ストレスフルとは?症状や要因、対処法を解説

現代社会では、日常生活や職場において多くの人がストレスを抱えています。
ストレスを抱えすぎてストレスフルな状態になると心身の不調につながり、さまざまな病気を発症する可能性もあります。企業は、社員のストレスフルな状態に早く気づいて対処することが大切です。
本記事では、ストレスフルな人の症状や職場におけるストレスフルの影響、要因、ストレスフルな状況から抜け出すための対処法について解説します。
本記事は、企業において社員のストレスに対処する全ての人に向けた記事です。主に、企業の経営者や人事部の方は、社員をストレスな状態から守るため、企業として何ができるか考えるヒントを見出してください。
ストレスフルとは?
ストレスフルとは、「ストレスを強く感じる状態」を指します。英語で表すと「stressful」です。
ストレスを抱えている人に、さらに別のストレスが加わったり、限界だと感じるほどのストレスを抱えている状態は、ストレスフルといえるでしょう。
ストレスは、外部からの刺激(ストレッサー)によって心身に負荷がかかった状態です。適度なストレスはモチベーションやパフォーマンスを高めますが、過度なストレスは心身の不調を招きます。
ストレスフルな人の症状
ストレスフルな状態になると、心身や行動にさまざまな症状が出ます。具体的に説明していきます。
症状①:身体的症状
身体的症状として、次のような症状が現れる可能性があります。
- 頭痛
- めまい
- 肩こり
- 筋肉の緊張
- 疲労感
- 胃痛
- 吐き気
- 食欲不振
- 動悸、息切れ
- 脱毛、肌荒れ
これらの症状はストレス以外の原因によって起きる可能性もあります。症状が気になる場合は速やかに医師の診断を受けましょう。
症状②:精神的症状
ストレスフルになると精神的に不安定になり、下記のような症状が出やすくなります。
- イライラ、不安感
- 憂うつ
- 自律神経失調症
- 集中力の低下
- 思考力の低下
- 気分の落ち込み、涙が止まらない
ストレスフルな状態が長期間続くと、うつ病や不安障害、パニック障害を発症するリスクも高まります。
症状③:行動的症状
行動面にもさまざまな症状が現れやすくなります。具体的には下記のような症状です。
- 遅刻や欠勤
- 外出がおっくう
- 仕事のミスが増える
- 無気力
- 落ち着きがない
- 暴言、暴力
- 不眠症
社員にこのような変化が見られる場合は、早めに適切な対処をすることが必要です。本人は気づきにくいので、周りの人が気づいてあげることも大切です。
ストレスフルな職場環境が与える影響
仕事をしているかぎり、どんな職場でも多少のストレスは避けられません。
実際、厚生労働省が行った調査「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)における個人調査の概要」では、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は53.3%となっています。
半数以上が仕事や職場に関してストレスを感じているという結果が出ています。
適度なストレスによってモチベーションが上がり、仕事の達成感を感じることは大切ですが、ストレスフルな職場環境は、だけでなく組織全体にも悪影響を及ぼします。
参考:厚生労働省「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)における個人調査の概要(PDF)」
具体的な影響について解説します。
影響①:経済的損失の発生
ストレスフルな職場による影響でとくに気をつけたいのが、うつ病や適応障害などメンタルヘルス不調です。社員がメンタルヘルス不調になれば、休職してしまうかもしれません。
また、より良い環境の職場を求めて離職する人も出てくるでしょう。離職率が上がると企業には経済的な損失が生じる可能性があります。
厚生労働省が行った調査「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)における事業所調査の概要」では、メンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%となっています。
約10社に1社は、従業員がメンタルヘルスの不調により1カ月以上の休職または退職しているということです。
社員の心身の健康は、組織の利益に直接的な影響を与えます。ストレスが少ない職場では、社員が生き生きと働くことができ、優秀な人材が集まり定着するため、企業の成長につながり、企業イメージも高まります。
参考:厚生労働省「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)における事業所調査の概要(PDF)」
影響②:生産性の低下
ストレスフルな職場では、社員一人ひとりの集中力やモチベーションが低下します。そのため、仕事のミスが増えたり、同じ仕事をするにも時間がかかり、創造的な仕事ができなくなり、職場全体のパフォーマンスが落ちてしまうことが考えられます。
一人の社員の業務効率が落ちれば、職場全体の生産性低下にもつながりかねません。
影響③:職場の雰囲気が悪化
職場の環境によって社員の多くがストレスフルな状態に陥っている場合、当然ながら職場全体の雰囲気が悪くなるでしょう。
前述したように、ストレスフルな状態の人はイライラしたり憂うつな気分になります。そのため、社員同士の会話がぎこちなくなったり、社内のコミュニケーションが円滑にいかなくなり、全体的に雰囲気が悪化してしまいます。
さらに、暴言・暴力などが現れると、パワハラ、いじめにもつながってしまいます。
職場のストレスフルの要因
職場のストレスフルの要因となるストレッサーは多々ありますが、その主な要因は以下のようなものとなります。
要因①:人間関係
職場の人間関係はストレスの大きな要因となります。威圧的な人や大声で怒鳴る人がいたり、職場が意見を言いにくい雰囲気だと萎縮してしまい、ストレスフルな状態になりかねません。
