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健康経営の役割とは?3つの効果と取り組み方、大企業の導入事例も紹介

健康経営の役割とは?3つの効果と取り組み方、大企業の導入事例も紹介

過度な仕事量や労働時間などが求められる企業で働いていると、従業員の心身に不調が生じやすくなります。従業員が健康に問題を抱えれば、仕事をスムーズにこなすことが困難になります。

また、状態がひどい場合は、仕事を離れなければならないケースも出てくるかもしれません。このような従業員が増えれば、企業自体も生産性の低下や人材不足などの悩みが増えることでしょう。

従業員の健康問題に影響を受けないためには、企業が従業員の心身の不調を早期発見し、健康を支援する取り組みが重要になります。

本記事では、大企業における健康経営の効果や取り組み方、実際に導入している企業の事例について解説します。企業の管理者や担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

また、中小企業については下記の記事をご覧ください。

健康経営について理解する

健康経営とは、企業が従業員の健康について考え、従業員の健康づくりをサポートする取り組みを行うことをいいます。

健康経営の考え方は、ロバート・H・ローゼンをはじめとする臨床心理学者たちが提唱し、アメリカで発祥しました。この考えの基にあるのは、従業員が心身ともに健康であることによって、仕事のパフォーマンスや収益性が上がるため、将来的に企業に対するリターンが得られるという点です。

健康経営で大切なのは、今だけに焦点を当てるのではなく、従業員の健康を守るためには必要な経費をかけることです。従業員に費やす経費は消費ではなく、未来に対する投資だと捉える視点が重要でしょう。

健康経営がもたらす3つの効果とは

日本における健康経営は、経済産業省が奨励している取り組みです。現在の日本では、長時間労働などが従業員の仕事のパフォーマンスを低下させているといわれています。

また、従業員にとって健康管理が十分にできない職場環境にいれば、心身の不調を訴える事例が珍しくありません。さらに、治療のために病院受診をする従業員が健康保険を頻繁に利用するようになれば、企業の健康保険料の負担も増加します。

しかし、企業が健康経営に効果的に取り組めば、従業員の心身が守られることになるため、次のような効果が生まれます。

効果①企業の生産性が向上する

心身の不調を抱えながら働けば、従業員の仕事の対応力は低下しやすくなります。たとえば、うつ状態で集中力が低下しやすい従業員がいれば、健康時のようにスムーズに仕事をこなすことが困難になりがちです。

しかし、深刻な症状が出る前に、企業全体で従業員の健康管理やサポートを日頃から行っていれば、従業員の心身の健康が守られます。その結果、従業員が実力を発揮することができ、企業の生産性向上につながるでしょう。

効果②人材確保に役立つ

令和3年度の厚生労働省の調査によると、心身の不調で労災申請を行う従業員が前年度より増加しているとの結果が示されています。求職者も、健康経営を重視する企業を選びたいという意識が高まっているのです。

健康経営に積極的な企業に入社すれば、従業員はストレスが少なく働けるため離職が減り、企業としても人材確保が期待できます。

参考:厚生労働省「令和3年度 過労死等の労災補償状況を公表します」

効果③企業のイメージアップを図ることができる

健康経営に取り組む企業は、従業員を大切にしていると多くの人に認識してもらうことができます。企業の業績面だけではなく、従業員という「人的資源」にアプローチすることで社会的評価も高まる可能性があるでしょう。

健康経営の取り組み方の流れ

健康経営への取り組みを決めたら、実際に進める必要があります。健康経営を実践するための流れを説明します。

自社の健康経営における課題を整理する

まず、自社の健康経営に関する課題を整理することが大切です。課題の整理には、社員満足度評価やストレスチェック結果、産業医の意見などを参考にすることをおすすめします。

また、他社の課題や取り組み内容について調べ、自社内の担当者で初期的な検討と整理を行い、自社の課題を整理することが重要になります。

健康経営宣言をする

健康経営に関する自社の課題を整理した後は、健康経営を実施する旨を、社内外に公表しましょう。健康宣言は、経営理念の中で明文化してください。

具体的な告知方法としては、社内回覧や自社のホームページなどで伝える方法があります。

健康経営のための環境を整える

健康経営を実施するには、取組方針を会社全員が理解しそれぞれ連携して進めていく必要があります。そのためには、健康経営をとりまとめる部署や担当者を決めることが大切です。

部署や担当者は社内のメンバーが受け持ちますが、社外のメンバー(産業医や保健師などの専門職)も入れることを検討しましょう。社外の担当者も活用すれば、客観的視点から見た考えや意見、知識も反映でき、より良い体制を作ることが可能となります。

健康経営の具体的な施策を進める

さまざまな角度から、自社の健康課題の把握を進めます。たとえば、ストレスチェックの結果から社員の心の健康状態を確認したり、残業の有無や時間を把握したりすることが重要です。

実際の状況がどうであるかがわかれば、社員の健康課題が発見でき、社内が取り組む目標を設定できます。そのうえで、具体的な施策を進めましょう。

取り組みの評価や見直しを行う

最後に、実施した取り組みの評価をします。社員の実施状況や満足度、効果などを丁寧に確認してください。また、評価だけで満足せず、問題点が生じた場合は改善策を考えるなどの見直しを行うことが大切です。

大企業で導入している健康経営の事例を見てみよう

大企業における取り組み事例をいくつか紹介します。

味の素株式会社の事例

味の素株式会社は、健康診断後に全ての従業員と産業保健の専門家が個別面接を実施しています。数十年前から続く長期的な取り組みで、日本の健康経営のさきがけともいえる企業の一つです。それにより、表面化していない心身の不調を発見する努力を続けています。

また、休職している従業員の復職に向けて、独自のメンタルヘルス回復プログラムを実施しているのも特徴です。実際に、うつ病の再休業率が10%未満という結果も出ています。

参考:味の素流「働き方改革」と「健康経営」 (kenko-keiei.org)

フジ住宅株式会社の事例

フジ住宅株式会社は、自社の健康課題を追加した定期健診を実施しています。また、再検査対象者の二次健康診断や精査の費用は全額企業が負担しています。

さらに、従業員の公私のストレスをケアするために、トップの経営陣が従業員に個別対応する質問会を定期的に開催している点も特徴です。現に、2013年から従業員の心身の不調による休職や退職などがほぼないという結果を報告しています。

参考:選定企業詳細レポート

まとめ:健康経営の取り組みは企業の未来を創る

企業にとって、自社の発展や業績の向上は大切なことです。しかし、従業員一人ひとりの支えがなければ、より良い発展や業績を求めるのは困難になるでしょう。

健康経営は、短期で結果が出るものではありませんが、企業側が丁寧に根気強く行うことで、長期的には実を結びます。

未来の企業の理想の姿を視野に入れながら、従業員が働きやすい環境をぜひ整えていきましょう。

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