上司とのコミュニケーションは難しい…改善するメリットやコツを解説
職場の人間関係は、多かれ少なかれ悩みの種になることがあります。とくに、上司とのコミュニケーションがうまくいかない……と感じたことのある人は多いのではないでしょうか。
上司を自分で選ぶことはできません。ただ、上司とのコミュニケーションを改善することは不可能ではありません。
本記事では、上司とのコミュニケーションがうまくいかない原因、改善するメリット、改善するコツを解説します。
また、「部下との関係に悩んでいる」上司のために、部下とのコミュニケーションを改善する方法も紹介します。職場の人間関係を良くしたい方は、ぜひ最後までお読みください。
上司とのコミュニケーションがうまくできない5つの原因
「こんなに上司のことで悩んでいるのは自分だけではないか…」と思っている人もいるかもしれません。しかし、多くの人にとって「上司とのコミュニケーション」は職場で働く限り避けて通れないテーマです。
そもそも、上司とうまくいかないのには明確な理由があるのです。ここでは、上司とコミュニケーションがうまくできない5つの主な原因を紹介します。
- 世代が違う
- 経験や知識が違う
- 価値観が違う
- タイプが違う
- リモートワークの増加
原因①世代が違う
職場では、昭和生まれ、平成生まれの幅広い世代の人たちが一緒に仕事をしています。上司は、場合によっては自分の親の世代かもしれません。または、それより年上のこともあるでしょう。
育ってきた環境が違うため、お互い価値観や常識が違っていることが多く、ジェネレーションギャップを感じるのも当然です。
世代が異なれば話が合わないことも多く、会話をすればどうしても誤解が生じることがあるでしょう。
原因②経験や知識が違う
年上の上司は、当然社会人経験も長く、いろいろな人生経験を重ねています。いわば人生の先輩です。
職場での経験年数が短い部下と経験年数が長い上司では、同じ仕事をするにも前提知識も考え方も異なるのは当然です。そのため、仕事への取り組み方も違うことが多々あるでしょう。
上司が部下に仕事のことを話すときには、自分の経験値を基準にしてコミュニケーションを取ると、部下には伝わりにくく、部下は上司に苦手意識を持つ可能性があります。
また、世代によってコミュニケーションツールや話し方も異なっており、同じ日本語を話していても、上司からすると若手の部下の話していることが理解できないと悩んでいるかもしれません。
原因③価値観が違う
世代の違いによって年配の上司は古い価値観を引きずっている可能性もあります。
しかし、世代が同じでも人は一人ひとり価値観が違っています。多様性を認め合うことが大事です。
原因④タイプ・性格が違う
同じ世代の人でも、さまざまなタイプ・性格の人がいます。上司も同じです。
話をじっくり聴いてくれて、部下をサポートしてくれる上司、やる気を出させてくれる上司、仕事を任せてくれる上司、責任感の強い上司。こんな上司に出会いたいと思っている人は多いでしょう。
自分の理想をすべて兼ね備えた上司は多くないかもしれませんが、自分と相性のいい上司と一緒に仕事をすれば安心して仕事ができ、コミュニケーションが取りやすく仕事がしやすいでしょう。
逆に、苦手なタイプの上司だと、どうしてもコミュニケーションが取りにくいと感じてしまいます。
原因⑤リモートワークの増加
コロナ禍をきっかけにリモートワークが増えました。職場で顔を合わせて仕事をすれば、コミュニケーションしやすいこともありますが、オンライン会議以外では上司と顔を合わせない状況だと、コミュニケーションが希薄になります。
オンライン会議で顔を合わせても、画面越しなので表情や声がきつく伝わる場合もあり、コミュニケーションがしづらいと感じることがあるでしょう。そのため、ますます上司とのコミュニケーションに不安を抱くという悪循環になる可能性があります。
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上司とのコミュニケーションを改善する4つのメリット
上司とのコミュニケーションがうまくいけば、安心して仕事に取り組むことができ、職場での仕事が充実し、仕事のモチベーションも上がることでしょう。
上司とのコミュニケーションを改善するメリットを紹介します。
- 業務がスムーズに進む
- 信頼関係が深まる
- スキルアップできる
- 自分が楽になる
メリット①業務がスムーズに進む
メリットの1つ目は、業務がスムーズに進むようになることです。上司とコミュニケーションを取りやすければ、仕事で迷うことがあっても聞くことができ、情報共有もできるためミスが減少し、仕事が滞らなくなります。
