコントロールする必要があります。

また、腎臓の機能が低下もしくは失われている場合は、透析療法や血漿(しょう)交換法をします。透析治療や血漿交換法は医療機器を用いて血液内の水分量の調整や老廃物を排出する治療法です。

透析療法には血液を機械に通してろ過する「血液透析」とお腹に埋め込んでいるチューブを使って血液をきれいにする「腹膜透析」があります。

血液透析週に2〜3回通院、1日に4〜5時間の治療時間が必要シャント(透析のためにつくられた太い血管)がある
腹膜透析1日に4回ほど行うお腹に埋め込まれたチューブから透析液を出し入れする

参考:一般社団法人 日本腎臓学会「腎臓病ガイド」

慢性腎臓病の人が抱える仕事のストレスとは?

慢性腎臓病の人が抱える仕事のストレスとは?

慢性腎臓病の人は働く上で以下のようなストレスを抱えています。

  • 疲れやすい
  • 症状が知られにくい
  • 重い物を持てないことがある
  • 勤務時間の調整が難しい

そのため、働きたいと思っていても仕事に就けないと悩んでいる慢性腎臓病の人は少なくありません。慢性腎臓病の社員の働き方を考える上で、どのような悩みを持っているかを知ることは大切です。

次に、慢性腎臓病の人が抱えている仕事のストレスについて詳しく解説します。

疲れやすい 

慢性腎臓病の人は健康な人に比べ、疲れやすい傾向にあります。

腎臓の機能低下で、からだの中の老廃物が排出されず、たまっているためです。また、運動が積極的にできないため体力や筋力が低下していることも原因です。

さらに、透析療法をしている場合は透析の前後にめまいや倦怠感が起こりやすいためさらに疲れやすいです。

症状が知られにくい

慢性腎臓病の人はだるいなどの自覚症状はありますが、周りの人からは体調の変化が見た目からは気づきにくいです。

そして、症状が頻回に出るときは、迷惑をかけたくないということで相談しにくいという悩みも持つ人もいます。

重い物を持てないことがある

血液透析のためのシャントがある人の場合には重いものを持たないなど、透析に支障が生じないようにシャントの腕を保護する必要があります。

しかし、シャントの取り扱いについて知らない人がほとんどのため、血液透析している人が重量物の取扱い制限を必要とすることは理解しにくいでしょう。

そのため、だるさなどの症状が知られにくいことと同様に、周囲に迷惑をかけたくないという思いから無理して重い物を取り扱っている場合があります。

勤務時間の調整が難しい 

勤務時間の調整が難しいことも、慢性腎臓病の人にとって働く上でのストレスです。

血液透析をしている人は週2〜3回の通院に4時間ほどの治療、腹膜透析をしている人は1日に4回ほどの透析液の取り替えが必要です。

そのため、治療により時間が制限されるため長時間の勤務や出張することは困難です。さらに疲れやすいため、こまめな休憩も必要なことが多いです。

参考:福岡看護大学研究紀要『看護と口腔医療 』「血液透析と就労の両立における諸問題に関する文献検討」

慢性腎臓病の人が働きやすい職場とは?

慢性腎臓病の人が働きやすい職場とは?

慢性腎臓病の人が働き続けるためには、周りの人の配慮や企業による支援が必要です。下記のような働きやすい職場環境をつくりましょう。

  • 慢性腎臓病について周りが理解している
  • 医療体制が整っている
  • からだへの負担が少ない仕事が中心である
  • フレキシブルな労働時間である
  • 自宅で仕事ができる

それぞれについて解説します。

腎臓病について周りが理解している

慢性腎臓病の症状や透析などについて、周りの人が理解することは不可欠です。疲れたときや体調が崩れたときは休憩を頻繁にとることがあります。また、通院することも多いです。

しかし、腎臓病について知らない社員は、何度も休憩をとったり通院したりすることをよく思わないこともあります。

そのため、研修などをして慢性腎臓病の症状や治療について理解を深められるような取り組みを行って同じ部署のメンバーが病気について知る機会を提供することも大切です。

医療体制が整っている

職場の医療体制を整えることも必要です。体調に不調が生じた場合は、悪化しないように休憩しなければいけません。そのため、休憩所を設置し、休息しやすい場所をつくるとよいでしょう。また、腹膜透析をしている人が処置しやすい換気のよい清潔な休憩所の設置も検討してみてください。

からだへの負担が少ない仕事が中心である

からだへの負担が少なく仕事に就いてもらう配慮も大切です。肉体労働や温度差の激しい仕事などは体調を崩しやすくなります。

そのため、からだに負担の大きい仕事は外す配慮が必要です。

デスクワークなど、体調に合わせてからだに負担の少ない仕事をしてもらいましょう。

フレキシブルな労働時間である

慢性腎臓病の人が働き続けるためには、フレキシブルな勤務時間を設けることが望ましいです。慢性腎臓病の人は、通院や休息など体調を整えるための時間が必要です。

とくに、血液透析をしている人だと週に2〜3回、腹膜透析の人だと1日に4回ほど治療の時間を確保しなければなりません。

そのため、フレックスタイム制や時短勤務を導入し、体調管理しながら働ける職場をつくるとよいでしょう。

自宅で仕事ができる

自宅でも仕事ができる環境をつくることも検討が必要です。

自宅など会社以外で仕事ができれば、通勤による時間の制約やからだの負担が少なくなるからです。

そのため、リモートや在宅勤務を導入することで、自宅で仕事ができます。自宅で仕事ができれば、体調を崩しにくくなり働きやすいでしょう。

まとめ:腎臓病について理解し働きやすい職場づくりをしましょう

まとめ:腎臓病について理解し働きやすい職場づくりをしましょう  

本記事では慢性腎臓病の症状や治療法、慢性腎臓病の人が働く上でストレスを感じることや、働きやすい職場について解説しました。

腎臓の機能が低下すると、疲れやすくなる、息切れしやすくなるなどの症状があらわれます。また、食事制限や透析治療を続ける必要があります。しかし、腎臓病の症状は周囲の人が気づきにくく、反対に通院や休憩が多いことを心良く思われないことがあります。

そのため、企業は社員に慢性腎臓病についての理解を求め、新たな医療体制や勤務時間を導入することが必要です。慢性腎臓病を患っている社員でも仕事を続けていけるように、働きやすい職場づくりをしていきましょう。

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