また、上司からのパワハラやセクハラ、いじめがあっても、仕事を続けるために拒否できず泣き寝入りするしかないケースも多く、過度のストレスを抱える原因となります。
そのほか、一人でコツコツ取り組む仕事など孤独感を感じやすい業務に携わっている場合、人とのつながりが感じられず、ストレスを感じることも少なくありません。
要因②:過酷な労働環境
長時間労働や休日出勤が常態化している、過剰な仕事を任される、過度の責任を負わされるなどは、ストレスフルな職場環境を生み出す要因となります。
昨今では、定時退社を義務化しても業務量や納期はそれまでと変わらず、休憩時間を取れないなどかえって労働条件が過酷になっていることが問題視されています。
コロナ禍での在宅勤務など働き方の大きな変化もストレスフルの要因の一つとなります。
昇進による配置転換という、一見プラスのことであっても、ストレスフルの要因となることがあり得ます。
要因③:ストレスを感じやすいタイプ
個人の性格やタイプによって、同じ環境のもとでもストレスを感じやすい人がいます。ストレスを感じやすい代表的なタイプを下記に示します。
1.思い込みが激しいタイプ
何かを「しなければならない」という思考をするタイプの人は、責任感が強く妥協しないで仕事に取り組む傾向があります。その一方で、仕事を一人で抱え込んでしまうことが多く、ストレスをためやすいタイプです。
2.取り越し苦労タイプ
周囲の環境に左右されやすく、小さな失敗を大きくとらえてしまう人は、悩みや不安を抱える傾向があり、ストレスをためてしまう傾向があります。
3.自分の意見を言えないタイプ
自分の意見を人前で言うのが苦手な人は、あとでくよくよ後悔して自己嫌悪におちいることがあるでしょう。落ち着いて発言することができるように行動していきましょう。
自身がこれらのタイプだと思い当たる点があれば、日常生活や職場でのストレス対策を心がけることをおすすめします。
職場におけるストレスフルへの7つの対処法
職場でのストレスフルの要因や影響について説明してきましたが、社員が深刻な状態に陥るのを避けるため、企業ができる対処法、個人ができる対処法を7つ紹介します。
- ストレスチェックを実施する
- 仕事に優先順位をつける
- 仕事を一人で抱え込まない
- 職場の人との信頼関係を構築する
- 人にストレスを与えない
- 心の持ち方を変えてみる
- 相談窓口を設置する
対処法①:ストレスチェックを実施する
ストレスチェックは、社員のストレス状態を数値で確認することができます。そのため、ストレス状態を客観的かつ早期発見することを可能にします。ストレスチェック後は高ストレス者に推奨される産業医面談も活用し、早めのメンタルヘルスケアに取り組むことができます。
SUGARでも、ストレスチェックの活用に関するアドバイスなどを行っています。ストレスチェックの導入を検討している企業の経営者や人事部の方は、ぜひご相談ください。
関連記事:ストレスチェックはなぜ実施する?目的と効果について解説!
対処法②:仕事に優先順位をつける
仕事に追われてストレスを感じるという人は、今抱えている仕事を見える化するため、「ToDoリスト(やることリスト)」を作ることをおすすめします。リストは、紙を使う方法とデジタルツールを使う方法がありますが、自分が管理しやすい方法を選びましょう。
やるべき仕事を書き出して優先順位をつけます。1日の仕事が終わればリストをチェックし、予定どおりできなかった仕事の段取りを検討します。
段取りを決めることで、効率よく仕事を進めることができ、仕事に集中できるため、ストレスが軽くなっていくことが期待できます。
対処法③:仕事を一人で抱え込まない
仕事が予定どおり終わらない場合、一人で抱え込むのはやめましょう。上司に相談したりチームのメンバーに手伝ってもらえるようお願いするなど、早めに対処しましょう。
周りの人に頼みにくいと感じるかもしれませんが、自分が助けることができるときは助け、お互いに助け合える関係性をつくっておくことが大切です。
対処法④:職場の人との信頼関係を構築する
職場における人間関係のストレスを完全になくすことはなかなか難しいでしょう。ただ、全ての人と仲良くする必要はありません。「仕事に支障が出るほど悪い関係にさえならなければいい」くらいの気持ちでいるとストレスを感じにくくなります。
良好なコミュニケーションがとれる関係、助け合いながら一緒にスムーズに仕事ができる関係をつくりましょう。相手の話に耳を傾け、仕事を通してお互いの間に安心感が生まれると信頼関係が構築されます。
対処法⑤:人にストレスを与えない
職場の人間関係でストレスを感じている人は多いことでしょう。それでも、自分から人にストレスを与えないというのは鉄則です。
できるだけ人の良い点を見て、相手と意見が違っていても否定せず、気遣った言葉を選んで伝えるなどアサーティブな自己表現をすることで 人間関係やコミュニケーションが良好になってきます。
関連記事:アサーションを職場に取り入れるには?実践方法やメリットについて解説
対処法⑥:心の持ち方を変えてみる
自分自身の心の持ち方・考え方のクセを見直すことで、ストレスフルな状態から抜け出しやすくなります。
ストレスを感じやすいタイプであると自覚しているなら、ものごとをできるだけ肯定的に、楽観的に、おおらかに捉える訓練をすることで習慣になっていくでしょう。
対処法⑦:相談窓口を設置する
ストレスフルな状態の社員が心身の不調の悩みを相談できる窓口を社内に設置することが望ましいです。
社内の窓口には相談しにくい社員のために、社外の専門窓口と連携していつでも利用できるように社員に案内をしたり、医療機関への受診をすすめるような取り組みも必要でしょう。
まとめ:適切な対処でストレスの少ない職場づくりを
職場とストレスは切り離せません。しかしストレスフルな職場は、社員がメンタルヘルス不調となり、職場の雰囲気が悪くなるだけでなく、離職率が上がり経済的な損失が生じたり、業務の効率が落ちて企業の生産性低下にもつながります。
ストレスフルへの対処は社員自身の心がけが大切ですが、企業が社員を守ることも不可欠です。適切な対処法を取り入れ、過度なストレスのない職場づくりをし、企業の成長につなげましょう。