また、コミュニケーションが密になれば、上司の考え方や仕事のやり方なども理解しやすくなり、上司の指示を仰がなくても自ら進んで仕事に取り組むことができるようになるでしょう。
メリット②信頼関係が深まる
メリットの2つ目は、お互いの信頼関係が深まることです。
上司とのコミュニケーションがうまくいけば、会話が増えることで、「上司が話を聴いてくれる」という安心感が生まれます。お互いを理解し合おうという気持ちが生まれてくれば、信頼関係が深まっていくでしょう。
そのような状況が続けば、しだいに職場の雰囲気もよくなり、新しい提案をすることにも恐れがなくなり、イノベーションも生まれる可能性があります。
メリット③スキルアップできる
メリットの3つ目は、自分がスキルアップできることです。
上司とのコミュニケーションがうまくできるようになれば、上司と接することが増えるので、上司の仕事のノウハウや知識を吸収するチャンスも増え、スキルアップにつながります。
上司に信頼してもらえれば、新しい仕事を任せてくれることもあり、仕事のスキルが向上し、モチベーションも上がるでしょう。
メリット④自分が楽になる
メリットの4つ目は、自分が楽になることです。上司とのコミュニケーションを改善することで、上司に不安を抱いたり上司のことで悩んだりする必要がなくなります。
そのため、職場に行くことが苦でなくなり、ストレスも減少するでしょう。
上司とのコミュニケーションを改善する10のコツ
職場では上司の存在が大きく、どのような上司の下で仕事をするかによって、毎日の生活が変わるといっても過言ではありません。
好きな上司でなければ、「運が悪かった」とあきらめたくなるかもしれませんが、ちょっと視点を変えてみると、上司とのコミュニケーションを改善することができます。
コミュニケーションがうまくいかないことを、「上司が悪い」と相手のせいにするのではなく、自分から歩み寄ってみることも大事です。上司とのコミュニケーションを改善する10のコツを解説します。
- 相手の視点で考えてみる
- あいさつ、返事、お礼の言葉を大切にする
- こまめな報連相
- 話を聴く
- 頼る、アドバイスを求める
- フィードバックを素直に受け止める
- 雑談、世間話も取り入れる
- ポジティブな姿勢
- 論理的に意見を言う
- 相手を尊重する
コツ➀相手の視点で考えてみる
「コミュニケーションがうまく取れないのは上司が頑固だから」と決めつけないで、「自分が上司なら、部下にどうしてほしいか」と相手の視点に立って考えてみることも、時には大事です。
上司も、部下との関係づくりに悩んでいるかもしれません。「部下に声をかけすぎると嫌がられるかな」と思って黙っている可能性もあります。
部下から声をかけたり、上司の気持ちを理解しようと努めると、心地よいコミュニケーションができるようになることもあります。
コツ②あいさつ、返事、お礼の言葉を大切にする
たとえ上司のことを苦手だと思っても、笑顔で「おはようございます」「おつかれさまです」など基本的なあいさつをすることを大切にしましょう。
また、廊下ですれ違ったときには会釈をし、上司に声をかけられたときには返事をするなど、当たり前のことのようですが、苦手意識を持っていると、つい声が小さくなってしまうこともあります。
アドバイスをしてくれたときはお礼を言うなども大事です。基本的なコミュニケーションは毎日の積み重ねが大切です。
コツ③こまめな報連相
コミュニケーションが取りにくい上司だと思っても、報連相(報告・連絡・相談)はこまめにしっかりと実践しましょう。
報連相ができていないと、仕事のミスも増えてトラブルにつながるかもしれません。そうなれば、ますますコミュニケーションを取りにくくなります。
逆に、報連相をこまめにする部下は上司から信頼されるようになります。最低限のビジネスマナーなので怠らないようにしましょう。
コツ④話を聴く
「上司はいつも話を聴いてくれない…」という不満を持っていたとしても、まずは自分が上司の話に耳を傾けて相手を理解しようと心がけてみてください。
傾聴の姿勢で聴けば、上司も安心して穏やかに会話をする可能性があり、良いコミュニケーションにつながってくるでしょう。
関連記事:傾聴とは?職場に取り入れるメリットやトレーニング方法を解説
コツ⑤頼る、アドバイスを求める
上司は「部下から頼ってほしい」と思っていることが少なくありません。何か業務上の疑問があれば、上司にアドバイスを求めて頼ってみましょう。
頼ってくれる部下のことは気にかけてくれたり、逆に部下を頼るようになることもあります。
コツ⑥フィードバックを素直に受け止める
上司からは、時には厳しい指摘があるかもしれません。そんなときには、「感じが悪いな」と思うのではなく、「自分のためにアドバイスしてくれているんだ」と捉えて、「ありがとうございます」と感謝の言葉を伝えれば、気持ちが上司に伝わります。
フィードバックをもらえるのは、期待をしてくれているから。フィードバックは自分の成長につながります。素直に受け止めましょう。
コツ⑦雑談、世間話も取り入れる
上司とのコミュニケーションは、業務上必要な会話にかぎりません。上司がリラックスしているときに、趣味など何気ない雑談や世間話をして、コミュニケーションを図ることもおすすめです。
コツ⑧ポジティブな姿勢
上司に話すときだけでなく、いつもポジティブな言葉を伝える訓練をしましょう。そのためには、ものの考え方をポジティブにすることが大事です。
後ろ向きな言葉やネガティブな態度をしていると、人から「あの人はいつもネガティブで、話しても楽しくない」と思われてしまいます。
人は、ポジティブな人の周りに集まります。自分が前向きな姿勢でいれば、上司も明るく会話をするようになり、良いコミュニケーションが広がります。
コツ⑨論理的に意見を言う
上司に業務上の意見を伝えるときには、できるだけ論理的に話すように工夫しましょう。たとえば、結論を先に話し、結論についての説明を後から述べるとわかりやすいでしょう。
感情的になったとしても、いちど心を落ち着けて冷静に話すことを心がけてください。
コツ⑩相手を尊重する
上司に苦手意識を持っていると、自分が思っている以上に相手に伝わるものです。相手の苦手なところばかり見るのではなく、上司のよいところを探してみましょう。人生の先輩でもあり、自分にはない良さもあるはずです。
相手の見方が変われば、それが伝わります。人はお互い尊重し合うことがとても大切です。上司を尊重すれば、上司も部下を尊重するようになります。
部下とのコミュニケーションを改善する4つの方法
部下からみた上司とのコミュニケーションを改善するコツについて紹介しましたが、もちろん、上司からも部下に歩み寄ることが大切です。
部下とのコミュニケーションに悩んでいる上司も少なくないでしょう。そこで、部下とのコミュニケーションを改善する4つの方法を紹介します。
- 相談しやすい雰囲気づくり
- 個別ミーティング
- 相手によって態度を変えないく
- ポジティブな言葉
方法①相談しやすい雰囲気づくり
上司と部下という上下関係がある限り、部下の目から見ると「威圧感を感じる」「いつも上から目線だ」と思われてしまう可能性があるということを頭においておきましょう。
上下関係という壁を感じさせないよう、部下が相談しやすい雰囲気づくりを心がけたいものです。
たとえば、部下と話すときには仕事の手を止めて顔を上げ、視線を部下に向けて真摯な態度で話を聴きましょう。部下から声をかけられても忙しそうにして顔も上げないでいると、「もう相談したくない」と思われてしまいます。
人前で部下を叱ることは、部下のプライドを傷つけることにつながりかねないため、気を付けましょう。
方法➁個別ミーティング
定期的に、部下一人ひとりと個別ミーティングをする時間をつくりましょう。メンタルや体の不調を把握し、業務上困っていることはないかを気にかけて、サポートする姿勢を示すことが大事です。
また、1on1ミーティングで、話しやすい雰囲気の中で今後のキャリアビジョンや昇進などについて話す機会を設けるとよいでしょう。
関連記事:1on1ミーティングでストレス軽減できる?対話の姿勢や質問を解説
方法③相手によって態度を変えない
上司にとっても苦手だと感じる部下がいるかもしれません。しかし、上司として部下とコミュニケーションを図るのであれば、相手によって態度を変えないで平等に接することが大切です。
相手によってころころと態度を変えているようでは、信頼できない上司だとレッテルを貼られてしまいます。
方法④ポジティブな言葉
自身がストレスを抱えていたとしても、大声で怒ったり部下を否定するようなことは、部下の自尊心を傷つけ、周りにもマイナスのイメージを与えます。
ネガティブな発言ではなく、ポジティブな言葉で部下をほめ、モチベーションを上げることができる上司になれば、部下に慕われコミュニケーションも活性化するでしょう。
まとめ:上司とのコミュニケーションを制すれば職場が変わる
上司とのコミュニケーションが良好になれば、業務の効率が上がり、スキルアップにもつながります。また、何よりお互いの信頼関係が深まり、自分自身が楽になります。
上司とのコミュニケーションを改善するコツを取り入れて、自分から歩み寄る工夫をしてみましょう。日々積み重ねていけば、少しずつ上司も心を開き、職場の雰囲気が明るくなってくるでしょう。